児童相談所で働く小春は、自転屋を営む実家で父と妹と祖父と4人暮らし。母に捨てられた過去を抱えながらも、幸せでも不幸せでもない平凡な毎日を送っていました。しかしある夜、怒涛の不幸に襲われ一晩ですべてを失ってしまいます。そんな彼女に手を差し伸べたのが、8歳の娘・ヒカリを男手ひとつで育てる開業医の大悟。優しく、裕福な大悟は、まさに王子様。「ただ幸せになりたい」と願う小春は、出会って間もない彼のプロポーズを受け入れ、不幸のどん底から一気に幸せの頂点へ駆け上がりました。シンデレラの物語ならここで“めでたしめでたし”。しかし小春の物語はそこでは終わりませんでした…
流行っているから低予算で作れば儲かる、という安易な発想と低い志で製作されることになった、とある “壁ドン”映画の撮影現場。ところが主演俳優が“壁ドン”について悩みはじめ、撮影がストップしてしまう。24時間稼働当たり前の過酷な現場で、事態の収拾を押しつけられたのはペーペーの助監督・黒沢明。名前だけは“巨匠”で“一流”だが、断れない性格が災いして便利使いに甘んじている、B級ホラーを愛するただの気弱な映画オタクだ。唯一の心の支えとしていた、いつか監督になる夢が無残に打ち砕かれた時、黒沢のうっ積した不満は悪霊を呼び寄せ、監督デビューのために書き温めていた渾身の脚本「ゴーストマスター」に憑依してしまう。撮影現場を阿鼻叫喚の地獄へと変えていく「ゴーストマスター」を、黒沢と撮影隊は止めることができるのか!?