1980年5月18日、全米ツアー出発の朝、彼は23年という短い人生に自ら終止符を打った。イギー・ポップの『ザ・イディオット』がプレーヤーの上で何度も歌っていた。デヴィッド・ボウイに憧れていた少年の心のままで、夢を見続けたかった―。“ポスト・パンク”を代表するヒーローに上り詰め、熱狂のステージで激しく歌う裏で、イアン・カーティスは原因不明の痙攣、妻デボラと愛人アニークとの関係に揺れる。あくまで“ふつうの人間”として悩むロック・スターの知られざる一面は、多くの人たちの驚きと共感を得るに違いない。自分自身を抑制(コントロール)できずに苦しむ天才アーティストの若さゆえのはかなさ。それは誰もが経験する青春期に抱いた感情を呼び覚まし、観る者の胸をぐっと締めつける。
凄腕の殺し屋ヘンリーは、その日も厳重な警備に守られた大富豪ケスラーをいとも簡単に始末する。報酬さえ貰えれば、依頼主が何者かは問わない。普段は人里離れた山小屋で暮らしており、人が訪ねてくることなどまずありえない。しかし数日後ヘンリーは森で倒れている女を保護する。ヘンリーは疑いつつも女を介抱するが、ケスラー殺しの犯人を追う警察、そして女の行方を追う謎の男たちが、ヘンリーの孤独な平穏を乱そうとしていた。