舞台は、新潟のとある定食屋「川しげ」。病気の母を気遣い、娘の美絵(本間日陽)が1人で切り盛りするこの店は、地元の人たちが足繁く通うどこにでもあるような定食屋だ。近所で金物屋を営む常連客の日野(板尾創路)は、仕事が暇になるとふらっとこの店に訪れては、そこにやってくるお客たちを人間観察している。そんな定食屋「川しげ」に訪れた4人の女の子たち。一生懸命生きているけどなぜだか空回りしてうまくいかない。そんな彼女たちの人生物語を肴に、今日も日野は大好きな日本酒を楽しむのだった。
幼少期に家族が離散し孤独に育った冴島ナミ(滝内公美)の趣味は、町を散策して孤独な人間を観察し続ける「孤独ウォッチング」。そんなある日、家族と疎遠になり孤独に打ちのめされながら生きる老人の塩見三十郎(笹野高史)を見つけ、孤独死寸前の塩見を監視し続けることで優越感を感じることに取り憑かれていく。ところが、塩見は若くて美しいスヨン(キム・コッピ)と出会い、彼女の信じるキリスト教の聖書から信仰という救いをもとに希望を見出し、生命力を取り戻していく。そんな幸せそうな塩見を見ていたナミは、怒りに震えて塩見の家を襲撃。監禁して逆強姦し、何も知らずに助けにきた塩見の息子(木下ほうか)を塩見の目の前で殺してしまう。スヨンもナミに襲われたと知った塩見は、隙を見て脱出し、息子の血を拭った手ぬぐいをはちまきにして、ナミへ戦いを挑んでいく…。
才能なんてあってもなくても輝いていた―若手コンビ「スパークス」としてデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永は、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷と出会う。神谷は、「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。その奇想な芸風と人間味に惹かれ、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出る。神谷はそれを了承し、その代わり「俺の伝記を作って欲しい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴る。2年後、徳永は、拠点を大阪から東京に移した神谷と再会する。二人は毎日のように呑みに出かけ、芸の議論を交わし、仕事はほぼないが才能を磨き合う充実した日々を送るように。そして、そんな二人を、神谷の同棲相手・真樹は優しく見守っていた。しかし、いつしか二人の間にわずかな意識の違いが生まれ始める―「笑い」に魅せられ、「現実」に阻まれ、「才能」に葛藤しながら、「夢」に向かって全力で生きる二人の10年間の青春物語。
銀次郎はなじみのミナミの和菓子屋の主人・植村から借金を申し込まれる。さまざまなトラブルが起こり、店が苦境にあるという。店がある一帯はショッピングセンター建設の話が持ち上がっていた。地上げを行っている藪田は、商店主たちを助けるふりをして、実は政治家の小笠原とミナミの街から彼らを追い出す計画を進めていた。複雑怪奇な事件に銀次郎はどう立ち向かうのか!?
古びたアパートで、持ち主である秀雄と暮らす空気人形――空っぽな、誰かの「代用品」。ある朝、本来持ってはいけない「心」を持ってしまう。秀雄が仕事に出かけると、洋服を着て靴を履いて、街へと歩き出す。ある日、レンタルビデオ店で働く純一と出会い、その店でアルバイトをすることに。密かに純一に想いを寄せる空気人形だったが、彼の心の中にどこか自分と同じ空虚感を感じてしまう。
「何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合う。それが私たち家族の決まり」高度経済成長期に造られたニュータウンも今や「ダンチ」と呼ばれる集合住宅にすぎなくなっていた。京橋家の人々は“家族間では秘密をつくらない”という自分たちでつくったルールを守ることもできず、それぞれ誰にも言えない秘密を持っていた――。娘のマナは、学校をサボタージュし「ディズカバリーセンター」を呼ばれる巨大ショッピングセンターで時間を過ごし、時には見知らぬ男性とラブホテルに向かう。弟のコウもまた、学校に行っていないようだし、父・貴史は浮気に忙しく、長年の恋人・飯塚にストーカーまがいに付きまとわれたり、新しい恋人ミーナの若さに振り回されている。妻・絵里子もベランダのガーデニングに丹精を込めつつも、内心、母・さと子とのこれまでの関係に悩み、また、自分がかつてひきこもりの少女であった事実をトラウマとして抱え、生きている。ルールを言い出した彼女ですら、「わたしには、家族にたったひとつだけ秘密がある」――。ふとしたきっかけから、ミーナがコウの家庭教師として京橋家に乗り込んできた!“存在するはずのないお互いの秘密が暴露されはじめて・・・・・・・。
なんとなくワケあり気で、なんとなくヤバイ奴らが織り成す!!耽美と官能と衝撃の乱歩ワールド、ストイックでエロティックな愛の世界が花開く。美貌の人気作家今野佳子の担当となった倉田真理の仕事は、佳子に新作を書かせることであった。若くして華々しいデビューした佳子は、ここ数年新作どころかエッセイすらかいていない。真理が勤める出版社の新人賞に応募したことが佳子のデビューのきっかけで、作家志望だった真理はその賞に応募した過去があり、彼女にとって佳子はまさに憧れの存在であった。佳子は大御所作家の大河内俊作の弟子をしていた。弟子といっても実は、大河内の変態プレイの相手をしているだけだったという…。変わり者の大河内に耐えられなくなり、担当編集者まで失踪してしまうくらいであった。そして、出版社の屋台骨であった大河内自身までもが突然失踪してしまい、文芸誌の連載の穴を埋めるべく、美人の佳子を小原が抜擢したのだという。小原の狙いはまんまと当たり、若手の美貌作家として大河内以上の人気を得るようになったのだった。佳子の才能を昔から知るその先輩は、佳子にゴーストライターが付いているのではと疑問を抱いていた…。そして、真理は佳子の家に通うようになり、一人暮しの佳子の家で、佳子と自分以外の人間がいるのではないかと感じ始める…。