県内随一の進学校・藤志高校に通う千歳朔。高校2年生の春、いつでも「美しく」あろうとする彼のもとには、様々な相談が舞い込んでいた。恋愛をきっかけに引きこもってしまった山崎健太、ストーカー被害に悩まされているという七瀬悠月。そして、憧れの先輩・西野明日風が抱えていた進路への迷い――。ぶつかり、傷つき、涙しながら、一度きりの「青」を全力で駆け抜ける彼らの物語を、朔のナレーションとともに振り返る特別編!
特急列車に乗り込み、東京へと“駆け落ち”した朔と明日風。福井とはまるで違う大都会の喧騒に圧倒されながら、二人は明日風が目指す大学のキャンパスを訪れる。もしも二人が大学生になったなら――しかし、そんな未来を思い描くには、高校生の朔と明日風にとって一学年の差はあまりにも大きくて……。どこか寂しさのような感情を抱えながら、次に向かったのは本の街・神保町。立ち寄ったカレー店で二人は、若手作家と編集者のやりとりを目の当たりにする。
ネオン煌めく夜の新宿を駆け抜け、なんとか絡んできた男を撒くことができた朔と明日風。しかし、二人が足を踏み入れたのはラブホテルだった。見慣れない空間と非日常感に戸惑い、ぎこちない空気が流れる二人だったが、ふとしたきっかけから始まった枕投げで、いつしか年相応の無邪気な笑顔を取り戻していく。やがて、青い光に包まれたベッドの上で、明日風は朔に語りかける。「君の話を聞かせて?」それは、千歳朔が千歳朔になるまでのお話。月に手を伸ばした少年の物語。
東京への逃避行を終えた翌日の放課後、朔は明日風と“デート”をすることに。えちぜん鉄道に揺られて向かったのは、幼い頃に夏休みを過ごした思い出の場所だった。懐かしい風景を前に立ち尽くす朔に、明日風の口から語られる、遠い夏の記憶。引っ込み思案な少女が憧れた、どこまでも自由な少年への初恋。そして、自分と朔が憧れた自分を、幻のままで終わらせないために――明日風は東京への進学をかけて、父と蔵センとの三者面談に臨む。
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