出会いと別れが交錯する命の現場で紡がれる「わたしたち」の物語――舞台は九州・熊本の看護師養成機関。幼い頃に母親を病気で亡くした学生、木津川あかねは、大学を中退した幸助、元居酒屋店員の俊夫、シングルマザーの玲子ら様々な事情を抱えた仲間と学内演習に励んでいた。そしてついに迎えた病院での実習。古村という患者の担当となり、病状の深刻さに戸惑いながらも交流を深めていくあかねだったが、その矢先、あかねの些細なひと言が原因で、古村が心を閉ざしてしまう……。それまで日々の実習や実習記録の提出に追われ、看護とは何かを見失っていたあかね。だが古村の葛藤に触れ、大切なのは、患者の本当の苦しみに寄り添うことだと気づいた彼女は、古村の願いを叶えようとする――。
沢田拓海(26)はBBQパーティーで橋爪由美(24)と出会い、一目惚れをして交際することになった。由美の好きな事は唯一“食べる”ことだった。その健気な姿に惹かれていく拓海。しかし、由美には誰にも言えない秘密が…一方、由美が働く美容室では、同僚の山止すず(24)が消息不明になり、妹の菜々(22)が警察や探偵を雇い、懸命に探していた。不可解な点と点が繋がり謎が明らかになっていく……拓海と由美は“食べる”事で一つになり、愛を育んでいく。背後に佇む由美のクローゼット―――拓海はこのパンドラの箱を開けてしまう。