旅の僧侶・小次郎法師は、全国行脚の途中で、現在の神奈川県の秋谷という集落の屋敷に、魔物が住んでいるという噂を聞きつけて、興味本位で立ち寄ることにした。茶屋の姥に話を聞くと、どうやら訳ありの若者が、その魔物の家に住み着いて日々やせ細っているという。懇願された小次郎法師は、一度は願いを引き受け、若者の助けになろうと屋敷へと向かうのだが、辿り着く前から、目に見えぬ怪しい蜘蛛の糸に絡め取られつつあった。
北の小さな町の漁師である善次(升毅)は、喧嘩別れをしてから一度も会っていない息子の光雄(和田聰宏)をがんで亡くす。東京で執り行われた葬儀にも出席せず四十九日を迎えようとしていたところに、光雄の妻の透子(田中美里)が娘の美晴(日髙麻鈴)と凛(宮本凜音)を連れて、善次の元を訪ねてくる。大事なことほど言葉にできない善次。かけるべき言葉を見失っている透子。世の中の音を言葉にしていく美晴。言葉にできれば、つながれる。家族の再生の物語。