大学を卒業して1年が過ぎ、OA機器メーカーのOL・井上芽衣子はあることを実感するようになっていた……「わたしは社会人には向いていない」。とはいえ、自分に特別な才能がないと自覚してしまった今となっては、もはや人生のレールを外れる勇気もないというのが現実。多少辛くても、頑張ってつつましく生きていくしかないのだと、彼女は今日も会社へ向かうのだったが…
5日間の失踪後、自らが幸せであることを噛みしめつつ芽衣子の待つ自宅へとスクーターを走らせていた種田は、不運にもバイク事故を起こしてしまった。スクーターとともに道路に横たわるその脳裏には、なぜか大学卒業を間近に控えた1年半前の日々が甦ってくる。そして、そんな日々を懐かしく思い出す種田は考えるのだった、「早く家に帰ろう」と…