レイは今夜もまた颯爽と渋谷のネオン街に消えていく。SMクラブへ御出勤だ。レイのお客はオジサンが多い。みんな、レイにぶたれ、いじめ倒されるのを夢見て此処にやってくる。ボンテージ姿の女王様レイはオジサンたちにとって天使だ。彼女は昼間は小さな劇団の役者の顔を持つ。夜の女王様を演じることは、昼の役者の勉強にも役立つのだ。ホテトル嬢として働くアユミは、年齢よりも若く見えることを売り物に、客からお金を取り、心の中で舌を出す。結婚資金の為に、せっせと貯金をしている。目下、医者のタマゴと同棲中だ。浪人中の彼と今日も日がなセックスしながらパズルをする。このふたりが出会い、意気投合し、無軌道にもみえる生活が描かれる間合いに、“なんとなくだけども面白い”ふたりの青春が浮かびあがる・・・。
遊郭「蝉丸」。ここでは、様々な事情を持った女たちが働いていた。千草も蝉丸で客を取る遊女の一人。数年前に母を亡くし、千草に残されたものは金と女にだらしない義父と借金だった。そしてその義父にも犯され、しまいには、借金のカタがわりに蝉丸に売られたのだ。千草は店で男に抱かれるたびに、感情を出さなくなっていった。ある時、港で働く中川が客として蝉丸に来る。中川は、かつて千草が学生時代に淡い初恋を抱いた青年だ。戸惑う中川。中川は、まだ女を知らなかった。そんな中川を愛しく思った千草は、中川を優しく導き二人は結ばれる。そして中川は千草への想いを打ち明け二人は幸せな将来を夢見るが、千草の義父が二人の仲を嗅ぎ付け…。