25歳の森谷千波(小橋めぐみ)はごく普通のOL。しかし千波はそんな日常の生活に少なからず不満を感じていた。それは、彼氏の佳介(高橋一生)の仕事が忙しく2人で会う時間が急に減ってきていたから。佳介も気にかけており、今の仕事が落ち着いたら千波に結婚の意志を伝えようと考えていた。そんな折、千波の部署に新しい課長の桑村(保阪尚希)が赴任してきた。妻子ある40歳の桑村はスポーツマンタイプで甘く端正な顔立ちから、課のOLたちの憧れの的となる。桑村から食事に誘われた千波は「食事だけなら」と軽い気持ちで付き合う。佳介がいる千波にとって、桑村の左薬指で輝く結婚指輪が「この人には妻子がいるから」という安心感を与えていた。しかし、その日から2人の心と心が急速に近づき始める。そしてついに、2人の肌と肌が重なり合うときが訪れる。
弁護士の夫を持ち、社会的にも経済的にも恵まれた生活を送る女、園子。何不自由ない毎日を過ごす彼女の前に現れた妖艶な女、光子。美術学校で出会ったふたりは、光子の提案によって奇妙な関係を結ぶ。それは光子の婚約を破談にするため、ふたりが同性愛であるかの如くふるまうこと。当初は戸惑った園子ではあったが、光子の神々しいまでの美しさに魅了され、園子の夫も巻き込んで次第に悦楽の迷路に彷徨いこんでゆく・・・。
女子高に通うサキ、亜佐美、千花、頼子の4人は、夜通し渋谷で遊び歩き、携帯電話を片時も手離さない今どきの女の子。ある日、授業中に頼子の携帯に心当たりのない送信者から不気味なメールが届く。それは、身籠った17歳の橘あゆみという女性を暴行した挙句に胎児もろとも殺害した数人の男たちを捜して復讐を遂げるために、あゆみの友人らしき人物が始めた携帯版不幸の手紙“チェーンメール”であった。「12時間以内にこのメールを9人に回さないと、犯人とみなして殺す」やがて彼女たちのまわりにも不可解な事件が相次いだ。このままではいつ自分たちにもチェーンメールが届くかもしれない。一体誰が何のために・・・。彼女たちは早速犯人探しを始めるが、そんな中、恐れていた事態が遂に訪れてしまう。亜佐美の携帯に例のチェーンメールが届いてしまったのだ。八方塞がりになってしまったサキは、クラスの担任でITオタクの清水に助けを求めたが、清水はメールの出所を突き止めた暁に、自分とSEXをするよう求めてきた。核心に迫り始めたその矢先・・・、そこにはサキの、清水の、それぞれの思惑と期待を裏切る、とんでもない恐怖が待ち構えていた・・・。
来栖精像は、今は亡き伝説の彫り物師・彫精を超えることを目指し、また彫精の芸術作品とも言える刺青を後世に残したいと考えていた。そんなある日、精像にとって最高のカンバス・背中を持つ雨宮美妙と出会う。美妙は大学院で錦絵の研究に携わり、その色彩感覚は天性のものを持ち合わせていた。精像は美妙を誘拐監禁して刺青を彫らせるよう迫る。しかし、錦絵の魅力と刺青の持つ魔性に吸い込まれたように、美妙は逆に最高の刺青を精像に彫ることを要求する。彫精を超える芸術的な刺青を残そうと、精像の持つ針が美妙の背中を繊細に踊る。そして遂に、背中を抱きしめるような、見事な八重垣姫の刺青が美妙に彫られた。その見事な八重垣姫は2人の間に張り詰めた空気の流れをわずかながらせあるが変えてしまったのだ。それは強い者(監禁した精像:彫った精像)、弱い者(監禁された美妙:彫られた美妙)の立場を逆転させると同時に、2人にとって決して逃れることの出来ない運命と対峙させてしまう。その運命とは・・・。美妙と精像の絵と色彩における才能に関する謎が、いま解き明かされようとする。