- 配信期間: 2024/08/14 ~ 2029/06/30
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名匠セドリック・クラピッシュ監督によるパリを舞台にした青春ヒューマンコメディの傑作。1990年代ミニシアターブームの金字塔的大ヒット映画がレストア版ニューマスターによって登場。パリの下町を舞台に、迷子になった飼い猫を探す若い女性が、様々な人々との出会いで少しだけ大人になる姿をすがすがしく生き生きと描く。今の時代の方がよりフィットする映画の中に出てくるオシャレなセンスも抜群で、パリの可愛いアパルトマンや主人公のファッション、モード雑誌のカラフルな撮影現場、変わりつつある11区の街並みが映画のもう一つの顔に。
あらすじ
主人公の女性クロエは夏のヴァカンスに行くあいだ愛猫グリグリを誰に預けたらいいのか悩んでいる。ルームメイトのゲイの青年ミシェルは彼氏と別れたばかりでそれどころじゃないし、管理人はもう何匹も預かっているから無理だと言うし。そこで人づてに紹介されたのが、近所のお人好しの猫好きのおばあさんマダム・ルネ。ところが休暇から帰ってくると、グリグリは行方不明に。ルネはご近所の老婦人ネットワークにこの情報を流し、みんなおせっかい半分で熱心に協力してくれるが、手がかりはない。またルネは夜に猫を探すための護衛役にと、アラブ系の青年ジャメルを紹介してくれる。ちょっと頭は鈍いが善良なジャメルは、クロエに恋して一生懸命猫を探す。クロエのもう一つの悩みは恋人のいないこと。ミシェルの見立てでちょっと女らしいドレスで夜のバーに出かけると、今度は変な男たちに言い寄られて逃げ帰る始末。ミシェルの新しい恋人クロードが二人の所に転がり込んできたので、彼女はますます居心地が悪い。一方クロエは以前から街ですれ違って密かに好意を抱いていた青年とついに話をする。実はドラムを叩いて近所迷惑になっている張本人なのだが、恋をすればそれもカッコよく見えてくる。だが彼と寝た直後、恋人らしい女性から電話があって、がっかりして冷めてしまう。マダム・ルネが風邪で寝込んだのでお見舞いに行くと台所のオーブンの後ろで猫の声が!なんとグリグリだった。やっと猫が帰ってきて嬉しいクロエ。クロエの隣人で男ヤモメの画家、ベルカントが引っ越しをすることに。荷物運びを手伝いながら、クロエは彼がずっと自分に好意を抱き、自分の絵まで描いていたことを知る。近所のカフェでのささやかな送別会のあと、クロエとベルカントは再会の約束をしてお別れのキスをした。
解説パリの下町を舞台に、迷子になった飼い猫を探す若い女性が、様々な人々との出会いで少しだけ大人になる姿を描くヒューマン・コメディ。監督・脚本は、本作が1996年の当時日本初紹介のセドリック・クラピッシュ。長編第三作にあたる本作が意表を突いて世界中で大ヒット、さらにベルリン映画祭国際批評家連盟賞を受賞したことで、一躍国際的な人気監督になった。 猫の追跡を通して、観客に、典型的なパリの下町地区から近代的で若い地区へと進化しつつあるこの地区のコントラストと、そこに住む人々の間のコントラスト、気の利いた素朴な人たちと、気の利いた老婦人たちが味わい深いチャーミングな作風を作り出した。クラピッシュは今回いろいろな演劇俳優、そして地区の素人の住民たちを結びつけることに成功。愛らしく洒落た、少女向けのフランス映画らしい体裁を装いつつ、その実、さまざまな人種が気づかぬうちにも肩を寄せ合い生きる、大都市の現実をしっかりと捉えた奥の深さも描き出した。3年振りのヴァカンスに出ようとメイクアップ・アーティストの主人公クロエは、愛猫グリグリの面倒を同居しているゲイの青年に頼むが、男に振られたばかりの彼に拒まれ、預かってくれるという噂の老婦人に世話を任す。が、パリに戻るとグリグリは行方不明。果たして、グリグリはどこにいるのか? ご近所老人クラブ、動物愛護団体、クロエに思いを寄せるとぼけた移民青年、たくさんの人物を巻き込んでの大捜索が始まるが……。猫を捜すうちに出会うさまざまな人々との交流、意外な恋の始まりも予感させる 古きよきフランスの詩的リアリズムをも彷彿させる、心優しい映画である。後に人気演出家になるフランスの鬼才オリヴィエ・ピィ、そしてこの2年前の同監督の『青春シンドローム』で鮮烈なデビューを飾り、その後クラピッシュ作品になくてはならない存在となった人気俳優ロマン・デュリスが、瑞々しい演技を見せるドラムを叩く近所の青年役で出演している。
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