夫と娘の萌花と3人で中古の一軒家に越してきた萩乃。家庭に恵まれなかった彼女にとって、夢に見た幸せな家庭。しかし、ある日外出中の萩乃に萌花の悲痛な声で助けを求める電話がかかってくる。「ショートケーキとコーラ、買ってきて」慌てて帰宅した萩乃が目にしたのは、荒れ果てた我が家と洋服をずたずたに切り裂かれた萌花、そして萌花に馬乗りになって大きな鋏を握りしめた見知らぬ少女の姿だった。その少女の名前は<ちーちゃん>。かつてこの家に暮らしていたが、ある事件を起こして町を去ったはずだった。彼女の存在が、一見幸せに見えた萩乃たち家族が押し隠そうとしていた「毒」を暴き出し、悪夢のような日々の幕開けを告げる・・・。
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」その16文字から始まった、沼のような5年間。明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った<彼女>に、一瞬で恋をした。下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり・・・。世界が<彼女>で満たされる一方で、社会人になった<僕>は、“こんなハズじゃなかった人生”に打ちのめされていく。息の詰まる会社、夢見た未来とは異なる現在。夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、救いだったあの頃。でも、僕はわかっていた。いつか、この時間に終わりが来ることを・・・。
父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく―。
一年前に解散したバンド「LACTIC ACID」 その直接の原因を作った元ボーカル・慎平。ある”もの”と引き換えにお金をくれる彼女・ゆかり。元バンドメンバーで元親友の黒やん。慎平はバンドの再結成を強く願い、黒やんたちは元バンドメンバーに働きかけ、失われた友情を取り戻していく。そして、慎平とゆかりにも一つの変化がー。物語は転調を繰り返し、大きくうねっていく。
<ファンキー>2041年、東京の片隅に謎のファンキー集団が現れる。彼らは突然ダンスを始めた。しかし、リーダーの男だけは踊ろうとせずに塞ぎ込んでいる。彼には子どもの頃から「亡くなった母親に会いたい」という願いがあった。母親の30回目の命日、ファンキーな仲間たちが純司のために行動を始めた時、奇跡が起こる。<アエイオウ>次なる世界大戦の予兆が世界を覆っている。若き自衛隊員ひかるは、特命任務に選抜される。開戦を阻止すべく、最果ての地へと赴く。その鍵を握る聖地にある見張り台に立つひかる。脳裏にかつての恋人の姿が蘇る。ある日、ひかるの前に老婆が現れる。老婆の紡ぐ言葉から、ひかるに打ち寄せる真実とは何か。<幻光の果て>漁師のヨシヤは花田を雇い、共に働くことになる。ある日ヨシヤは突然、サメを目撃したと船を走らせる。不審に思った花田は「本当にいたのか?」と問うが、ヨシヤは取り付く島も無い。数日後、漁師仲間のカオルがクジラを見に行こうと二人を誘うのだが、その最中にもヨシヤはサメを目撃する。戸惑う花田とカオルをよそに彼は魚影を追い続けた。<Kuu>深い谷。激しく流れる川。何かから逃げる様に彷徨うアン。ボロボロのアンは対岸に人を見つけ、助けを求めようと思うが「自分とは違う人々」ではないかと感じる。対岸にいたハナとテンは、アンが「自分達とは違う人々」なのか、身体を使って対話を試みる。3人は、全身全霊で相手の存在を理解し認めようと対話を続ける。<Our Birthday>奏は、同じ誕生日の梨香と出会い惹かれ合う。誕生日に婚約するが、梨香は突然離れてしまう。梨香を失った喪失感から心を閉ざしてしまった奏。翌年の誕生日、一人帰宅した奏は、真っ暗なはずの部屋でキャンドルに照らされた梨香の姿を見つけた。二人の誕生日に永遠の愛を誓う奏だが…<カナリア>巌は、牛舎でいつもどおり牛の世話を始める。そこへ遅れてやってくる亮。「無理して来なくていい」と声をかけるが、亮は返事もせず黙々と作業を手伝う。作業後、別棟の牛の大きな鳴き声が響く。気になり足を運ぶと、そこには雌牛を見つめている楓の姿が。亮は声をかけようとするが諦める。その後、巌と衝突してしまった亮。感情のはけ口を見つけられず、閑散とした街をひとり彷徨う。再び牧場に戻り、ハンマーを手にして向かった先は、楓が見つめていた雌牛の前だった…。
「なにも起こらない日々」に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田(濱田岳)。同僚の安藤(ムロツヨシ)が想いを寄せるユカ(佐津川愛美)が働くカフェに向かうと、そこで高校時代の同級生・森田正一(森田剛)と出会うが、その後ユカから森田にストーキングされていると知らされる…。
雑居ビルの4階に位置したデリヘル。バブルを彷彿とさせるような内装の部屋で、さまざまな女性が肩を寄せ合って客待ちをしている。入店したばかりのカノウはそれを見て、小学生の頃にクラス会でやった『カチカチ山』を思い出す。みんな可愛らしいウサギにばかり夢中になる。嫌われ者のタヌキになんて目もくれないのに。
OLの山内しおりは、前の住人らしき“三浦玲子”宛の手紙がマンションのポストに入っていることに気付く。好奇心から手紙を開けてみると、そこには「君に会いたい、愛している。」と書かれていた。後日届いた手紙には「今日、久しぶりに会いに行きます。」と書いてあり、恐ろしくなったしおりはインターネットで“三浦玲子”を検索する。すると、三浦玲子は1年半前に起こった未解決ストーカー殺人事件の被害者だった・・・。
夜ふかしのあなたにゾクッとする話を― 家電メーカーのコールセンターに勤めるひかりは、製品には関係なく罵詈雑言を浴びせるような酷いクレーマーにも、ひたすら謝り続けるような地味で真面目な社員。しかし上司との不倫という秘密を抱えていた。その日も後輩に頼まれ、頻繁に電話してくる中年女性、宮脇和世からのクレーム対応に疲れ果てて帰宅すると、ふと隣の部屋の表札が“宮脇和世”である事に気付く・・・。