2011年3月11日。東日本大震災による大津波は、東北沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。多くの命が失われ、人々は深い悲しみの中にあった。そんな中、「被災地で花火を打ち上げたい」と考えた男がいた。震災からわずか5か月後の2011年8月11日、岩手・宮城・福島の沿岸10市町村で同時に花火を打ち上げる――。それは前例のない挑戦だった。「今それどころじゃない」「不謹慎だ」被災地からの反対の声、資金集めの困難、行政や地域との調整。数々の壁に直面しながらも、プロジェクトに関わる人々は花火を打ち上げる意味を問い続ける。喪失と悲しみの中で、人は何を支えに前を向くのか。震災から5か月後の東北を舞台に、鎮魂と復興への願いを込めた花火大会「LIGHT UP NIPPON」の実現までの道のりを追う。
2019年10月28日、監督・片渕須直は東京国際映画祭のレッドカーペットを、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の主演女優のんと歩いている。2016年11月に始まった映画『この世界の片隅に』の公開からの約3年。そこには、日本全国で行われた数多くの舞台挨拶、海外の映画祭への参加、そして『さらにいくつもの片隅に』完成に向けて、徹底的なリサーチと圧倒的なこだわりを持ってアニメーション制作に臨む監督の姿があった。
広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。 そして、昭和20年の夏がやってくる――。
8歳のサヤカ(新津ちせ)は、両親(坂井真紀、滝藤賢一)、愛犬のルーと一緒に赤い電車が走る海辺の街で暮らしていた。彼女は臨海学校で留守にした数日の間にルーがいなくなったことが信じられず、ルーとの思い出の場所を訪ねては捜し続けていた。ある日、サヤカは以前ルーが連れていってくれた野原で一匹の犬と出会う。
妹に付き添って、パリ観光にやって来たカメラマンのセン(向井理)は、パリに着くなり、単独行動をしたいと言う妹スズメ(桐谷美玲)に置き去りにされてしまう。泊まるはずのホテルもわからず途方にくれるセンだが、落としたパスポートが踏まれて破れてしまい、さらに困った状況に……。踏んだ靴の主は、パリでフリーペーパーの編集をする日本人女性、アオイ(中山美穂)だった。パスポートを踏んだために、ヒールが折れてしまったアオイの靴を、接着剤で直すセン。感謝したアオイは、困ったときのために自分の連絡先を渡す。 スズメと連絡がとれないセンは、しかたなくアオイに電話をかけ、その夜、ふたりは食事をすることになる。話がはずみ、酔っぱらってしまったアオイを、自宅まで送り届けるセン。結局、ホテルに戻れなくなったセンはアオイの部屋に泊まってしまう。そのころスズメは、パリに住む恋人のカンゴ(綾野剛)を訪ね、久々の再会を果たすも、カンゴの態度はどこかぎこちない。 センはカメラマンとしてアオイの取材にも同行し、パリを満喫していく。ヒールが壊れた靴のまま歩き、「新しい靴、買わなくちゃ」とつぶやくアオイを、センは優しく見つめる。やがてふたりは、誰にも言えなかった思いも打ち明け合うのだった。なぜひとりでパリに暮らしているのか。これからもカメラの仕事を続けるべきなのか。抱きしめ合うふたりの気持ちはひとつになっていく。このまま離れたくない……。