かつて国内で栄えた造船業が急速に廃れた後の日本。瀬戸内海に面した香川・坂出に逃げ着いた女(河野知美)は、体を売って孤独に生きていた。女には6年前、長崎・佐世保で共に暮らしていた夫(梅田誠弘)のもとから、別の男と駆け落ちした過去があった。ある雨の晩、突然訪ねてきた夫。女のさびれたアパートの部屋で、二人が空白の時間を埋めるかのように語らい、体を重ねるにつれ、次第に時空が歪み出し……。
携帯を持たない。合コンにも行かない。他人には干渉しない。アパレル会社で事務の仕事をしながら、静かで規則的な毎日を送る独身OLのヒロコ(渡辺真起子)には誰にも言えない秘密があった。彼女は家に帰ると、顔も手も足も無い“トルソ”と呼ばれる男性型の人形を、心と体の拠り所にしていたのだ。ところがある日、ヒロコとは正反対の性格を持つ奔放な妹ミナ(安藤サクラ)が家に押し掛けてきたことで、彼女が守ってきた日常は揺らぎ始めてしまう。傷つくことを恐れて他人との繋がりを頑なに避けてきたヒロコと、夢を抱いて上京してきたが仕事も恋愛も上手くいかないミナが始めた共同生活。短い夏が終わりを告げるとき、ふたりが歩き出した新しい人生とは…。
ある日、仕事から帰ったタイチは、唯一の肉親である父が首を吊って死んでいるのを見つける。荒んだ生活を送っていた父。タイチは、狭い街の中で父を殺したのではないかと疑われ、仕事を辞めさせられただけでなく、生き場所を失ってしまう。その父を、たったひとりで“骨”にした日、タイチは、施設から逃げ出してきた知的障害の少女・月子と出会う。
人付き合いが苦手な女子高生・未来はある日、リサイクル施設から聞こえてくる澄んだ歌声に導かれ、不思議な少女・小雨と出会う。そして、未来が描いた洋服のデザイン画を目にしたナノカたちに誘われて、演劇部に衣装スタッフとして入部することになる。未来は戸惑いながらも少しずつ小雨やナノカたちに心を開いていった。そんな彼女たちのひと夏は思いがけない方向へと走り出していく。
その冬、海炭市では、造船所が縮小し、解雇されたふたりの兄妹が、なけなしの小銭を握りしめて、初日の出を見に、山に昇ったのです…。プラネタリウムを動かしている男は、妻の裏切りに傷つき、燃料屋の若社長は、苛立ちを抑え切れず、父と折り合いの悪い息子は、帰郷しても父に会おうともせず、立ち退きを迫られた老婆の猫は、有る日姿を消したのです…。
震災で心に傷を負った由美は小さな飲み屋で働くことになる。店主の杉谷には謎めいたところがあった。彼は、記憶をすべて失い、山の中で発見されたのだ。8年が経ち、今では小さな小料理屋を任されるまでになったが、あたたかな人々に囲まれながらも彼の心はいつも怯え、自分が何者なのかわからない孤独を抱え込んでいたのだった。傷ついた魂を持つ杉谷と由美。ふたりはやがて心と体を寄り添い合わせるようになるのだが…。
病弱な夫と味気ない結婚生活を送っていた“妻”は、2人の幼馴染でもある“愛人”と不倫関係にあった。ある日、妻は愛人と結託し、偶然を装い夫を溺死させようと企てる。しかし、ボートから湖に夫を突き落とそうとした時、3人はボートもろとも転覆してしまう。やっとのことで岸にたどり着いた2人だったが、そこに夫の姿はなかった。2人は湖畔のラブホテルに宿をとり、夫の溺死体があがるのを待つことにするのだが・・・。
東京で舞台美術の仕事をしていたまりは、ふるさとの西伊豆の小さな町で、かき氷屋で生きていくことを宣言する。ある日の朝、突然母から、大学時代の友人の娘であるはじめちゃんが、しばらくうちに滞在することになったから面倒を見てくれ、と頼まれる。はじめちゃんは顔に火傷の痕が残り、また一緒に暮らしていたおばあさんを亡くしたばかりで、心に傷を抱えていた。