街なかを自転車で走り抜ける若いビジネスマン、西島伸太郎。空き地を見つけると、つい自転車を止めスマホで写真を撮る空き地マニア。スマホの写真を確認する中で一つの写真に手が止まる。時は遡り5年前。5日後に取り壊しが決まっている古い学生寮の1室。麻雀をする美濃部軍平、児玉香奈枝、前野中吉、渡辺美月と興味なさそうに本を読む伸太郎。その日は美月の退寮記念の麻雀大会だった。翌日は児玉が、その次の日は中吉が寮を出ることが決まっており、一番年上の10回生・美濃部を中心とした仲の良い5人はそれぞれ、恋愛、卒業後の人生、それまでの学生生活、寮でのできごとなど後悔や悩みを抱えながら最後の日々を送る。皆、伝統にならい、寮の壁に想いをこめた落書きをしたため寮を去っていった。そして、最後まで残った美濃部と伸太郎は――。
「すきがあるのは楽しかね」「俺は辛いかな」 何事も「フツー」な毎日を送る大学生・堀内賢星。ある日突然、同級生の七瀬宇海と衝撃的な出会いを果たす。「好き」がたくさんある宇海との会話はどこか噛み合わず、自分と真逆な彼女に戸惑うも、不思議な魅力に惹かれていく。謎の踊りと染め物のTシャツ。苦手な激辛カレー。興味のなかったカメラ。部屋に飾られた大小の手形。空港が見える秘密の裏山。賢星は、宇海と来るはずだった海岸を見つめ、「特別」な毎日を思い返す。愛に溢れた彼女の抱えるものとはなんだったのか?豪快な宇海と、合理的な賢星。クスッと笑えて、すれ違いに切なくなる。長崎を舞台に描く、対極的なふたりの「恋」の物語。
ゴンママこと権田鉄雄は昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通う「スナックひばり」を営むでっかくマッチョなオカマ。皆の良き相談相手でいつも陽気なゴンママだか、人知れず不安を抱え眠れない日々を送っていた。ある夜、ジム仲間の歯科医・四海良一が一人でスナックにやってくる。普段はマシンガントークでうるさいぐらいの良一だったが、数年前のある出来事の悲しみを乗り越えられず、妻の由佳との関係も冷え切っていた。話を始めた良一にゴンママとバーテンダーのカオリちゃんはそっとカクテルを出す。ソルティドッグ。カクテル言葉は「寡黙」。戸惑う良一にゴンママは語りかける。