- 配信期間: 2021/07/07 ~ 2030/03/31
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私だって、私なりにやってきたんです。
あらすじ
昭和18年、太平洋戦争が激化するなか、日本は「漫画奉公会」を設立し本格格的国策へと乗り出していた。ある日、一人の老人が内務省の検閲課に呼ばれ、促されるまま自らの華やかな過去を語り始めた。この老人こそが、奉公会の会長であり、かつて“近代漫画の父”と呼ばれた北沢楽天その人であった。若かりし頃、友人とともに切磋琢磨を誓い合った楽天は、福沢諭吉の誘いで時事新報社に入社する。これからの日本の新聞絵は、着眼点の低いポンチ絵ではなく「漫画」というれっきとした表現方法のひとつして定着させよう奮闘する楽天。ところが、思い通りにいかない日々。「時事漫画」のヒットにより一躍時代の寵児となった楽天は、卓越した風刺センスと確かな画力で次々と新しい表現方法に挑戦し、成功への道を突き進んでいく。美しい妻も娶った彼は、漫画家としての地位を不動のものにした。しかし明治43年、大逆事件が勃発、かつての友人が関係していることを知る。時代は確実に移り変わろうとしていた。風刺とは何か?自分の本当に描きたいものは何か?やがて黒く強大な時代の渦が、楽天や漫画はおろか、日本全体をも飲み込んでいくのであった―。
解説初の印税契約、初の定期連載など現代漫画家仕事を創った日本初の漫画家・北沢楽天の生涯!日本人で初めて漫画家とし成功し、初めての印税契約、初の定期連載、漫画家のプロダクション化、カラー漫画雑誌の発行など現在の漫画業界の礎を築いた北沢楽天。明治・大正・昭和と移りゆく激動の時代なか、彼が描き続けた漫画は、手塚治虫や長谷川町子など後年の人気漫画家にも大きな影響を与えた。海外でも絶大な人気を誇った日本初の漫画家の知られざる生涯が、いまスクリーンで明かされる。北沢楽天を演じるのは、“一人芝居の第一人者”で『沈黙-サイレンス-』(17)など国際的評価も高いイッセー尾形。楽天を支え続けた妻・いの役には、デザイナーとしても活躍する女優・篠原ともえ。楽天と対峙する検閲官役は劇団唐組出身の稲荷卓央、才能を見出す福沢諭吉役にモロ師岡など多彩なキャスト陣が集結。さらには人気お笑いコンビ・さらば青春の光も出演。監督は新鋭女性監督・大木萠が務め、デビュー作『花火思想』(14)に続き“表現者とは何か”を題材にした劇場公開2作目となる。