3年間失踪していた夫が突然帰ってきた。だが、夫は「俺、死んだよ」と妻に告げる。そして、夫が過ごした時間をめぐる、夫婦ふたりの旅がはじまった。夫の優介(浅野忠信)がこれまでにお世話になった人々を訪ねて歩くふたり。旅を続けるうちに、妻の瑞希(深津絵里)と優介はそれまで知らずにいた秘密にも触れることになる。お互いへの深い愛を、「一緒にいたい」という純粋な気持ちを感じ合うふたり。だが、瑞希が優介を見送る時は刻一刻と近づいていた--。
80分しか記憶がもたない天才数学博士と家政婦とその10歳の息子。驚きと歓びに満ちた日々が始まった。不慮の交通事故で、天才数学者の博士は記憶がたった80分しかもたない。何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。それが、他人と話すために博士が編み出した方法だった。相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、常に数字のそばから離れようとはしなかった。その博士のもとで働くことになった家政婦の杏子と、幼い頃から母親と二人で生きてきた10歳の息子。博士は息子を、ルート(√)と呼んだ。博士が教えてくれた数式の美しさ、キラキラと輝く世界。母子は、純粋に数学を愛する博士に魅せられ、次第に、数式の中に秘められた、美しい言葉の意味を知る―。