夜の外側 イタリアを震撼させた55日間 前編

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生きたいと願うことの 何が狂っていますか?

あらすじ

1978年、イタリア。戦後長らく政権を握っているキリスト教民主党の党首アルド・モーロ(ファブリツィオ・ジフーニ)は、共産党との連立政権を実現させるべく奔走していた。これは冷戦下で西側と共産主義が手を取ることを意味していたために、国内外問わず、激しい反発を受ける。無論、党内のモーロと対立する右派系の派閥からの批判も非常に強く、モーロと旧知の仲であるバチカンの教皇パウロ6世(トニ・セルヴィッロ)にも苦言を呈される。それでもモーロは交渉を続け、連立政権の話はまとまった。そんな最中の3月16日、アンドレオッティ内閣(ファブリツィオ・コントリ)の信任投票のため、議事堂に車で向かうモーロは、道中で、極左テロ組織「赤い旅団」に襲撃され、そのまま誘拐されてしまうのだった。モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに、議会では緊急会議が開かれる。指揮を執るのは、内務大臣フランチェスコ・コッシーガ(ファウスト・ルッソ・アレジ)。彼はモーロを父と慕い、モーロ救出に全力を注ぐことを決意、辞表まで準備する。ほどなくして、赤い旅団からモーロの写真とともに犯行声明が届く。すぐさま、ローマに巨大な包囲網が張られ、徹底捜索が敢行。コッシーガの号令と共に、省内に大規模な通話傍受センターが開設され、日夜、イタリア中の通話が監視されることに。しかし大きな手掛かりは掴めず、コッシーガも精神的に参り、疲弊していく。そして誘拐から14日目の3月29日、旅団に囚われているモーロから手紙が届くのだった。それは事実上の裏取引を持ち掛ける内容で……。バチカンの教皇パウロ6世も、モーロ誘拐に衝撃を受け、救出の策を練っていた。信者に向かって、アルド・モーロのために祈ろうと強く呼びかけ、モーロ解放のために身代金として200億リラを用意する。「アルドは大事な友である」と、司祭を通してアンドレオッティ首相に掛け合うが、首相から話を聞いた将軍たちは「血が流れる」と口々に大反対。一方で各党の党首たちは、概ね、賛成を表明。政府内の足並みは揃わず、また肝心の身代金を渡そうとしていた相手が、どうやら詐欺師であることが判明する。パウロ6世のモーロ救出構想は振り出しに戻り、教皇は、赤い旅団のメンバーに直接語りかけることにする。

解説相次ぐテロリズムにより、イタリアが社会的、政治的混乱にあった「鉛の時代」。1978年3月のある朝、キリスト教民主党党首で、元首相のアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に誘拐される、という、イタリアのみならず、全世界をゆるがす事件が起こる。内務大臣コッシーガや教皇パウロ6世、そしてモーロの妻エレオノーラらが、モーロを解放させようと画策するのだが…。『夜よ、こんにちは』(03)で同事件を「赤い旅団」側から描いたイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督が、「すでに語られた物語には戻らない」という自身のルールを破り、外側<政府、法王、神父、警察、教授、妻、子供たち…様々な立場で事件に関与した人々>の視点を交えて、6エピソードからなる一大巨編として作り上げたのが本作である。2022年カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門で上映された後、イタリアでは前編、後編に分けて劇場公開、その後国営放送RAIで放送されて高視聴率を記録。2023年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞17部門にノミネートされ、ファブリツィオ・ジフーニ(『人間の値打ち』)は、最優秀主演男優賞を受賞、その妻エレオノーラ役のマルゲリータ・ブイ(『3つの鍵』)と、教皇パウロ6世役のトニ・セルヴィッロ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』)はそれぞれ受援男女優賞にノミネートされ、その年のイタリア映画界を席巻する形となった。史実とフィクションを交えたその力強くも絢爛たる筆致で描かれるドラマは340分という長さを全く感じさせず、大きなカタルシスを観る者に与えるに違いない。

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