流行っているから低予算で作れば儲かる、という安易な発想と低い志で製作されることになった、とある “壁ドン”映画の撮影現場。ところが主演俳優が“壁ドン”について悩みはじめ、撮影がストップしてしまう。24時間稼働当たり前の過酷な現場で、事態の収拾を押しつけられたのはペーペーの助監督・黒沢明。名前だけは“巨匠”で“一流”だが、断れない性格が災いして便利使いに甘んじている、B級ホラーを愛するただの気弱な映画オタクだ。唯一の心の支えとしていた、いつか監督になる夢が無残に打ち砕かれた時、黒沢のうっ積した不満は悪霊を呼び寄せ、監督デビューのために書き温めていた渾身の脚本「ゴーストマスター」に憑依してしまう。撮影現場を阿鼻叫喚の地獄へと変えていく「ゴーストマスター」を、黒沢と撮影隊は止めることができるのか!?
詩人・小説家の耕治人が妻ヨシさんとの晩年の日々を綴った<命終三部作>(『天井から降る哀しい音』『どんなご縁で』『そうかもしれない』)を映画化したヒューマン・ドラマ。長く連れ添ってきた妻がある日突然認知症となり、穏やかな日常が一変してしまう中で、それでもすべてを受け入れ妻を優しく見守り続ける夫の姿を描く。主演は雪村いづみと上方落語界の重鎮、三代目桂春團治。