1968年メキシコオリンピックで銅メダルを獲得したボクサー・森岡栄治(武田真治)。その後プロに転向したが、1975年網膜剥離によって引退を余儀なくされる。妻・和江(紺野まひる)との間に治子(藤本七海)と和則をもうけていたが、仕事も続かず、和江がスナックで働いて生活を支えていた。ダメな父親の姿しか知らないの治子は、バレエのレッスンを心のよりどころにしていた。栄治は用心棒をした縁で、ヤクザの親分が世話してくれたボクシングジムの会長をつとめることになる。しかし栄治の兄・忠利(山崎邦正)が金の無心に来たり、和江が店の客に送ってもらうのを目にした栄治が相手を殴ったりと、生活は良くならない。そんな日々に嫌気がさした和江は、子供たちを置いて家出してしまう。その数日後、治子が拾ってきた猫のハシゾウが死ぬ。そのとき治子は、初めて栄治の涙を見る。それから栄治の愛人になったホステスの裕子(広末涼子)が、一緒に暮らし始める。借金まみれだった忠利から株券を預かった栄治は、偽造有価証券発行、詐欺未遂の容疑者として逮捕される。証拠不十分で釈放されるが、父や裕子と子供たちの間には、微妙な変化が訪れる。昭和天皇の崩御した日に治子の祖父も他界し、時代は昭和から平成へ移り変わる。栄治は和則と共にジムでボクサーを育て、日本チャンピオンを輩出。治子は子供のころからの夢だったバレエ教室の先生になった。そんなある日、治子の元に、栄治がガンであるという知らせが入る……。
恋人との普通の幸せを夢見ていた千恵はある日、乳がんを宣告される。見えない不安に怯える千恵に信吾は優しく寄り添いプロポーズ。2人は晴れて夫婦となった。抗がん剤治療を続けるため子どもをあきらめていた千恵だったが、ある時妊娠していることが分かる。産むか産まないか――産むということはがんの再発リスクが高まるということだった。千恵は周りの支えで産むことを決意し、無事出産。「花のようにみんなに愛されますように」と名付けられた『はな』はすくすくと元気に育つ。しかし、家族3人、幸せな日々は長くは続かず、千恵を再び病魔が襲う。健康の基本は食生活から、と今までの食事を見直す千恵。一度は快方へ向かうが全身転移が判明、千恵は余命がわずかであることを覚悟する。4歳になったはなに千恵は、自分がいなくなってもはなが暮らしていけるようにと、毎日みそ汁を作ることを約束させ、料理を教えはじめる。はな5歳の誕生日、千恵は夢であったクラシックコンサートに出演し、娘、夫、家族や友人への感謝の気持ちをこめて歌う。千恵が天国に召された現在、「ちゃんと作る、ちゃんと食べる」という千恵の想いを胸に、今日もまたはなと信吾はみそ汁ののった食卓でご飯を共にするのだった。