雑誌編集部員の真由美(井上美琴)は、日本画展の取材にて、一人の女性が見入っていた絵に引きつけられる。その絵は『魚濫観巫音(ぎょらんかんぜのん)』といい、見ていた女性は純子(伊藤裕子)という刺青の彫師だった。観音を描いたその絵に魅せられた純子は、「いま一番彫りたい絵だ」と真由美に告げたのだった・・・。ある日、真由美は不倫相手に暴力を振るわれたところを、平田タケシ(波岡一喜)というチンピラに助けられる。偶然にも、彼の背中には純子の彫った伐折羅(ばさら)の刺青があり、不思議な縁に運命を感じた2人は愛を育んでいくが、幸せな時間は長くは続かない・・・。組同士の抗争で、己の信念を貫いて命を失ってしまったタケシ。最愛の人の魂を刻みたい、と真由美は純子に「彫ってくれ」と頼む。純子は真由美の肌に『魚濫観巫音』を彫り始める。苦悶と愉悦の狭間で、純子の声が響く。「鯉に騎(の)る観音は、慈悲心を司る仏、愛に生きる女」。タケシの名を呼びながら、身悶える真由美。“刺青”は彼女を、そして人生を大きく変えるのだった・・・。
私を抱いていたのはバブルという名の「虚像」。SEX、カネ、ビジネス…。成功が増幅させる果てしない欲望。欲望が増幅させる転落への甘い罠。田舎から芸能界を夢見て上京した女の子が、一夜にして若きITベンチャーの雄と恋に落ちる。高級ブランド、高級レストラン、高級外車に高級マンション、そして自家用ヘリコプター…。格差の広がる現代社会において、彼女が目にしたものは正に「勝ち組」そのもの。しかし、彼女が目にしていた本当のものは、砂上の楼閣の正に「虚像」であった。「負け組」に明日はない。「勝ち組」にも明日はない?!女と男に待ち受けていたのは、ITバブル崩壊がもたらした残酷なまでの結末だった。『極道の妻たち』シリーズ 家田荘子ベストセラー、映画化最新作!現役アイドル三津谷葉子が体当たり演技で挑んだ、エロティック・サクセス・ストーリー。