寡黙で不器用な、懐かしい父親。とある山間にある村・花谷村。美しいその村が、ダムに沈もうとしている。避けられない運命に対し、村役場は、村のすべての家族を写真におさめることで、花谷村の美しさを永遠に残すことを考える。依頼を受けたのは、村の写真屋、高橋研一と東京で写真家を目指す息子の孝。なぜ父は決して親密ではない息子を、助手に指名したのか。一軒一軒、険しい山道を歩き、写真を撮り続ける2人。頑ななまでの父の背中に、しだいに息子は何かを感じ始める・・・。
おじさま、あたいを恋人にして頂戴。短い人生なんだから、愉しいことでいっぱいにするべきよ 自分のことを「あたい」と呼び、まあるいお尻と愛嬌のある顔が愛くるしい赤子(二階堂ふみ)は、共に暮らす老作家(大杉漣)を「おじさま」と呼んで、かなりきわどいエロティックな会話を繰り返し、夜は身体をぴったりとくっ付けて一緒に眠る。しかしなにやら様子がおかしい。赤子は普通の女とは何かが違う。普通の人間には彼女の正体がわからず、野良猫には正体がバレてしまう。そう、彼女はある時は女(ひと)、ある時は尾ひれをひらひらさせる真っ赤な金魚だったのです・・・。そんな或る時、老作家への愛を募らせこの世へと蘇った幽霊のゆり子(真木よう子)が現れる。老作家の友人・芥川龍之介(高良健吾)、金魚売りの男(永瀬正敏)が3人の行方を密かに見守る中、ある事件が起きて・・・。