その夜、一人の若者が地下鉄のホームから線路に転落する。運転士のレオは、なんとか電車を急停車させ最悪の事態を回避したかに見えた。しかし、若者は銃で撃たれ重症を負っており間もなく息を引き取る。驚くべきことに、彼は疎遠になっていたレオの息子・ユーゴだった。警察は、ユーゴが凶悪な強盗事件に関与していたとして捜査を始めるが、父親であるレオの経歴は謎に包まれていた。
1974年パリ、カトリック人口が多数を占め更に男性議員ばかりのフランス国会。シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)はレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、「女性の権利委員会」の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家。その信念を貫く不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった-。
そこは戦場という名の地獄1960年、内戦真っ只中のフランス領アルジェリア。前線を退いたはずのブライトナー大佐に突如として極秘の任務が舞い込んでくる。それは、フランス軍がナパーム弾で当地を焼き払うまでのわずかな時間に、行方不明となったドリニエール大佐の形見を捜索するというものであった。決死の任務に挑むことになったブライトナーは、英雄に憧れる無法者のマルティヤ2等兵や、上官殺害の罪に問われるサンゴ―ル軍曹等、くせ者を集めた特殊部隊を結成する。そして任務当日、いざ降り立った憎しみの大地で目の当たりにしたのは、政治的混乱によって無差別に繰り広げられる殺戮、戦争の狂気であった…。果たして彼らは次々と襲い来る脅威を乗り越え、無事に任務を完遂することができるのか!?
2000年2月、フランス南西部トゥールーズ。38歳の女性スザンヌ・ヴィギエが3人の子供を残して忽然と姿を消した。夫ジャックに殺人容疑がかけられるが、明確な動機がなく、決め手となる証拠は見つからない。ジャックは第一審で無罪となるがすぐさま検察に控訴され、翌年の第二審で、再び殺人罪を問う裁判が行われる。無実を確信するシングルマザーのノラは、敏腕弁護士デュポン=モレッティに弁護を懇願。自らも助手となり250時間の電話記録を調べるうちに、新たな真実と疑惑に気がつくが…。
ブリュノ、20歳。ソニア、18歳。ソニアはふたりの子供・ジミーを出産したばかり。小さな盗みをしては盗品を売った金でその日暮しをしているブリュノに「真面目に働いて欲しい」とソニアは頼むが、ブリュノは相手にしない。ふたりは職業斡旋所に行くが、ブリュノは長蛇の列を見て辟易してしまう。列にはソニアが残り、ブリュノはジミーを連れて散歩をする。ふと、昨晩、取引をした女の言葉を思い出して電話するブリュノ。「いくらで子供を買う?」――ブリュノはソニアに黙って、子供を売った。彼はまだ何も知らなかった。涙も、働く汗も、本当の愛も、命の重ささえも。ショックを受け、倒れるソニア。ブリュノは自分の犯してしまった過ちに気づくのだが……。
職業訓練所で大工仕事を教えているオリヴィエ。ある日、フランシスという少年が入所してくる。オリヴィエは動揺し、秘かに彼の動向を観察するようになる。フランシスは目指すべき大人を知らず、自分を受け入れてくれる人を求めていた。やがてオリヴィエは自分のクラスに入ってきたフランシスに仕事を教えるようになり、フランシスはオリヴィエを父親のように慕うようになる。しかし、オリヴィエの心にはある事件の影が重くのしかかっていた。フランシスは、5年前に自分の息子を殺害した犯人だったのだ…。
キャンプ場のトレーラーハウスで酒浸りの母親と暮らす少女ロゼッタ。ある日、理由もなく工場での仕事を奪われてしまう。必死に抵抗するが、仕事を取り戻すことができない。怒りと絶望をはっきりと表情に刻みながらも、ロゼッタは涙を見せない。大きく息をつくと、怒ったように早足で歩き始める。ただ新しい仕事をみつけるために。ロゼッタは仕事を探し出せるだろうか?頑なな心が開かれる時は訪れるのだろうか?
違法外国人労働者の売人である父親に従属し、罪の意識もなく生きる15歳の少年イゴール。ある日、瀕死の外国人労働者と交わしたひとつの約束が、彼の心の葛藤を生む。約束を守ることは、父親を裏切ることになる。イゴールは、苦しみながら真実と向き合い、自分に目覚めていく。
もうすぐ12歳になる少年シリル。彼の願いは、自分をホーム(児童養護施設)へ預けた父親を見つけ出し、再び一緒に暮らすこと。一人で父を探し回る中、美容院を経営する女性サマンサと出会う。サマンサはシリルの話を聞き、盗まれたという父親に買ってもらった大切な自転車を探し出し、取り戻してくれた。シリルは週末だけ里親になってくれるようにサマンサに頼み込み、一緒に暮らしながら父親探しを始める。ようやく父親を見つけ出し、再会を果たしたシリル。ところが父親は喜ぶどころか、シリルをすげなく拒絶してしまう……。
診療時間をとっくに過ぎた午後8時に鳴ったドアベルに若き女医ジェニーは応じなかった。その翌日、診療所近くで身元不明の少女の遺体が見つかる。それは昨晩、ドアベルを鳴らした少女だった。彼女は誰なのか?なぜ死んだのか?亡くなる直前の少女の足取りを探るうちにジェニーは危険に巻き込まれていく。彼女の名を知ろうと必死で少女のかけらを集めるジェニーが見つけ出す意外な死の真相とは。