石垣島で暮らす玉木玉代おばあは、米寿のお祝いの日を迎えようとしていた。誕生会に集まる予定の親戚はその数、100名超。1930年代、日本統治下の台湾から石垣島へと移り住んだ彼女がこの歳を迎えるまで、第二次世界大戦・台湾解放・沖縄本土復帰と、東アジアは激動の時を歩んできた。台湾人とも日本人とも認められず、国籍をもたない移民として、絶えず不安に晒された彼女だけでなく、台湾移民2世として常にアイデンティティの問題に直面せねばならなかった子供たちの人生――玉代おばあの“最後の里帰り”を通じて、一筋縄ではいかない玉木家の歴史が紐解かれてゆく。
結婚間近の婚約者と妊娠中の妻を同じ事故で失ったシンミンとユーウェイ妻のシャオウェンと間もなく生まれる子どもを楽しみにしているユーウェイ。だが、交通事故が運命を大きく変えてしまう。シンミンは婚約をユーウェイは妻と未だ見ぬ我が子を失ってしまったのだ。人生の羅針盤を失ったかのように立ち尽くす二人。合同葬儀の場で初めてその存在を知った二人は、出口のない悲しみの迷路から抜け出せずにいた。苦しみの中、ユーウェイはピアノ教師だった妻の生徒たちの家を尋ね歩く・・・。シンミンは新婚旅行をかねて、新メニューを探しに行くはずだった沖縄へと旅立つ・・・。それぞれの旅の先に、待ち受けていたものとは・・・