ベルギーで暮らしていたチンピラのカマルは、シリアで多くの子どもたちが戦争の犠牲になっている現状にいたたまれなくなり、力になりたいと現地へ向かう。ところが強引にISの一員にされて、世界に向けて配信される処刑シーンに顔を出すことになってしまう。カマルがISからの逃亡を試みる一方、幼い弟ナシムも兄への憧れからシリア行きを決意する。
ベルギーのブリュッセル――裏社会の組織がひしめき合う大都市。美術品に隠し輸送された麻薬資金を警察が発見。 運び屋は保釈された直後、ホテルで何者かに射殺された。運び屋のボスは裏社会の実力者シャルル・マール。病気で死期が近いことを悟るマールは、復讐と裏切り者を追い詰める命令を部下に出すと同時に、腕利きの女殺し屋テズを雇う。ライバルとなる新興マフィアのボス、デブール。マールの右腕の部下ジネディーヌ。売春宿を営む盲目の女主人メラ。殺しの背後にある勢力を巡る抗争、裏取引、陰謀。様々な思惑が錯綜する中、テズは命を狙われながらも真相に近付くが、それを覆す衝撃の真実が明らかになる――。
人里離れた森の奥深くで父親と原始的な生活を送る少年マルコ。厳格な父親に森を出ることを禁じられ、外界との接触は一切ない。ヘッドホンで聴く音楽と、“葉っぱの子”の絵本に慰めを求める毎日だ。ある日、マルコは森の廃車で母親と暮らす同世代のミコと出会う。彼との交流はマルコの孤独を癒やしていった。だが父親の目を盗んでミコに会いに行くマルコに残酷な出来事が訪れる。父親の教えに従い、ミコを連れて“妖精”を探す旅に出るが、森の外ではウイルスが猛威を振るう危険で荒廃した社会がふたりを待ち受けていた。
海ではアザラシ、陸では人間の姿になる妖精・セルキーの母親と、人間の父親との間に生まれたベンとシアーシャの兄妹。妹が生まれた日に母親が姿を消してしまったことから、ベンは妹に優しくできない。やがて6歳の誕生日を迎えたシアーシャは、父が隠していたセルキーのコートを着て、母親が姿を消した海に入ってしまう。心配した祖母は嫌がる兄妹を町へと連れて行くが、セルキーだと気づかれたことで、シアーシャはフクロウ魔女に連れ去られるのだった。ベンは妹を救うため、消えゆく魔法世界へと不思議な旅に出る・・・。
雑誌の募集広告で知り合った男と女。お互いの名すら告げない条件で、毎週木曜にいつものカフェで待ち合わせ、いつものホテルの一室で肉体関係を持つ。彼らはそれを『ポルノグラフィックな関係』と名付けた。しかし、それぞれの感情が肉体だけの快楽では満たされなくなったことから、ふたりの関係に変化が生まれて・・・
17世紀のフランス。ある男によって、銃士だった父と母を目の前で殺された少年ダルタニアン。両親の仇を討つため、父の親友プランシェに育てられながら銃士になる訓練を受け続けた。そして14年後、立派な青年へと成長したダルタニアンはパリへ向かっていた。両親を殺した男を捜すため、国王の護衛を務める銃士隊に加わろうとしていた。しかしそこで目にしたのは、隊長が陰謀に巻き込まれ、暗殺の容疑で投獄、銃士隊全員が任務を解かれたことで、堕落し覇気を失った男たちの姿であった。その陰謀を企てた真犯人こそ、ダルタニアンが報復を誓った男、ルイ13世の側近リシュリュー枢機卿と、彼の強力な軍隊を指揮するフェブルだった。
インパクトあるCMを作るためにはどんなことでもやってきた制作会社のジェフリー、イアン、ウィルたち。今回の仕事は、最新デジタルカメラの性能を最大限に見せること。“時速200キロを超えるスピードで、CGではないリアルな雪崩との競争”を撮るため、命知らずのスノーボーダー3人と、スキーの金メダリストを招集。彼らを引き連れオーストリアのカラワンケン山脈で撮影することに。今までにない最高の映像を捉えていくイアンたち。だが彼らは、近くでテロリスト集団が身を潜めていることなど、知る由もなく…。
ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベート。1877年のクリスマス・イヴに40歳の誕生日を迎えた彼女は、コルセットをきつく締め、世間のイメージを維持するために奮闘するも、厳格で形式的な公務にますます窮屈さを覚えていく。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために思いついたある計画とは――――。
第一次世界大戦終結後、長く苦しいロシアでの捕虜収容所生活から解放され、ようやく故郷にたどり着いた元刑事ペーターとその戦友たち。しかし帰国した彼らを待ち受けていたのは変わり果てた祖国だった。敗戦国となり皇帝は国外逃亡。愛する国と家族を守るために戦った彼ら兵士たちに対するねぎらいの言葉すらない。帰宅した家に愛する家族の姿はなく、行き場をなくすペーター。そんな最中、河原で奇妙な遺体が発見されるのだが…。
戦いに嫌気がさし、十字軍遠征から離脱した英国騎士のジョージはロア村に帰郷。そこで15年ぶりに再会した父ロバート卿から、ドラゴンに刺した槍を取り戻してほしいと、ドラゴンの足の爪で作った笛を託される。しかし、静かに暮らしたいジョージは小さな土地を買うため、父の戦友イングランドのエドガー王に謁見。そこで、敵対するピクト人にさらわれたかもしれないルナ姫の捜索を頼まれる。ジョージは捜索隊に加わるが、道中でピクト人に襲われ、同行していたルナ姫の婚約者ガーニー卿ともはぐれてしまう。だが、ジョージはロア村の少年リンや修道士のエルメンドルフと出会い、姫を見つけ出すことに成功。実は姫はドラゴンの卵を守るため、洞窟に隠れていたのだった。
「登山家マロリーがエベレスト初登頂を成し遂げたかもしれない」といういまだ未解決の謎。その謎が解明されれば歴史が変わることになる。カメラマンの深町誠はネパールで、何年も前に消息を絶った孤高のクライマー・羽生丈二が、マロリーの遺品と思われるカメラを手に去っていく姿を目撃。深町は、羽生を見つけ出しマロリーの謎を突き止めようと、羽生の人生の軌跡を追い始める。やがて二人の運命は交差し、不可能とされる冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑むこととなる。
南仏モンペリエを見渡すアパルトマン最上階、向かい合う互いの部屋を行き来して暮らす隣人同士のニナとマドレーヌは、実は長年密かに愛し合ってきた恋人同士。マドレーヌは不幸な結婚の末に夫が先立ち、子供たちもいまは独立、家族との思い出の品や美しいインテリアに囲まれながら心地よく静かな引退生活を送っている。2人の望みはアパルトマンを売ったお金で共にローマに移住すること。だが子供たちに真実を伝えられないまま、時間だけが過ぎていく。そして突如マドレーヌに訪れた悲劇により、2人はやがて家族や周囲を巻き込んで、究極の選択を迫られることになる…。
2015年10月、ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”でライブ中に火災が発生。27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったが、一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡、最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。カメラは事件を不審に思い調査を始めたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長を追い始めるが、彼は内部告発者からの情報提供により衝撃の事実に行き着く。その事件の背景には、莫大な利益を手にする製薬会社と、彼らと黒いつながりを持った病院経営者、そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。真実に近づくたび、増していく命の危険。それでも記者たちは真相を暴こうと進み続ける。一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職へと追いやられ、正義感あふれる保健省大臣が誕生する。彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが…。
カンボジア、1975年4月。武装組織クメール・ルージュによるプノンペン制圧のニュースを境に、多くの住民が強制労働のため農村に送られる。一家で農村へ移動する道中、息子ソヴァンと離れ離れになってしまった母親のチョウ。農村での革命組織(オンカー)の監視による苛酷な労働や理不尽な扱いは、彼女と夫クンを、そして共に生活する家族を一人、また一人と追い詰めていく。しかし、チョウは決して諦めない。生き延びて、最愛の息子を取り戻すため―。
違法外国人労働者の売人である父親に従属し、罪の意識もなく生きる15歳の少年イゴール。ある日、瀕死の外国人労働者と交わしたひとつの約束が、彼の心の葛藤を生む。約束を守ることは、父親を裏切ることになる。イゴールは、苦しみながら真実と向き合い、自分に目覚めていく。
内気なジャンヌにとって、楽しみはアトラクションのミニチュアを制作すること。彼女は幼い頃から通ってきたテーマパークの夜間スタッフとして働きはじめる。そこで彼女は新たに導入されたアトラクション“ムーブ・イット”に出会う。煌々と輝くライト、美しいメタリックのボディ、熱く流れる油圧のオイル、そのすべてに魅力されたジャンヌは恋に落ちる。ある夜、「“ジャンボ”って呼んでいい?」と語りかけるジャンヌだったが…。
司法・訴訟史を専門とする大学教授のマリアは、付き合って25年、結婚して20年になるリシャールと二人暮らし。今ではすっかり“家族”になってしまった夫には内緒で、マリアは浮気を重ねていたが、ある日ついに夫にバレてしまう。怒ったリシャールと距離を置くため、マリアは一晩だけアパルトマンの真向かいにあるホテルの212号室へ。窓越しに夫の様子を眺めるマリアのもとに、なんと20年前の姿をした夫が現れ、さらには元カレたちも次々と登場、愛の魔法にかかった不思議な一夜が幕を開けた!
神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと思って、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変!エアが大パニックな世界を救う旅にでると、彼女の小さくてヘンテコな奇跡は思いがけず人々のお悩みを解決していく。会社員は鳥を追い北極まで大冒険、殺し屋は不死身の美女にめぐりあい、主婦はゴリラと恋に落ち……皆、それぞれの生きがいを見つけていく。しかしエアが最後に出会ったウィリーは死期が迫っていて――。小さな奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの人類への[最高にハッピー]なメールとは?