小林絢香は、ボランティアで少年キャンプの引率者として、親友のすみれと共に山奥のキャンプ場へやって来た。就職活動がうまくいかずに落ち込んでいる絢香の気晴らしになればと、以前からスタッフをしていたすみれが誘ったのだ。 キャンプに参加者したのは小学生の男女6名。都会育ちの彼らは、めったに見れない大自然を見て興奮、キャンプを満喫していたのだが…1人だけみんなの輪に入らない子供がいる。小学5年生の上杉響だ。「どうしてみんなと遊ばないの?」と気になって声をかける絢香。響は詳しくは語らないが、何かを気にしている様子である。鋭い眼光の“何者か”が物陰から様子を伺っている事にはまだ誰も気づいていない…そんな中、日も暮れた暗い森の中で、一人の少女が発見される。しかも少女は傷だらけでボロボロの服を着ている…警察へ連れて行きたいが、夜も遅いため、明日の朝にすみれが山を降りて警察を呼んでくることになった。絢香は、その少女の顔にどこか見覚えがあるのだが…そうして翌朝を迎える絢香たちだったが、悲劇はもうすでに始まっていた…男の子の一人の行方が分からないのだという。誰かが呟く。「“あいつ”だ…“あいつの親父”が復讐しにきたんだ…」“それ“がなんなのか、誰もつかめないまま、一人、また一人と子供たちが消えてゆく…まるで”それ”を見てしまったら、おしまい、であるかのように…
結婚から3年、大内綾(30)は仕事に熱中する日々を送っていた。夫・健太郎から「そろそろ子どもが欲しい」と言われるが、綾は妊娠・出産に勇気が持もてない。ある日綾は仕事で、子どもを持たない夫婦が子どものいる家庭を体験する『家族留学』のイベント運営を任される。2人の子どもを育てながら働く三島沙織(30)の家庭に体験に行くが、綾は生活のためには「本当にやりたい仕事」を諦め事務職で働く沙織の気持ちが理解出来ず傷つけてしまう。一方の沙織も、夫からの家事育児の協力が得られず不満が積もる日々を送っていて…。