東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々が作る木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。
ガングロや援助交際など社会現象にもなった“コギャル”。「KAMIKAZE TAXI」の原田眞人監督が、そんな彼女たちの生態をリアルに描きその内面に迫った青春群像ドラマ。土曜の午後の渋谷。コギャルのマルはおじさんと援助交際でホテルヘ。が、その男はヤクザで逆に脅されて学生証と携帯電話を奪われる。一方、家出少女リサは、ニューヨークへの旅行資金の足しにアダルトビデオに出ることに。が、撮影中にヤクザが乱入してきて持ち金の35万円をとられてしまう……。
太平洋戦争末期、戦況が困難を極める1945年7月。連合国は日本にポツダム宣言受諾を要求。降伏か、本土決戦か―――。連日連夜、閣議が開かれるが議論は紛糾、結論は出ない。そうするうちに広島、長崎には原爆が投下され、事態はますます悪化する。“一億玉砕論”が渦巻く中、決断に苦悩する阿南惟幾(あなみ これちか)陸軍大臣(役所広司)、国民を案ずる天皇陛下(本木雅弘)、聖断を拝し閣議を動かしてゆく鈴木貫太郎首相(山崎努)、首相を献身的に支え続ける迫水久常書記官(堤真一)。一方、終戦に反対する畑中健二少佐(松坂桃李)ら青年将校たちはクーデターを計画、日本の降伏と国民に伝える玉音放送を中止すべく、皇居やラジオ局への占領へと動き始める・・・。
19世紀のフランス。若き軍人エルヴェは、美しいエレーヌと恋に落ち結婚する。幸せな新婚生活もつかの間、エルヴェは蚕の調達のため、遥か極東の地・日本へ旅立つことに。見たことも聞いたこともない異国の地へ、遠く険しい道のりを進んだエルヴェだったが、案内された小さな村で、取引相手の妻として仕える絹のような肌を持つ謎めいた少女に魅せられる。彼女を忘れられず、命を賭けて何度も日本へ渡るエルヴェ。そんな夫を静かに見守り、変わらぬ愛で彼の帰りを待ちわびるエレーヌ。ふたりの愛はどこに辿り着くのか・・・?エルヴェが最後の旅を終えたとき、一通の日本語の手紙が彼のもとに届くのだが・・・。
江戸時代初頭。井伊直孝の大名屋敷に津雲半次郎という初老の浪人が現れ、切腹のため玄関先を貸して欲しいと言う。時は合戦もなくなった泰平の世、食い詰めた浪人たちが大名屋敷で切腹を申し出、金品や士官の口をせしめる狂言切腹が流行していたのだ。応対に出た井伊家家老の斎藤勘解由は、かつて井伊家に狂言切腹に訪れ「当家では狂言切腹は通用せん」と実際に腹を切らされた若い武士・千々岩求女の死に様を、津雲に話し始める…。