かわいい娘の教育費を稼ぐため、精力的に定期便の仕事をこなすケイ(坂上香織)。この仕事の前任者が、かつての族仲間だった雄太(羽村英)であることを聞いたケイは彼のもとを訪れる。一方この二人の再会に嫉妬の炎を燃やす美咲(栗林知美)は、トラックでの勝負をケイに挑む。北アルプスを背に対決の時を迎える二人。だがこの時ケイも美咲も自分たちが北アイルランド解放同盟と長野県警、さらに茨城県警をも巻き込んだ大事件の渦中の人となることに気付いていなかった・・・。
二代目共雄会会長・服田武の引退により、後継に理事長・山岡久(小沢仁志)が決定した。だが、それを不服とする者も少なくはなく、その中心的存在である梶本(小沢和義)は、尾道の侠義会と結託し山岡を襲撃した。これにより共雄会は侠義会と対立。山岡の目指す広島やくざの結束に暗雲が立ちこめる。発砲に次ぐ発砲、そして報復。血で血を洗う第三次広島抗争の始まりである・・・。
“蛙の子は蛙”14歳になったケイ(坂上香織)の娘・アイコ(菊池美遊)は、グレにグレまくり、バリバリのヤンキーに成長。一方、ケイは伝説のトラッカー“流れ星”が保持する峠越えの記録を破る日を夢見て、デコトラを転がす毎日。宿敵のライバル渡り鳥のリョウコ(小松みゆき)に先を越される訳にはいかないのだ。そんなある日、ムシの居所が悪かったケイは、悪態をつくアイコと取っ組み合いの喧嘩になり、徹底的にブチのめしてしまう。起き上がれないアイコに慌てたケイはすぐ病院に連れていくのだが、診療を終えた医師の口から出た言葉は、母親として絶対に受け入れることのできないものだった…。
愛娘の次に大事な“かぐや姫号”を借金のかたに取られてしまったケイ(坂上香織)。仕事を探しに訪れた港町で、ケイはドサ回りのイカれたストリッパー・舞(江口尚)と知り合い、意気投合する。そして、そのストリッパーに入れ込んでいる男というのが、アワビ密漁の達人・苅谷(又野誠治)だった…。
離ればなれに暮らす一人娘イクのことを思いながら、今日もトラックを走らせるケイ(坂上香織)。ケイの妹分であるマア子(井上尚子)は実の妹・澪(川奈恵美)の学費を稼ぐためトラックを転がす毎日。ある日ケイは、澪が中年男からお金を受け取っているところを目撃する。「まさか、売春?!」心配するケイにマア子が仕事を辞めたという報せが入った―――。肉親よりも強い絆で結ばれている妹分2人に、いったい何が起こったのか?2人の元へ駆けつけるケイはそこで―――。
バックミラーを見ながらムダ毛の手入れをしている女・ケイ(坂上香織)。アガリがでかけりゃ積荷の中身などおかまいなしと、やばい物(ブツ)を運び続けているヤンママトラッカーである。今回、荷主の後藤(堀田眞三)から預かった代物は、いつもと訳が違っていた。どうやら億単位の価値があるらしいのだ。案の定、顔見知りの中島(崎山佑一)が荷物を狙って近づいてくる―――。お構いなしに「飛龍号」を発進させたケイの前に、今度は龍子(絵沢萠子)とサユリ(白石琴子)の最悪コンビが立ち塞がった―――。
あれから五年、拓の忘れ形見“龍虎”(市川麻里奈・子役)は、ナナ(小沢まどか)と小巻(佐々木彩)の愛情のもと元気に育っていた。おかまのサリー(野口雅弘)に見守られ、「女トラッカー」として大活躍の二人。しかし、三人の密入国者を拾った事から、ナナと小巻、そして愛する龍虎までがもが予期せぬ運命の激流へと巻き込まれていくのであった!
今日、拓(やべきょうすけ)が出所する!惚れた亭主を笑顔で迎える妊婦姿のナナ(小沢まどか)。一方、誇り高きストリッパーとして、ヤクザな健太郎(間天憑)を支え、懸命に踊り続ける姉貴分・恭子(松田いちほ)。ナナと恭子、若妻二人の劇的な再会が思いもかけぬ嵐を呼び、彼女たちの運命は大きくうねり始める。
高校中退で家出中のナナは、ホステス仲間の恭子の部屋に転がり込みながらも、惚れた男、拓の子供を身籠る。だが、仲間のためにケンカを買って腹を蹴られ流産してしまう。二度とケンカはしないと、涙ながらに拓に誓うのだが、敵は執拗に追い込みをかけてくる…。
藤堂組若頭・正木(中条きよし)は、全国制覇の足掛りに室田組を介して名古屋を落とそうとするが、組員たちの不可解な事故死が相次ぎ、遂には室田組組長までもが何者かによって暗殺されてしまう。そして、正木自身にも竜の刻印を持つ謎の男から刺客が差し向けられた!!己の欲のために仁義を汚す闇の悪に、裏盃の軍団が再結集する!
藤堂組若頭・服部烈の死により、藤堂組内部に次期若頭を巡る争いが勃発した。武侠会会長・正木礼次郎(中条きよし)一派と、正木派と反目する荒瀬派との壮絶な駆け引きが繰り広げられる。荒瀬は藤堂組生え抜きの若頭補佐・鬼木を担ぎ出して、藤堂組を裏から牛耳ろうと目論み、正木派を切り崩しにかかるが、藤堂組組長・藤堂利吉(織本順吉)の決断により、正木が服部烈の一周忌まで暫定として若頭代行に就くことに決定した。ところが、若頭代行就任と同時に、蔵田組との抗争が勃発する。全面戦争か否か、正木は重大な決断を迫られる…。正木に向けて放たれた、陰謀の矢。
運天一派を名乗る正体不明のグループが、宗像組のシマでシャブをさばき始める。武侠会会長・正木礼次朗は、宗像組組員・花居直次とともに運天一派を追い始めるが、罠にはめられ捕らわれの身となり、シャブ漬けにされてしまう。その無残な正木の姿がマスコミを通じて衆目にさらされ、藤堂組幹部会では、正木破門の声が上がる。藤堂組の覇権争いの中で展開される正木への包囲網。麻薬とカネとマスコミを自在に操る敵の影は警察内部にまで及び、絶体絶命の正木は、決死の脱出を計る。闇の世界を牛耳ろうとする巨悪にむけて、今裏盃の軍団が動き始める!
竜波組の賭場が、藤堂組系岸部組によって荒らされた。竜波組組長代行の竜波彩夏は、岸部組との抗争も辞さない覚悟であったが、武侠会会長・正木礼二郎の仲裁により手打ちに応じる。そんな矢先、岸部組組長・岸部が何者かに殺され、その疑いが正木へと向けられる。そして、正木を追い込むべく、謎の男たちが動き始めた!!
藤堂組若頭・服部(清水絋冶)が撃たれた!それを機に、武侠会二代目・正木礼二郎(中条きよし)の周囲にも不穏な動きが相次ぐ。裏盃の倫子(三原じゅん子)らと共にその実態を探り始めた正木は、正木の失脚を狙う湊川組組長・湊川と謎の組織“桜会”の存在を突き止める。だがその裏には、さらなる大物の存在があった!
坂東組のシマ内にある米軍基地からシャブと武器が流出した。それは坂東組のシマを狙う剣勇会の陰謀によるものだった。陰謀を阻止しようとする武侠会二代目・正木礼二郎(中条きよし)に対し、剣勇会は若頭・竹之内を差し向ける。かつて正木に父親を殺された竹之内は、復讐心を抱き正木に迫るのだが…正木と竹之内、そして正木に忍び寄るもう一つの影。それぞれの因縁が壮絶なドラマを生んだ!
二代目藤堂組若若頭・服部(清水絋治)が狭心症で、薬剤疑惑の多い城北医大に担ぎ込まれた。万一の為に、服部は正木(中条きよし)に若頭代行を依頼する。だが、その処置に不満を持つ江島(石原良純)らはマフィアと手を組み、正木の失脚を狙って動き出した。
武侠会幹部橋口が何者かに襲撃された!その場に居合わせた医師殿村の手により命をとりとめるが、次々と武侠会二代目正木礼二郎(中条きよし)の身辺に不審な動きが漂いだすとともに、シマ内が荒らされる。蜂須賀興業との権力争い、そしてその裏で動くコウモリと呼ばれる男の正体とは誰なのか。また、医師殿村とコウモリとの意外な関係とは…!?
武陜会の幹部組長が誘拐された!それと同じくして不安な影が武陜会二代目・正木礼二郎を襲う。大手商社の権力争い、そして大物政治家の影…。裏盃の男達が再び動く時、新たな戦いが始まる。初めて明かされる正木の過去とは…!?
関西を中心に台湾マフィアがシャブやヘロインを売りさばいて暗躍するその裏に、新栄会沼田組組長・沼田五郎の姿があった。台湾マフィアの中でも最大の鬼道連盟と手を組み、関西を手始めに勢力を広めようと、非道の限りを尽くす新栄会に、二代目武侠会会長・正木礼二朗が裏盃の男達とともに再び立ち上がる。新たなる闘いの果てに正木が目にしたものは…。
正木組・若頭の相馬を失った礼二郎(中条きよし)と、その裏盃の軍団に忍び寄る謎のヒットマン。そして突然ころがり込んできたプータローの女、珠美の正体は…!?関西極道ウォーズ第二弾!!正木組と武侠会系組織との争いの意外な結末とは…!?
「仕事はかたぎ、徒党は組まん。そやけど、心は正木さんのために命を捨てる気でいる人間や。ワシら裏盃というとるけどな」殺って殺られてケジメをつける、組織の中の男たち。自身の心に忠義を尽くす、組織の外の男たち。野望と怒りが渦を巻く。
北関東の小都市・前崎-鳶の心意気を受け継ぐ七代目梅沢組の大親分・梅沢源蔵が守り続けたこの平和な街は、源蔵の突然の死によって暴力の街に変わろうとしていた。極新会会長・千堂卓也の魔の手が、梅沢組へと伸び始めたのだ。極悪非道の極新会に、梅沢組八代目を継いだ源蔵の娘婿・梅沢利一の怒りは頂点に達し、体の中に流れる“修羅の血”が騒ぎ始める。そんな中、利一の前に現れた山川と名乗る極道、そして山川を狙うチャイニーズマフィアと謎の男・田坂。この男たちをも巻き込んで、梅沢組VS極新会の壮絶な戦いの火蓋が切って落とされる。戦いの行方は!?山川という男の正体とは!?
稲原組の名称を稲原会と改めた稲原龍二(松方弘樹)は、それに伴い、稲原会の代紋を統一した。そして、昭和四十七年、稲原会は東京・六本木に新しく本部事務所を開設。更なる事件、抗争が龍二と稲原会を待ち受けていた―――。九道会と草山一家による骨肉の九州戦争、そして史上最大の抗争と呼ばれた山賀組四代目跡目争い。龍二はこれらの抗争の仲裁に力を注ぎ、終結へと導いていく。一方、息子の裕之(目黒大樹、後に渡哲也)はその後、稲原会の二代目となる石井(名高達男)のもと着々と頭角を現し始め、龍二と共に極道社会の壮烈な波に巻き込まれていく―――。
熱海・山崎屋一家の跡目を継いだ稲原龍二(松方弘樹)は、その後“横浜四天王”と呼ばれる愚連隊の実力者・モロッコの辰(寺島進)、井沢輝一(本宮泰風)、林俊一郎(隆大介)、吉永金三(山下真広)をすべて傘下に納め、稲原組は横浜から東海道にかけて一気に勢力を拡大していった。そして極道の世界は、稲原龍二と山賀組三代目・田城正雄(中井貴一)の時代を迎えるのである。だが、大組織のドンへと昇り詰めていく龍二の前には、更なる過酷な試練が待ち受けていた…。
これは激動の半生を生き抜いた一人の男と、その侠気に魅了された熱き者達の壮烈な群像劇である―――横浜一帯を縄張りに持つ堀井一家三代目総長・加東伝三郎(高松英郎)は、とある柔道場で後に日本の極道社会を揺り動かすこととなる一人の若者と、劇的な出会いをする。男の名は、後の稲原会総長・稲原龍二(松方弘樹)―――!加東に見込まれ堀井一家の若い衆となった龍二は、生涯の師となる代貸し・横山新二郎(夏八木勲)の後見のもと、博徒としてめざましく成長していった。やがて、東海道最大の勢力を誇る綱島一家総長・鶴岡政二郎(丹波哲郎)に器量を買われた龍二は、新たに鶴岡と親子の盃を交わす事となる。この親子縁組こそが稲原龍二の運命を、そして日本の極道勢力図も大きく動かすことになるのである…
西日本最大の極道組織・坂口組。その三次組織である桐野組の四代目・桐野武弘の実弟・桐野貴之(川野太郎)は、桐野組の動向を巡って蠢くさまざまな深慮遠謀の中、五代目を襲名することを決意した。それは同時に、五代目姐となった貴之の妻・忍(中島宏海)の、波乱の人生の幕開けであった。桐野組に二度と血を流すまいとする貴之と忍の意に反し、血で血を洗う極道社会の掟は容赦なく桐野組を呑み込んでゆく。そして、桐野組に再び血が流れた時、忍は“修羅”の道を歩き始めるのである…。
八栖会との抗争により組長を失った桐野組。その跡目に、死んだ四代目組長の実弟・桐野貴之(川野太郎)を据えようとする動きが起こっていた。そして、貴之を愛する忍(中島宏海)は、極道の女として貴之を支えていく決心を固める!自分の中に流れる極道の血に戸惑いながらも、その宿命を受け止めようとする忍に、貴之の心も動き出す!!
かたぎの世界で恋人・桐野貴之の政治家になる夢を影で支えてきた後藤忍。だが、偶然居合わせた桐野組と八栖会との抗争事件により、貴之が桐野組4代目組長の実弟であることをしってしまう。愛する男が極道の血を継ぐものだと知り、心が揺れ動く忍。一方、桐野組に深い怨みを持つ八栖会幹部・浜田は桐野の血をこの世から消すために4代目を殺害し、貴之とその子供を身篭った忍にもその手を伸ばそうとしていた…。
相次ぐ抗争の終結を願い、広島に連合組織・共雄会が結成された。山岡久(小沢仁志)は理事長に就任。広島に無駄な血を流さないため、広島やくざの統一を目指すのだが、その前に数々の難題が立ちはだかる。脱退、分裂、覇権争い。広島やくざに真の平和と団結は訪れるのか…?
人類史上初の原子爆弾投下により、一瞬にして焦土と化した広島の街。広島極道たちは、大親分の渡会長次郎を原爆で失い、その覇権を巡って幾つかの新興勢力が名乗りを上げていた。そんな時、25歳の山岡久(小沢仁志)が松江刑務所を出所する。彼こそ、20年以上にわたる血で血を洗う抗争劇の中心となる男だった!!
【ニート・オブ・ザ・デッド】…一軒家の中で篭城をはじめた家族だったが、ヒキコモリの息子(金子鈴幸)がゾンビになっていることが判明する。なんとしてでも追い出したい父親(木下ほうか)と、大人しい子で人を襲わないからこのままでいいと主張する母親(筒井真理子)が激しく対立する。二人の争いはやがて、家族とは、夫婦とは何かを自問しながら残酷な運命に向かい始める。 【遺言】…ゾンビ化してしまった夫(小幡誠)を殺せず、介護を続ける妻、京子(中島菜穂)。夫を殺すべきか葛藤する中、京子は夫が生前に遺した遺言を目撃する…京子は、自警団に所属する男、佐藤(白石直也)に誘われ、ゾンビの処刑場へと足を運ぶ。そこで京子は、夫と同じ人間が射殺される光景を目撃する。
川島ミオはネットを中心に活動する3人組アイドルユニット【絶対領域】のセンターを務めていた。ファンも増え、充実した毎日を過ごしていた。一方、心に病を持つ青年、片山マサキは画面の中でキラキラと輝くミオの姿に心を奪われていた。彼は意を決して、ファンイベントへと向かった。次第にミオと片山は“アイドルとファン”を越えた不思議な関係になっていく。ところが、ある事件をきっかけにグループは解散に追い込まれ、片山も忽然と消えてしまった・・・
貿易商である父の仕事で東京にやってきた青年ボブ(ボビー・オロゴン)。ところが彼は来日早々、パスポートと現金入りの鞄をバスに置き忘れてしまった。途方に暮れるボブはサユリ(南沢奈央)に助けられ、その可愛らしさと優しさに一目惚れしてしまう。ひょんなことから面倒見のよい古田社長(六平直政)の解体屋で働くことになったボブ、仕事は順調、サユリとも再会を果たし貧しいながらも暮らしが軌道に乗ってきたが、思わぬ事件に巻き込まれてしまう。
「第一話 202の女」 ひとり暮らしを始めることになった春山は、友人の黒木と引越しを終えた。隣の部屋の202号室には、女性(夏目鈴)が住んでいた。彼女の美貌に下心を持った黒木は、春山の制止も聞かずちょっかいを出して…。 「第二話 弾痕」 大金を強奪した金城(津田英佑)は、兄貴分の哲夫(増田裕生)と逃亡する。警察に追われ、あるマンションへと逃げ込む二人。そこには、佐和子(成田梨紗)が住んでいた。しかし、その部屋にはある秘密があった。 他2話
昭和20年の初夏。東京郊外にある山村にアメリカ軍の飛行機が墜落した。村人たちの山狩りで猟の罠にかかった黒人兵が捕まり、村に連れてこられる。地主の蔵に閉じ込め、輪番制で飼うことになったが……。
新宿駅前で街頭劇を行う唐十郎。青年が紀伊國屋書店に入っていき、万引きで女店員に捕まる。青年は鳥男、女店員はウメ子。一方、酒場で性談義をする大鳥組の俳優たち。新宿の不穏な熱気は混沌と幻想を呑み込んでいく。
永禄3年、奥州出羽の最上伏影城の城主結城光春は家老の謀略によって非業の最期をとげた。数年後、伏影城下で辻斬りが人々を恐怖に陥れていた。それこそは父の恨みを晴らそうとする光春の一子、重太郎の姿であった……。
TVドキュメンタリー『青春の碑』の撮影で韓国に渡った大島渚が撮影した韓国の浮浪児たちのスチール写真に、感化院の少年の手記がナレーションとして繰り返しかぶさる。「イ・ユンボギ、君は韓国少年……」と。
高知市。四人家族の姿がある。父は傷痍軍人、母は後妻、弟のチビ、少年の家族の“仕事”は走っている車にわざと当たり、示談金を得る当たり屋だった。家族は“仕事”を続けながら北九州から北海道へ旅を続ける……。
全共闘運動が行き詰まりをみせ大衆路線から離反し過激化しだした頃、ひとりの学生活動家が撮りかけの映画を残して死ぬ。彼は何を撮ろうとしていたのか?そもそも男は本当に実在したのか?
田満洲男は、親戚の中でも特別な存在であった輝道の死を知らせる電報を受け取り、親戚の律子を伴い、子供の頃過ごした島に帰る。その帰途、満洲男の意識は自分と律子、そして輝道を含む桜田家の一族の数奇な歴史を遡行していく。桜田家は元内務官僚で、一度は戦犯とされながらも復権した当主、一臣の独裁の下にあり、満洲男たちにとって祖父に当たる彼が、何人もの女に生ませた異母兄弟とその子供たちによって、複雑な人間関係が織り成されていた。満洲男は血縁が入り乱れた親戚たちに囲まれて、生活を始める。やがて一臣の強権的支配下にある桜田家にも時代のうねりが押し寄せる……。
大島渚最後のATG映画。素直子は父の婚約者でピアノの家庭教師でもある桃子と本土復帰直前の沖縄にやってきた。数ヶ月前、素直子は大村鶴男と名乗る沖縄の青年から手紙をもらい、自分たちは兄妹かもしれないというので、鶴男を訪ねて沖縄にやってきたのだった。下船した素直子はさっそく観光客に沖縄語を教えて金を稼ぐ青年と知り合い、親しくなる。実は彼こそが鶴男なのだが、彼は庭先で見かけた桃子を素直子だと勘違いしているので、二人はお互いに気づかないまま、すれ違いを繰り返していく。一方、沖縄人に自分を殺してほしいと、その相手を探す老人がいる反面、本土の人間を殺したいと願い、相手を探す男がいる。三世代それぞれの者たちの思いは交錯し、沖縄の青い空に溶け込んでいく……。
明治中期の北関東。兵隊帰りの豊次は、人力車夫の儀三郎の妻せきと亭主の留守に関係を持つ。儀三郎の目を盗んで情交を重ねる二人は、邪魔になった儀三郎を殺害する。やがてせきは儀三郎の幽霊を見るようになる・・・・・・。
1942年、ジャワの日本軍俘虜収容所。まだ夜が明けきらない薄闇の中、日本軍軍曹ハラは英国軍中佐ロレンスを叩き起こす。朝鮮人軍属が白人俘虜を犯すという破廉恥な事件が起きたため、ハラが独断で処分する立会い人として、日本語を自由に操るロレンスが必要だったのだ。そこに収容所長のヨノイ大尉の気合が響く。隙を突いて朝鮮人軍属は銃剣を自らの腹に突き立てる。ジャカルタの軍事裁判で英国軍少佐セリアズが裁かれている。彼に熱い視線を送るヨノイ。茶番の処刑劇を経て、セリアズは収容所に移送される。そして、それがすべての厄災の始まりだった……。