グレース

グレース
ここは世界の果て― 少女は旅に出て大人になる
119分 / 字幕 / 2023 / ロシア / ロシア語、ジョージア語、バルカル語
あらすじ
2023年カンヌ国際映画祭が唯一認めたロシア映画 ロシア南西部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想な目をした16歳の娘と寡黙な父親。二人は移動映画館で野外上映をし、ポルノ映画の海賊版DVDを若者に密売しながら、錆びた赤いバンで北に向かって旅をしている。母親の不在が二人の緊張した関係に影を落とし、車内には重苦しい沈黙が漂っている。延々と続く荒涼とした風景と、そこで生きる人々との束の間の出会い。やがて辿り着くのは世界の果てのような荒廃した海辺の町。娘は先の見えない放浪生活から抜け出すためにある行動に出るが…2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ本作。ソ連崩壊後から時間が止まったようなロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成長を追ったロードムービーである。東欧の民話をもとにドキュメンタリー出身のロシアの俊英イリヤ・ポヴォロツキーが監督した。この映画が撮影されたのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化する少し前の2021年秋。直接的な描写はないが、映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。母親も友人もいない。自分を守る家も法もない。生ぬるい共感や哀れみに一切なびくことなく、彼女はただやり場のない感情を沸々と溜め込んでいく。剥き出しのロシアの大地を舞台にした小さくも揺るぎない抵抗の軌跡は、私たちにあっけないほど美しい余韻を残すだろう。
解説
憂鬱と魅惑に満ちたロシア辺境、ひとりの少女が旅に出て大人になる―――荒涼とした岩山に流れる小川のほとり。10代半ばの少女が身体を震わせながら下着の汚れを落としている。彼女が戻った先には老朽化した赤いキャンピングカーが止まっている。その中から出てきた見知らぬ女が少女に生理用品を渡し、そのままどこかへ去っていく。続いて出てきたのは少女の父親。少女は父親に嫌悪の一瞥をくれる。少女は「海に行きたい」とだけ呟いて車に乗り込む。親子は赤いバンでロシア辺境を南から北へ縦断する旅を続けているようだ。移動映画館と海賊版DVDの販売でどうにか日銭を稼ぐ毎日。長旅に欠かせないガソリンは闇市から違法に仕入れる。少女は一体いつまでこの放浪生活を続けなければならないのか。思春期の彼女は父親への反抗心を日々募らせている。親子の旅路には実に多様な風景が広がり、そこには独自の文化、言語、宗教を持つ人々がひっそりと逞しく暮らしている。少女は旅の唯一の愉しみであるポラロイドカメラでそんな風景と人々のポートレートを撮影する。ある日、立ち寄った小さな村落でいつものように野外上映を催す親子。どこからともなく地元の住民が集まり、上映される映画を一心に見入る。スクリーンの設営を手伝った一人の少年。何もない小さな村で鬱屈とした生活を送る彼の目には、旅を続ける親子は自由を謳歌しているように見える。翌日、村から離れる親子のあとを彼はバイクで追いかける…
スタッフ
監督:イリヤ・ポヴォロツキー
脚本:イリヤ・ポヴォロツキー
製作:イバン・ニチャエフ
製作:イリヤ・ポヴォロツキー
クリエイティブプロデューサー:ヴィクトリア・E・チェルヌカ
製作総指揮:イラクリ・ベリゼ
製作総指揮:ヤロスラフ・コズロフ
撮影:ニコライ・ゼルドビッチ
編集:アレクサンドル・クレツォフ
編集:イリヤ・ポヴォロツキー
音楽:ザーカス・テプラ
音響:アレクサンドル・クレツォフ
音響:アンドレイ・デルガチェフ
キャスト
マリア・ルキャノヴァ
ゲラ・チタヴァ
エルダル・サフィカノフ
クセニャ・クテポワ
配信期間
2025/06/04 ~
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