夏、灼熱のインターハイ。その戦いの地・栃木に、3人の男が向かっていた。昨年、総北高校自転車競技部のメンバーとしてインターハイを制覇した、金城真護、巻島裕介、田所迅だ。彼らは新生チーム総北の応援のために集結したのである。車を走らせながら、3人は昨年の戦いを振り返りながら、新生チームへの期待に胸を膨らませていた。高校からロードレースを始めた初心者ながら今やチームのエースクライマーとなった小野田坂道、新キャプテン手嶋純太をはじめとする総北高校自転車競技部。インターハイの戦いに臨む彼らのこれまでの道のりは、決して平坦ではなかった。信頼し支えてくれていた先輩との別れ。「全員で支え合い繋ぐ」というチームの魂の継承。他校だけでなくチーム内の仲間とも激しくぶつかったインターハイ出場を賭けた戦い…。それらを乗り越え、全国の強豪が集まるインターハイの頂点を目指して、灼熱の地を駆ける!新世代の始まりの物語が、ここに―!
「弱虫ペダル SPARE BIKE 巻島裕介」春、総北高校に入学した巻島裕介。これまでたった一人で走ってきた彼は総北の自転車競技部に入部することで、自らの自由な走りで周囲から認められ、広い世界に羽ばたくことが出来る、と胸を躍らせていた。しかし、彼の独特なダンシング走法は、部の先輩たちから嘲笑され、走り方を直すように言われてしまう。「自転車は自由だ」と信じていた巻島は…。「弱虫ペダル SPARE BIKE 東堂尽八」オシャレであることがモットーの中学二年生・東堂尽八は、箱根の街に生まれ育った、老舗温泉旅館の嫡男。ある日、ロードバイクに乗る友人・糸川修作から自転車レースに誘われるも、ヘルメットで髪が乱れる理由から拒否。しかし試しに2人で競うように箱根の山を走ってみると、東堂の心の中にひとつの衝動が生まれ―。「弱虫ペダル スペアバイク それいけアラキタくん」箱根学園1年生ヤンキー、荒北靖友は今日も授業をサボり、校舎裏へ。そこで出会ったのは…。
アニメやフィギュアが大好きなオタク少年・小野田坂道は、入学した総北高校で、中学時代に自転車ロードレースで名を馳せた今泉俊輔と鳴子章吉と出会う。坂道は、小さな頃から自転車で毎週往復90kmの秋葉原通いで知らずのうちに鍛えられた自転車の才能、高回転<ハイケイデンス>なペダリングを彼らに見出され、自転車競技部の門を叩く。今泉や鳴子、そして金城、巻島、田所ら実力派の先輩たちとの練習でどんどん才能を伸ばしていった坂道は、意外性の力を見込まれ全国大会<インターハイ>のメンバーに”クライマー”として選出される。”全員がエース”という最強チーム、王者・箱根学園や、今泉が激しく敵対視する”怪物”御堂筋を擁する京都伏見高校など、全国の強豪校が揃う、3日間に及ぶ過酷な戦い。チーム全員の想いが詰まったユニフォームジャージを真っ先にゴールに届けるため、チーム総北は力の限りペダルを回し、疾走する!