かつて絶世の美人娼婦として名を馳せた、その気品ある立ち振る舞いは、いつしか横浜の街の風景の一部ともなっていた。“ハマのメリーさん”人々は彼女をそう呼んだ。1995年冬、メリーさん突然姿を消した。自分からは何も語ろうとしなかった彼女を置き去りにして膨らんでいく噂話。いつのまにかメリーさんは都市伝説のヒロインとなっていった・・・。2006年ミニシアターながら口コミで大ヒットした噂の作品がリリース!
京都嵐山・天龍寺。世界遺産にも登録されているこの名刹に、一風変わった禅僧がいた。名はヘンリ・ミトワ。1918年、横浜でアメリカ人の父と新橋の芸者だった母の間に生まれた日系アメリカ人である。1940年、単身渡米。戦時中は敵性外国人として、日系人強制収容所で過ごした。戦後、ロサンゼルスで幸せな家庭を築き、1961年、帰国。時代の波に奔走されながらも、日本文化をこよなく愛し、茶道・陶芸・文筆にも優れた才能を発揮したヘンリは、古都の多彩な文化人や財界人に囲まれ、悠々自適の晩年を楽しむ…はずだった。「“赤い靴”をモチーフにした映画を作りたい!」、80歳を目前に突如、追い求めた夢によって、家族や周辺の人々を巻き込み、彼が築き上げてきた“青い目の文化人”という地位から大きく逸脱していく…。