図書館司書の類子は、中学時代の友人・正巳と再会する。類子は、誰も知らない正巳の秘密を知っていた。正巳は、事故で性的不能者となっていた――。そして、二人の友人であり、正巳の永遠のミューズである阿佐緒と共に奇妙な三角関係が始まっていく。
若きヴァイオリニスト香坂のもとに、解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。だが、練習場は廃工場、集まったメンバーは再就職先も決まらない「負け組」楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね。久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えないもので、不安が広がる。そこに現れた謎の指揮者、天道。再結成を企画した張本人だが、経歴も素性も不明、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。自分勝手な進め方に、楽団員たちは猛反発するが、次第に天道が導く音の深さに皆、引き込まれていく。だが、香坂は名ヴァイオリニストだった父親が死んだ裏には天道が関係していた事を知り、反発を強めてしまう。そして、迎えた復活コンサート当日、楽団員たち全員が知らなかった、天道が仕掛けた“本当”の秘密が明らかになる――。
わんぱく少年花田一路はある日トラックと衝突する事故に逢い、それ以来幽霊が見える不思議な能力が身についた。さらに「自分が本当の父親だ」と名乗る幽霊まで現れた。花田家に隠された秘密とは・・・
猫好きのイラストレーター・ハルが出会う風変わりで愛おしい人々、そして、すれ違う猫たちとのゆるやかな毎日。猫好きに絶大な人気を誇るエッセイをベースに、ユーモラスでちょっぴり切ない傑作が誕生!人も猫も みんないつかはいなくなってしまうから---古本屋でアルバイトをしているハルは、イラストレーターの卵。バイトが終ればお寺の境内に駆けつけて、集まってくる猫たちを眺めるのが日課のハルは、時間の許すかぎり猫をそっと追いかける“猫ストーカー”なのです。恋愛話ばかり報告してくる同僚の真由子、寡黙なご主人とちょっと口うるさい奥さん、それから子供のいないご主人夫婦に飼われた猫のチビトムがバイト先のいつもの顔ぶれ。そののどかな毎日に、思わぬ波風が立ってしまいます。古本屋のご主人がかつての恋人に贈った詩集が、売り物としてお店に戻ってきて、奥さんが機嫌を損ねたのです。ご主人に話しかけられても、返事もせずにチビトムをかまい続ける奥さん・・・チビトムもちょっぴり迷惑そうです。そんなある日、チビトムは姿を消してしまいます。拠り所だったチビトムを失って取り乱した奥さんは、ご主人に食って掛かります。そして、奥さんもまた姿を消してしまったのです・・・。