2020年、熊本を襲った豪雨から3か月。母の訃報を受けた孝之(中原丈雄)は22年ぶりに帰郷するが、仮設住宅で暮らす息子の文則(渡辺裕太)は、かつて自分を捨てた父に心を開こうとしない。幼馴染の宏一(三浦浩一)が営む旅館「三日月荘」もまた半壊の痛手を負っていた。女将の雪子(清水美砂)が再建を願う一方、父を土砂で亡くした宏一は前を向けず、災害は夫婦の間にも亀裂を生む。その頃、球磨川くだりの再開を信じて船頭を志す文則は、かつての同級生・樹里(篠崎彩奈)と再会。隣人の直彦(不破万作)と妻のさとみ(宮崎美子)は仮設から自宅に戻ることを決め、孝之も水害で荒れた田畑の開墾に希望を見出していく。「居場所ばなくしたら、自分で取り戻すしかなか」 河とともに生きてきた人々は、それぞれの歩み方で明日へ進もうとしていた――。
ケイン・マディソンはロサンゼルスで建築家としての日常を送る一方で、心に潜むもう一人の自分は、浪人として悪の武将が支配するサムライの世界を彷徨っていた。様々な現実世界でおこる不運に絶望したケインは、心の拠り所を探す旅に出る。現実世界、そして心の世界、それぞれの戦いの先には一体、何があるのか。