小林多喜二は、一九〇三年(明治36年)秋田の貧しい農家に生まれた。彼が四歳の時、一家は伯父のいる北海道小樽に移住した。伯父のパン工場で働きながら勉学に励み、高商(商大)卒業後、北海道拓殖銀行に勤務する。多喜二は、銀行業務帳簿の合間に小説を書いていた。二十一歳の時に田口タキと出会い恋に落ちる。借金までして彼女をわが家にひきとったが、タキは突然、多喜二の深い愛から逃げるように去っていった。また、社会で歴史に残る悪法「治安維持法」(一九二五年四月)が制定された。激しい抵抗運動が起き時代の大きな鼓動と呼応するかのように多喜二の胸を激しく打った。多喜二は文学にうちこみ、同時に労働者、農民闘争に参加した。そして遂にデビュー作「一九二八年三月十五日」を書きあげ、名実ともにプロレタリア作家としての道を歩むことになる
第四話「時の鉱石」ある日、発作に襲われた老人を助けた青年はお礼に古い鉱石ラジオをプレゼントされた。しかし、そこから流れてくるのは三十年近くも前の古いニュースだった。青年は奇妙な鉱石ラジオの謎を追って老人を捜すのだが・・・・・。 第五話「顔面喪失」行方不明の弟を捜している男は、怪しい男たちに追われて逃げ込んだ雑居ビルで整形外科医を名乗る美しい女と出会う。弟を知っているというその女に連れてこられた薄気味悪い洋館。そこで男は常軌を逸した狂気の光景を目撃する! 第六話「漁火」結婚式を数日後に控えた娘は、自分の本当の母親に会う為ある海辺の町にやってくる。そこで優しい老人に出会い、不思議な漁火の話を聞かされる。やげて日が沈み海いっぱいに現れた漁火は娘と老人を包み込み、気がつくと老人の姿はどこにもなかった・・・・・。第七話「ワン・コイン・ドリップ・ドリーム」恋に全く縁のない主人公の夢に現れた恋の魔法使い。恋のチャンスを与えるといって渡された何の変哲もない五百円硬貨のせいで、彼女はヘンテコな連中に追いまわされる羽目に。果たして恋は見つかるのだろうか?