「片腕を一晩、お貸ししても良いわ――」と娘は言った。その日の朝、花屋で買った泰山木の大きな蕾を美しいと思った事を知ってか知らずか、女が自身の身体から、その蕾のような丸みを帯びた白い肩の処から外してくれた。その娘の右腕を男は受け取る。――この腕はモノを言うだろうか? 話をしてくれるだろうか?男の密かな愉しみに、腕は腕の出来る事しか出来ないと言いながらも、女は「お試しになって」と男を送り出した。男は外套の内に右腕を抱いて自宅へ戻る。すると、右腕は男の部屋に泰山木の匂いがすると話し出すのだった。これまでの孤独が染みついた部屋で、男は純潔を保った娘のように儚くも冷ややかな体温を持った娘の右腕を愛で始めるのだが――
宮田陽彩(みやた・ひいろ)(19)は、“クソ”のような大学生活を送っていた。大学に通い、それ以外の時間のほとんどを浪費家の母に代わっての家事とコンビニでのアルバイトに費やし、その中から学費と母と2人暮らしの家計8万を収める日々。遊ぶ時間も、金もない。何かに期待して生きてきたことがない。親にも、友人にも・・・。いつものように早朝にバイトを終えた宮田は、母のために朝ご飯を作り、家事をした後に大学に登校していた。そこで大学の同級生であり、バイト先の同僚でもある 江永雅(えなが・みやび)(24)のひょんな噂を耳にする。威圧的な金髪、メイク、ピアス──バイト先ではイヤホンをつけながら接客する、地味な宮田とは正反対の彼女の噂。「江永さんのお父さんって殺人犯なんだって」他の誰かと普通の関係を築けないと思っていたふたり。ふたりの出会いが人生を変えていく―。
妻を失い、世捨て人となったジキル博士。絶望しきった彼は、未承認の薬「サメニナール」に手を出してしまう。だがそれは、彼の肉体を血に飢えたサメ人間へと変貌させるものだった。狂気的な愛に突き動かされる博士は街を徘徊し、亡き妻との絆を脅かす者すべてを狩り尽くしていく。
記録的な大嵐による大洪水で、ロサンゼルスの治安最悪なスラム街が完全に水没。強盗を働き逃亡中の不良グループ、盗みをはたらく非行少女、そして私怨で動く悪徳警官たちが入り乱れる無法地帯に、なぜか獰猛な人喰いザメがカチ込んできた! 果たして生き残るは人か、サメか、あるいは……
もう一度、兄と一緒に星空を眺めるために 73歳のアルヴィン・ストレイト(リチャード・ファーンズワース)は、アメリカ・アイオワ州ローレンスで娘のローズ(シシー・スペイセク)と二人で暮らしている。ある日、転倒して無理矢理、病院に連れていかれる。医者からは治療をするように言われ、普段は歩行器を使うようにと指導されるが、拒絶。2本の杖を使うことだけは受け入れてさっさと家に帰ってしまう。頑固な老人である。雷雨の夜、仲違いをして長らく口もきいていなかった、76歳の兄のライル(ハリー・ディーン・スタントン)が心臓発作で倒れたという知らせが入る。ライルが暮らすウィスコンシン州マウント・ザイオンまでは560km。車であれば一日の距離だが、運転免許証を持っていない。しかし、自分の力で会いに行くと決めたアルヴィンは周囲の反対に耳も貸さず、たったひとり、時速わずか8kmのトラクターに乗り、旅に出る。もう一度、兄と一緒に星空を眺めるために。
ニューヨーク、夏のある暑い日の午後。テリーはいつものようにバージンの女の子をモノにして、親友のキャスパーに自慢しながら、街をブラつき、仲間がたむろしているポールの家へ向かう。くすねたビールを飲み、ドラッグを決め、SEXの話で盛り上がる。一方、ルビーの家ではジェニーたち女の子5人もSEXの話ばかり。経験豊富で無防備なSEXを楽しむルビーは自分の体験談をネタに盛り上げる。ジェニーはバージンを奪い、その後は連絡もしてこないテリーを許せない。HIV感染を心配するルビーはジェニーと検査結果を聞きにいく。テリーとのSEXしか経験のないジェニーはルビーについてきて検査を受けただけだった。しかし検査結果はルビーはネガティブだが、ジェニーはポジティブだった。たった1回、1人の男とのSEXのために突然の死の宣告をされてしまったジェニー。とにかくテリーを見つけなければいけない。会って、このことを伝えなければ。しかし、テリーは新たなバージンの子を誘い出し、仲間たちと夜のプールではしゃいでいる。自分自身がHIVキャリアとも知らずに。
心霊ドキュメンタリーの製作を手掛ける事務所に刃物を持った女が侵入する。従業員が負傷する事態を引き起こした女の目的は「人類を救う」こと。どうやら「あるいわくつきのビデオテープを正しい場所に戻さないと人類が滅びる」という陰謀論を妄信していたようだ。取材班はネット上で陰謀論を撒いていた男を特定。話を聞くと、そのビデオはかつて打ち切りになったシリーズ『死画像』へ投稿されたもので、かの「クニコ」を超える恐怖映像だという。取材班はビデオを発掘し、映像に映っているものの正体を突き止めようと動く。しかしそれは数多の恐怖映像がうごめく、出口なき迷宮への入り口だった…。
★映画評論家、佐藤忠男、「映画」で世界を変えようとした男がいた――日本で初めて、ひとりの映画評論家に迫ったドキュメンタリーが誕生 日本を代表する映画評論家、佐藤忠男。独学で映画評論の道を拓き、60年にわたる批評人生で日本映画史を体系化した功績、そして後年、ライフワークとしてアジア映画を発掘し、日本に先駆的に紹介した功績から、日本におけるアジア映画研究の第一人者として知られる。アジアとの映画交流や後進の育成にも尽力し、韓国、フランス、モンゴル、ベトナムなどから勲章を授与した唯一無二の存在である。庶民の目線から多岐に論じ、150冊を超す著作を有する映画評論の巨人をアジアへと突き動かすものは果たして何だったのか? 2022年に91歳で逝去した佐藤忠男が映画を通して夢見た世界を探る。
廃墟のような建物に住む一人の女(和田光沙)。 言葉のない世界で原始的な自給自足の生活。 狩猟で蓄えた食料を行商人(寺田農)と物々交換したり、女の体と食料を目当てに来た山賊(仁科貴)に襲われたりするが、そんな不測の事態にもめげることなくたくましく生きている。 ある日女の仕掛けた罠に一人の若い男(飛葉大樹)が掛かっていた。 女は彼を家に連れて行くと、何故か女になつく若い男。 女も情が移ったのか、二人は共同で生活し始める。 そんな日常が続く中だんだんと人間の欲望の姿が明らかになっていく。 暴力・セックス・食欲等々......そして世界は崩壊に向かって動き始める...。
ゼファー(ハッシー・ハリソン)は過去の傷を癒すため、オーストラリア・ゴールドコーストに逃れてきた孤独なサーファー。落ち着きを取り戻しつつあるゼファーの生活は地元の不動産業者でサーファー仲間のモーゼズ(ジョシュ・ヒューストン)との出会いによって一変する。彼とのロマンティックな一夜のあと、夜もあけぬうちにサーフィンへと海に向かった彼女は、サメ体験ツアーの船長タッカー(ジェイ・コートニー)に連れ去られてしまう。
イスタンブールに駐留し、家族と離れて暮らす軍人ジャック。休暇で日本を訪れた妻ハンナと二人の息子を、思わぬ事故が襲う。湖で次男カイルが何者かに水中へ引きずり込まれ、溺れかけたのだ。一命は取り留めたものの、帰国後のカイルは水を異様に求め、奇妙な言動を繰り返す。やがて一家の周囲では、説明のつかない現象まで起こり始める。オンライン通話や監視カメラ越しに異変を目撃したジャックは、調査の末、人を水底へ引き込み魂を奪う妖怪「河童」の伝説にたどり着く。息子の内に潜む邪悪な存在が家族をのみ込む前に、遠く離れたジャックは世界を隔てる距離を超え、未知なる恐怖へ立ち向かう決意を固める。
バレーボールひと筋で女子力皆無の大学1年生、結城空鈴(間島和奏)は、幼馴染の相馬櫂(春本ヒロ)に「そんな女捨ててっと、一生彼氏できないぞ」とからかわれたことに大激怒。素敵な男性と出会うため、自分を盛りまくった“ウソまみれ”の完璧なプロフィールを引っ提げてマッチングアプリの世界へ飛び込む。ついにアプリで理想のオトナな大学院生・萩野蓮(下田正太郎)を見つけ、恋に落ちる空鈴。しかし、お互いの恋愛を邪魔しようとする空鈴と櫂の“偽りの仮面”を剥がし合うバトルが勃発!さらに周囲の意外な人間関係も発覚し、事態は怒涛の展開へ。現役大学生にしか描けない、理想と現実のギャップに翻弄される現代のリアルな新感覚ラブコメディ!
心理治療を受けている3組のカップルは、カウンセラーの招待で同じ場所に集まることになる。 カウンセラーは集まりに参加しなかったが、3組のカップルが何をすべきかを指示するメッセージを残しておく。 3組のカップルはカウンセラーが残したメッセージに従ってお金と嫉妬、セックスなどについて話し合うことになるが..
1995年、日本が震撼した地下鉄サリン事件。その首謀者とされた男の娘で当時11歳の松本麗華(りか)には以来どこにいても父の名、事件の記憶、そして「償い」を問う声がつきまとう。父か死刑に処された後もなお続く差別と排除の中、真摯に自身の人生を模索する6年の記録。それは、この世界で苦しみ生きる人々への希望のメッセージとなるか。
ソフィーは成功を収めたキャリアウーマン。ある夜、パーティで出会った若いウェイターのエリオットと情熱的な一夜を共にする。ソフィーは彼を出張先のパリに呼び寄せ、高級ホテルで共に過ごす。それはエリオットにとって、これまで経験したことのない世界だった。しかし、ソフィーが一時の気晴らしに過ぎなかった関係を終わらせようとすると、エリオットはソフィーに執着し、ストーキングや嫌がらせを始める。やがてそれは、ソフィーの生活やキャリアにまで脅威を及ぼすようになるが・・・
“私の人生には娘が必要なの”思いもよらない妻の、母の決断に、家族は大きく揺さぶられる―ジャスミンは、夫と3人の息子たちに囲まれ、オーナーを務めるヘアサロンは大繁盛と、満ち足りた日々を送っていた。しかし40歳を迎えた頃、父の死をきっかけに異変が起きる。金髪の少女を父から託される夢を繰り返し見るようになり、自分の人生には「娘」が必要だという想いに囚われるようになる。ジャスミンは養子縁組で娘を迎え入れることを決意するが、それは幸せだった家族に大きな波乱を巻き起こすのだった。イタリア国内での養子縁組はハードルが高く、それをクリアしたとしても性別を選ぶことは許されていない。家庭内が疲弊していく中、夫から「あきらめるんだ。家族のために」と諭されたジャスミンは一度は断念したものの、どうしてもあきらめきれず国際養子縁組という手段を選ぶ。そうして一家が下した、大きな決断とは――。
30歳を目前にして仕事も目標もなく、恋人にも浮気されて裏切られたロドニー。住む家さえ失いかけた彼は、あてもなく車を走らせた末にエンストし、身動きが取れなくなってしまう。気づけば携帯の電源も切れていた。仕方なく目の前の家から電気を盗もうとするが、家主の老女ジューンに見つかってしまう。ロドニーは荒れ放題の芝生の手入れや家の雑用を引き受けることを条件に、なんとか許しを得ることに。そんなジューンは夫を亡くして以来、一人暮らしを続けているが、酒に溺れた荒れた生活を送っていた。一方、週60時間も病院で働くジューンの娘オリーは、病を抱える母に薬を飲ませようとするもののうまくいかず、その役目をロドニーに頼むのだが…。
ダイヤ強盗の失敗により、重傷を負った犯罪者エディは病院へ搬送される。彼を監視することになった若き女性警官フランシスは、ベッドに拘束されたエディから事件の真相を聞き出そうとするが、コルデロは巧みに彼女を翻弄していく。だがその頃、奪われたダイヤを取り戻そうとする凶悪なギャングたちが病院へ侵入。閉鎖された病棟は逃げ場のない戦場と化し、敵同士だった2人は、生き延びるため危険な共闘を強いられるのだが…