17歳のユウは、いつも川辺でギターを弾いている同級生のヨースケに秘かな想いを寄せいていた。ヨースケが同じところばかり弾いていた為、いつのまにかユウもそのフレーズを覚えてしまった。しかし素直に想いを伝えられないユウ。一方ヨースケは、事故で大切な人を亡くしたユウの姉のことが気になっていた。やがてある哀しい出来事がそんなユウとヨースケを引き離す。それから17年、34歳のヨースケとユウは、東京で偶然再会するのだが・・・。
春野家の家族はそれぞれ心にモヤモヤとした悩みを抱えていた。長男ハジメは片思い、妹の幸子はときどき巨大化した自分を見てしまうことにとまどっていた。母親の美子は仕事復帰に悩みを抱え、父親は妻に取り残されたような感じを抱く。そんな春野家に美子の弟アヤノが帰省。彼はある決心をして帰ってきたのだが・・・。
あまりにも突然に訪れた鈴木家の長男・浩一の死。ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。ひきこもりだった浩一は、扉を開けて家を離れ、世界に飛び出したのだと―。
その冬、海炭市では、造船所が縮小し、解雇されたふたりの兄妹が、なけなしの小銭を握りしめて、初日の出を見に、山に昇ったのです…。プラネタリウムを動かしている男は、妻の裏切りに傷つき、燃料屋の若社長は、苛立ちを抑え切れず、父と折り合いの悪い息子は、帰郷しても父に会おうともせず、立ち退きを迫られた老婆の猫は、有る日姿を消したのです…。
桐山零の川本家3姉妹との出会いから1年、今年も獅子王戦トーナメントが始まったが、最高峰を目指す棋士たちに様々な試練が降りかかる。トップに立つ将棋の神の子と恐れられる宗谷名人でさえ、ある秘密を抱えていた。一方、零が別れを告げた師匠の家庭は崩壊へと向かっていく。さらに、ある事件が川本家を襲い、川本家の3姉妹を捨てた父親が現れ、耳を疑う要求を突き付ける。強くならなければ大切な人たちは守れない―
中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零は、東京の下町に一人で暮らしている。幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士の幸田に引き取られたが、自分のせいで幸田家に亀裂が入り、家を出るしかなかったからだ。深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、零は近隣の町に住む川本家の3姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。温かな支えを胸に、闘いへと飛び込む零。若手NO.1を決める新人戦、最高峰を決める師子王戦―それは、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける壮絶な闘いだった。
平成27年5月11日午後9時過ぎ。安曇春子(28)、失踪。地方都市の寂れた国道沿い。大型モール・洋服店・レンタルビデオショップ・中古販売店・ファミレスが並ぶ典型的な郊外の町で、ある日突然28歳のOL安曇春子が姿を消した。ほどなくして彼女が消えた町には、捜索願のポスターをモチーフにしたグラフィティアートが拡散されてゆく。時を同じくして出現した、男だけを無差別に暴行する女子高生集団。安曇春子の失踪をきっかけに、交差する2つの犯罪。これは全て、アズミハルコの企みなのか?ハルコが消えた“本当”の理由とは?
遺伝子研究をする兄・泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと思っている弟・春。そして、優しい父と美しい母。平穏に、そして陽気に過ごすこの家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった時、事件は始まる。謎の連続放火事件と、火事を予見するような謎の落書き(グラフィティアート)の出現。落書きと遺伝子暗号の奇妙なリンク。春を付け回す謎の美女と、突然街に帰ってきた男。すべての謎が解けたとき、24年前から今へと繋がる家族の“謎”が明らかになる―
吉祥寺に住む、天才漫画家の小島麻子。今日も、アシスタントのナオミ、仲のいい三人組の加奈子、咲江、美智子と徹夜で締め切りに追われていた。その翌日、いつものように麻子が愛猫のサバに話しかけると、サバは冷たく動かなくなっていた―。サバを亡くした悲しみがあまりに大きく、麻子は漫画が描けなくなってしまう。そんなとき、出会ったのは一匹の小さなアメリカンショートヘアー。名前は「グーグー」。一緒にご飯を食べて、散歩をして、寝るという、なんとも幸せな毎日。不思議な青年、青自との恋の予感、アシスタントたちと話す新作のアイディア、色々なことがうまく動き始める。だがある日突然、麻子は思いがけないことを知らされる・・・。
長崎で生まれ育ったサラリーマン・ゆういちは、ちいさな玉ねぎ「ペコロス」のようなハゲ頭を光らせながら、漫画を描いたり、音楽活動をしている。男やめものゆういちは、夫の死を契機に認知症を発症しはじめた母・みつえの面倒を見ていたが、症状が進行した彼女を、断腸の思いで介護施設に預けることになる。過去へと意識がさかのぼることの増えたみつえ。その姿を見守る日々のなかで、ゆういちの胸には、ある思いが去来する―。
見つめてみよう、きっと誰かがみえてくる。 深夜の国道。走るトラックへ向かって駆け出した喪服の女・トウコ(小林聡美)は、コンビニの前でその様子に気づいたナガノ(加瀬亮)の、見事な回転レシーブによって助けられる。車に乗り込もうとするナガノに走り寄り、「乗せてください」と頼むトウコ。「こんなにたくさんレタスのダンボールを積んでるヒトに、悪いヒトはいない」からだという。二人を乗せ、車は高速道路へ進む。女優として仕事をしているトウコは、衣装を着たまま撮影の現場から抜け出してきたのだと話す。どこかとらえどころのないトウコの話を、半ば疑いながら聞くナガノ。彼もまたゆく道を見失い、止まってしまった人だった。やがて、車は夜明けの海岸へたどり着く。朝もやのかかる風景が、水平線の、その先を見つめるトウコの心をやさしく輝かせていった・・・・・・。