モナは世界選手権を目指してトレーニングに励む上級ボディビルダー。モナは完璧な美を求め、睡眠、栄養、トレーニング、ドーピングの量、心理学、そして性生活まで徹底的に管理した日常を送っている。しかし、若い男とのたった一度の短い性的な出会いが、モナの規律と意志のバランスを崩していき、モナの奥底に眠っている欲望が暴れ始める・・・
美しいアリーナを妻に持つ、映画脚本家ステファノ。2人は互いに愛し合ってはいたが、肉体的にも激しい愛を求めるアリーナにとって彼とのセックスは物足りず、彼女にはパオロというピアニストである愛人がいた。やがてアリーナは、平日は夫と過ごすが週末はパオロと過ごしたいと夫に言い出す。かくして、金曜の夜になると入念に化粧と身繕いをして外出する妻の姿を見送るうち、ステファノは激しい嫉妬心にさいなまれるようになる。
【第1の時間軸】1980年代、マレーシアで史上2人目の女性裁判官となったユンリンは、連邦裁判所判事を目指していた。かつて愛した謎多き男・中村がスパイとして糾弾されているのを知った彼女は、彼の潔白を証明できる証拠を探すことを決意する。【第2の時間軸】戦後の1950年代。夢だった日本庭園を造るため、キャメロンハイランドで活躍する日本人庭師・中村のもとで見習いとなるユンリン。彼女は日本人への複雑な感情を抱きながらも、どこかミステリアスで孤独な中村に惹かれてゆく。【第3の時間軸】第二次大戦中、ユンリンは妹のユンホンと共に、日本軍によって強制労働に駆り出されていた。やがて敗戦した日本軍は、現地人捕虜を収容所ごと焼き払う。ユンリンは1人逃げ延びるが、妹を見殺しにしてしまった自責の念に苛まれ…。
東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける―。