家族のしがらみから逃げてきたフリーター・辰巳ユリ、複雑な過去を背負い、女性に貢がせて生計を立てている中条紘、日雇の肉体労働で日々を過ごし、女性に対して愛情表現が不器用な石田鉄平、過去の事こそ話さないが「コーポ」の一角の部屋で怪しげな商売を営む初老の宮地友三。彼らは大阪の下町にある安アパート「コーポ」に住んでいる。ある日、コーポで暮らす同じ住人の山口が首を吊って死んでいるのを宮地が見つける。似た境遇で暮らす人間の死を目の当たりにして、ユリたちはそれぞれの人生を思い返し――。
とある孤島で生活をする二人の男と一人の女。「ニコニコ人生センター」という宗教的な団体に所属している3人は、「孤島のプログラム」と呼ばれる無人島での共同生活を送り、安住の地へ行ける日に思いを馳せていた。3人は本名を捨て、男の1人(磯村勇斗)は「オペレーター」、女(北村優衣)は「副議長」、もう1人の男(宇野祥平)は「議長」と名乗り、互いにそう呼び合っている。笑顔を表す顔文字のようなものがプリントされた揃いのTシャツを着て、毎日決められた「プログラム」に従って、規則正しい生活を送っていた。起床すると地面に腰を下ろし、それぞれの脚を伸ばし三角形を描くように足裏を合わせ瞑想。その後、簡素な朝食を囲み、それぞれ昨晩に見た夢の内容を報告しあう。かと思えば、今度はお互い頭に浮かんだ記号をホワイトボードに書き付け、そのイメージが通じ合っているかを確かめるテレパシーの実験のようなことを始め出す。