幼少の頃に口の中から入った奇妙な虫のせいで「男性の肌に触れると、その男性は一瞬でイってしまう」という能力を得てしまった女性、片島ミドリ。それを取材する撮影チームとともに、自らの運命に向き合っていく戦いの物語が始まる。
恋園神社のある小さな田舎町。年に一度の祭りが近づいた日、さつきは25年前に姿を消した父の六郎を探しにその町へやってきた。宿に向かう途中、偶然にも六郎を知るテキ屋の清太郎と出会い、祭りの取材をしたいという嘘をついて町を案内してもらうことにする。散策しながら次第に明らかになる現在の六郎の生活。さつきは意を決して、父の新しい家族ー奥さんの玉枝と彼女の一人娘に会いに行こうとする。
寡黙で不器用な、懐かしい父親。とある山間にある村・花谷村。美しいその村が、ダムに沈もうとしている。避けられない運命に対し、村役場は、村のすべての家族を写真におさめることで、花谷村の美しさを永遠に残すことを考える。依頼を受けたのは、村の写真屋、高橋研一と東京で写真家を目指す息子の孝。なぜ父は決して親密ではない息子を、助手に指名したのか。一軒一軒、険しい山道を歩き、写真を撮り続ける2人。頑ななまでの父の背中に、しだいに息子は何かを感じ始める・・・。
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァ、そして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?
見つめてみよう、きっと誰かがみえてくる。 深夜の国道。走るトラックへ向かって駆け出した喪服の女・トウコ(小林聡美)は、コンビニの前でその様子に気づいたナガノ(加瀬亮)の、見事な回転レシーブによって助けられる。車に乗り込もうとするナガノに走り寄り、「乗せてください」と頼むトウコ。「こんなにたくさんレタスのダンボールを積んでるヒトに、悪いヒトはいない」からだという。二人を乗せ、車は高速道路へ進む。女優として仕事をしているトウコは、衣装を着たまま撮影の現場から抜け出してきたのだと話す。どこかとらえどころのないトウコの話を、半ば疑いながら聞くナガノ。彼もまたゆく道を見失い、止まってしまった人だった。やがて、車は夜明けの海岸へたどり着く。朝もやのかかる風景が、水平線の、その先を見つめるトウコの心をやさしく輝かせていった・・・・・・。