貧しい北町に住む売れない漫画家・義男(成田凌)。アパート経営の他に怪しい商売をしているらしい大家の尾弥次(竹中直人)から自称小説家の伊守(森田剛)とともに引っ越しの手伝いに駆り出され、離婚したばかりの福子(中村映里子)と出会う。艶めかしい魅力をたたえた福子に心奪われた義男だが、どうやら福子にはすでに付き合っている人がいるらしい。ほどなく、福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、義男は福子への潰えぬ想いを抱えたたま、三人の奇妙な共同生活が始まる……。
夏希は突然現れた青年に父のことを知らされる。父はかつて、母と自分を捨てた憎むべき存在だった。不意に思い出された父の存在が夏希の中で拡がっていき、遂に会いに行くことを決意する。一方、夏生は借金の取り立てを生業として暮らしていた。不意に胸の内によみがえった妹の存在に引っ張られるように夏生は妹の元を訪ねる。家を捨て無責任に生きてきた夏生に妹は激しく反発するが、期せずして二人の生活は始まるのだった…
社会運動が高揚していた1970年代の日本、新左翼過激派集団「東アジア反日武装戦線“さそり”」のメンバーであった桐島聡。若き桐島は重要指名手配犯とされ、いつ逮捕されるかわからない緊張感の中、逃亡を続けていた。生活を繋ぐため日雇い仕事を転々とし、数十年前からは「内田洋」という偽名を使い、神奈川県藤沢市内の工務店で住み込みの仕事に就くようになる。メンバーの獄中闘争、超法規措置により国外に出る仲間たち、自ら命を絶った者――。桐島はそうした仲間たちの姿を思い浮かべながら、日本社会の欺瞞や凋落を孤独に見つめ続けていた。2024年、70歳となった桐島は末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間を彷徨う。
私にできること、それは私自身でいること。記号のように過ぎていく29歳の毎日に、漠然とした不安を感じている小学校教師の雪子。不登校児とのコミュニケーションも、彼氏からのプロポーズにも本音を口にすることを避け、ちゃんと答えが出せずにいる。ラップをしている時だけは本音が言えていると思っていたが、思いがけず参加したラップバトルでそれを否定され、立ち尽くしてしまった。いい先生、いいラッパー、いい彼女に...なりたい?と自問自答しながら誕生日を迎えた。でも現実は、30歳になったところで何も変わらない自分でしかない。それでも自分と向き合うために一歩前へ進んだ彼女が掴んだものとは―――。
深夜、とあるマンション内のエレベーターホールで血だらけの女(紗希)が座り込んでいる。煙草を吸いながらスマホで誰かに電話している。その横には、意識朦朧とした血まみれの男(翔)が倒れている。その光景にカメラを向ける住人ら、慌ただしく無線を飛ばす警官たち。取調室、二人の刑事と虚ろな目をした紗希がいる。柔和で悲しげな表情を浮かべながら、翔との関係を話し出す。ふたりの出会いは2年前にさかのぼる。映画製作のスタッフで下働きをしていた紗希は、撮影現場で俳優の翔に出会う。連絡先を交換し、ほどなくしてふたりは、体の関係を持つまでになる。紗希は翔を愛し、借金を重ね、番組の製作費を盗んでまで翔に身も心も捧げていた。だが、そんな翔に「もう一人の女」の影が…事件に至るまでの全貌が明らかになるとき、女たちの狂った「純愛のかたち」を知ることになる…
大学生のハル(満島ひかり)はどこにでもいるふつうの女の子。ボーイフレンドはいるけれど、どこか満たされない、何かが足りないと感じる日々。そんなとき、ハルは、事故や病気で失った身体のパーツをつくるメディカルアーティストのリコ(中村映里子)に出会う。リコはちょっとミステリアスで、刺激的で、自分の欲しいものははっきりとわかっている女の子。なぜだかわからないけれど、自分を好きだと言ってくれるリコにハルは心を開くようになり、安らぎを感じていく。これって恋?愛って何?ハルはますます自分の気持ちが分からなくなっていく・・・・・・。心のスキマはどうしたら埋まるの?私のカケラはどうしたら見つかる?