「心のゆくばかりなつかしい女の匂いを嗅いだ」日本文学史における“私小説”の出発点田山花袋の不朽の名作/本作が20年ぶりの単独主演作となる斉藤陽一郎秋谷百音、片岡礼子ら実力派キャスト陣が挑む“ハラスメントなのか、純愛なのか…”中年脚本家の恋の行方は…?日本の自然主義文学を代表する作家である田山花袋が1907年(明治40年)に発表し、日本文学史における私小説の出発点と言われている不朽の名作『蒲団』を原案にした長編映画が5月11日からK’s cinemaで公開されます。小説は、田山花袋の妻子のある小説家・竹中時雄が、懇願されて弟子にした女学院の学生・横山芳子に恋をするが、彼女に恋人ができたことで嫉妬に狂い、破門にしたにもかかわらす強い未練を残すという内容で、蒲団に残った芳子の残り香を嗅ぐ「心のゆくばかりなつかしい女の匂いを嗅いだ」という一節はあまりにも有名です。舞台を明治から令和に移し、小説家から脚本家に設定を変えた主人公の時雄を演じるのは、『Helpless』『EUREKA』『サッドヴァケージョン』等、青山真治監督の常連俳優として知られ、数閃の映画・ドラマに出演してきた名バイプレイヤーの斉藤陽一郎。今作は『軒下のならすものみたいに』(青山真治監督)以来、20年ぶりの単独主演作となります。脚本家志望の芳美には、映画『ベイビーわるきゅーれ』で注目を集め、出演作が相次ぐ期待の若手・秋谷百音。時雄の妻・まどか役には現在公開中の『笑いのカイブツ』『一月の声に歓びを刻め』を始め日本映画界に欠かせない名優・片岡礼子。実力派キャスト陣が、日本文学史上における“不朽の名作’’に挑みます。監督は『テイクオーバーゾーン』(20)『YEN(DIVOC-12)』(21)、『なん・なんだ』(22)で現代の問題を独自の目線で切り取り、エンタメ作品に昇華してきだ気鋭・山奇晋平。『テイクオーバーゾーン』は「第32回東京国際映画祭(19)」日本映画スプラッジュ部門に出品され主役の吉名莉瑠がジエムストーン賞を受賞している。脚本は『戦争と一人の女』(12)や『さよなら歌舞伎町』(14)、『花腐し』(23)等、長年、荒井晴彦と共に脚本を作り上げてきた中野太。制作陣が、小説の持つ“普遍性”を活かしつつ、どのように“現代性”を入れているかは必見です。本作は、4月にローマで開催される映画祭“Asian Film Festival21’’コンペティション部門に正式出品されている他、台湾・韓国での展開も決まっております。