日光二社一寺(日光東照宮・日光山輪王寺・日光二荒山神社)への参道入口にある「本宮カフェ」。オーナーの大場嘉門(スネオヘアー)は、娘やスタッフにカフェを任せて趣味の写真を撮りに毎日フラフラと出掛けている。そんな中、アルバイト店員の遠藤奈々(万登香)は仕事が終わると、ベランダ席でギターを弾きながら歌の練習をしている。ミュージシャンになる夢を抱く彼女は、地方から出てきたが、なぜか東京へ行かずに日光に居つき、カフェのバイトが休みの日は路上で弾き語りをしたりしている。そんな彼女をカフェの仲間や常連客たちも応援し、奈々もひたむきに音楽を続けているが……。
2011年。東日本大震災で未曽有の被害を受けたたくさんの人たち。その中で、被災した宮城県から栃木県鹿沼市に引っ越して来た母娘がいた。鹿沼でほうき職人として伝統を守ってきた男は、家業だけでは生活が出来ないため副業として塾を経営している。男は宮城から鹿沼にやって来たその母子家庭の娘を支えてやろうと月謝を取らずに塾に通わせていた。高校受験を控えたその娘はしかし、心に負った震災の傷が癒えずに塾を休みがちになる。どうにかしてやりたいと思うが不器用な男は何もできない。さらに自分には実の娘がいて、娘としては他人の娘にばかり優しくする父が面白くない。見かねた妻がたしなめるが男はわかっていない。やりきれない心と心がすれ違い交わりそうで交わらない。息苦しい暮らしの中で娘たちは何かを見つけるのか――
山梨県富士五湖周辺には、数多くの廃村がある。北に位置する“呻母村(うめくぼむら)”もその一つ。 [EP1]心霊系動画配信を生業にしている、おなりぃ(田中達也)は、心霊スポット巡りと称して呻母村に向かう。そこで村を守る祠から、祀ってあった“ひとがた”を盗む。その日から誰も彼を見ていない。 [EP2]同じ頃東京の霊媒師・皆川(三浦清光)にも、かつて訪れた呻母村の呪いが連鎖し始める。ある日皆川のもとに何者かから“ひとがた”が送られてくる。彼の能力では敵うはずもなかった。 [EP3]ダークツーリスト、ミフユ(瀬田佳奈子)は、山梨のとある事件があった場所をひとり取材していた。やがて森で迷う。そして彼女は、決して見てはいけないものを見てしまう。そこが呻母村とも知らずに…。全く関係性のない三人の運命が、その村に辿り着く。