東北から上京した正次(松本享恭)は、やることもなくふらついている所で、ひょんなことから大輔(細田善彦)と出会う。大輔と意気投合し、てっとり早く金儲けをたくらんだ二人は、ヤクザの傘下に入り違法な利益で金を貸し付ける闇金稼業を営むことになった。債務者に容赦なく追い込みをかける正次と、気が弱く非情になりきれない大輔。2人の性格は正反対だったが、なぜかウマが合い、闇金稼業も順調であった。そんなある日、正次は親分格にあたる組長・成松(川瀬陽太)から勧誘される。一方の大輔は恋人・舞香(仁科あい)の借金が発覚し、成松の組の金を持って舞香と行方をくらましてしまう…。
1995年、神戸。伊智子と太助は、阪神・淡路大震災により一人娘のれいこを亡くす。その後、離婚した二人はそれぞれの生活を始め、淡々とした日常の中、徐々にれいこの死を受け入れていく。2018年、久しぶりに再会した二人は、れいことの思い出の水族園へ行き、イルカショーを見るが…。
眠っていた恋心に火がついて止まらない!愛しているなら私を捕まえて!!杉下可南子(43)は夫・方正の浮気が原因で家出して東京下町の大衆食堂で働き始めた。履歴書に書いた33歳という嘘はすぐにばれるが、店主の芳雄と芳雄の娘・泰葉は可南子の明るい性格が気に入り、快く受け入れた。そんな可南子はある日、道端で酔って寝転ぶ男性を介抱する。可南子が介抱した男・謙一は一緒に暮らしていた彼女にフラれ、傷心のあまり酒と睡眠薬を一気飲みしたと言う。顔を見ると可南子より一回りほど年下の青年だった。泥酔している謙一を部屋まで運ぶ可南子であったが、謙一は恋人と間違えたのか、突然可南子を抱き寄せキスをする。瞬間的に恋愛スイッチが入った可南子は、偶然手にした合鍵を使って謙一の部屋に忍び込むようになり……。
一年前に夫を亡くした淳子は夫の残したタイ料理屋を一人で切り盛りしていた。ある日淳子は店に置くハンドメイドのテーブルを通信販売で購入する。 送られてきたテーブルは素朴で素敵な作りをしていたが、オマケで送られてきた人形の首が取れていた。気遣いのつもりで淳子がメールすると家具職人の裕司から送りなおすと返事がくる。そもそも不必要なものが壊れて送られてきたことに納得のいかない淳子は「親切の押し売りはやめて、あなたは宮沢賢治の『ツェねずみ』のねずみにそっくりです」と再度返信。そこから二人の会話が始まった…。夫との死別から立ち直ろうとする淳子と生真面目すぎるバツイチ男・裕司の心の交流が観る者の心を温かくする。人生の半ばを過ぎた大人たちに訪れた優しいラブストーリー。