高校生の初子(中嶋朋子)はある日、仔犬の鳴き声に呼び寄せられた廃工場で、落下してきた鉄骨で頭を打ち、幽霊になってしまう・・・が、それは初子の勘違いで、実は鉄骨と一緒に落下してきた弁当箱に頭をぶつけただけだった。彼女は幽霊の先輩・弦之丞(柳葉敏郎)に“早く体に戻って生き返りなさい”と説得されるが、そんな言葉などどこ吹く風、人間界へと遊びに出かけてしまう。生き返る前に幽霊という特権的な立場を楽しもうと、初子は憧れの委員長・津田沼君の部屋に忍び込んだり、自分の葬式の準備風景をのぞいたり・・・。やがて彼女は、隣のクラスの変人・夏山が幽霊と話す能力を持ち合わせていることを知る。
天界と地上の間にある街、三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ(大島優子)だ。のぞみの妹・かなえ(門脇麦)はイルカのトレーナー。ふたりの母親にして大女将の恵子(寺島しのぶ)は逃げた父親をいまだに恨んでいる。ある日、小川たまえ(のん)という少女が謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか?天間荘の真の役割とは?