その姿は世の女性が憧れる理想像。食品メーカーに勤め、業界の第一線を走るキャリアウーマン・川原由加利(長澤まさみ)は、研究医で面倒見の良い恋人・小出桔平(高橋一生)と同棲5年目を迎えていた。ある日、由加利が自宅で桔平の遅い帰りを待っていると、突然警察官が訪ねてくる。「一体、彼は誰ですか?」くも膜下出血で倒れ意識を失ったところを発見された桔平。なんと、彼の所持していた運転免許証、医師免許証は、すべて偽造されたもので、職業はおろか名前すらも「嘘」という事実が判明したのだった。騙され続けていたことへのショックと、「彼が何者なのか」という疑問をぬぐえない由加利は、意を決して、私立探偵・海原匠(吉田鋼太郎)と助手のキム(DAIGO)を頼ることに。調査中、桔平のことを“先生”と呼ぶ謎の女子大生・心葉(川栄李奈)が現れ、桔平と過ごした時間、そして自分の生活にさえ疑心暗鬼になる由加利――。やがて、桔平が書き溜めていた700ページにも及ぶ書きかけの小説が見つかる。そこには誰かの故郷を思わせるいくつかのヒントと、幸せな家族の姿が書かれていたのだった。海原の力を借りて、それが瀬戸内海のどこかであることを知った由加利は、桔平の秘密を追う事に……。なぜ桔平は全てを偽り、由加利を騙さなければならなかったのか?そして、彼女はいまだ病院で眠り続ける「名もなき男」の正体に、辿り着くことができるのか――。
あてもないけど、生きていく。ふつうの人間関係を築けない大人たちがその意味を探し続ける切なく孤独な旅-。あたしはこれから普通の家庭を築き、まっとうな生活を重ねていく。結婚を控え、そう考えていた泰子(初音映莉子)の前に現れた、かつて半年間だけ一緒に暮らした父の愛人の息子、智(高良健吾)。20年前、愛人・直子(草刈民代)と智が転がり込んできたことで、泰子の家族は壊れたはずだった。根無し草のまま大人になった智は、ふたたび泰子の人生を無邪気にかき回し始める。「邪魔しないであたしの人生」、そう普通の幸せを願っているはずなのに…。泰子は智とともに自分の母親、異父妹、そして智の母・直子を訪ねて行くことで、平板だった自分の人生が立ちどころに変わって行くのに気づき始める。
現在ではない、もう一つの現在。ここは渋谷区神南エリア。知力の低下を憂いた文部科学省は“クロス制度(14歳から35歳までを対象に、制限時間3分の間にクロスワードパズルを解かせる)”によって市民を抜き打ちで選別していた。引きこもりで読物依存症の青年・風間絋平と、移動式ナースの兄妹・ジョーとサツコは、絋平の膨大な知識量を活かしてクロス解答の代行業を始める。たちまち街のヒーローにまつり上げられた彼に文部科学省の追っ手が忍び寄る・・・。