崖っぷちの第2セットを青葉の自滅に助けられて取り返す富士見高。ついに試合はファイナルセットヘと持ち越された。青葉側も空前絶後の大熱戦でメンバーの疲労は限界に達していた。見どころは、スタンドに湯島がいることで不確実な風船アタックを使う勇気が出せないこずえが、いつ決意し、必殺のアタックを使うか。大会の最優秀選手が全日本に参加できるという展開も加わって、物語はいよいよ最高潮へ!
高校生でただ一人全日本代表に選ばれたこずえは、合宿地の北海道へ。そこで待ち受けていたのは、実業団バレーの一流選手とともに受ける烈しい特訓と、木山選手の嫌がらせだった!まさに頂点からドン底に落ちていくこずえの姿を描いているエピソード。全日本編のスタートにあたって、こずえのモノローグとして実業団から全日本に選抜されたメンバーの特徴が紹介されている。
紅白戦での練習試合。こずえ必殺の風船アタックも全日本の選手たちにはまるで通用しない。そんな一流の選手たちもそれぞれ鬼気迫る練習に立ち向かっており、フレンドリーな人間関係から切り離され、実力本位の世界に置き去りになった恰好のこずえ……。木山のイジワルも本格化するなど、比較的カラッとした雰囲気の『アタック』において、少女漫画独特の世界が展開するエピソードとなっている。
木山との戦いに敗れたこずえは、補欠の自分はせめてほかの選手たちの役に立つのだと、進んで用具の片づけやユニフォームの洗濯を引き受ける。しかし、それを知った湯島はこずえを叱咤する。このエピソードで、こずえの白分の未熟さへの苦悩は頂点に達する。いつも勝気なこずえが殊勝に裏方に徹しようとするという、マイナス方向への“思い込み”の姿が見られるのもポイントといえるだろう。
新しいアタックの完成を目指して特訓するこずえだが、完成を見ぬうちに合宿は最終日を迎えてしまう。しかし、最終日に行われた紅白戦で、こずえを憎むあまり木山が彼女の顔面目がけてトスを上げたことから新しいアタックが完成、竜巻落しと名づけられた!こずえをイジメる役として描かれ続けてきた木山が、見事にそのままの設定で新アタック完成劇に絡むという展開は秀逸である。
世界選手権開催地ブルガリア・ソフィアの街ではぐれてしまったこずえは、同じようにはぐれていた木山と出会う。いがみ合いながらさまよっていた二人の前に地元少年チームの子供たちと老コーチが現れ、ニ人にプレーを見せて欲しいと申し出る、ニ人は少年たちに恥じないプレーを見せようとすることで互いのカを図らずも認めることとなる。こずえと木山の和解だけに止まらず、少年たちも教訓を得るという展開が意義深い。
ついに開幕した世界選手権。だが、日本選抜チームでは、いまだ木山とほかの選手との間に軋轢があり、楽勝と思われていたイタリアに絶対絶命のピンチにまで追い込まれてしまう。相手は弱小チーム、ピンチに落ちた理由も明確──と、絶対に最後には日本が勝つことは明白ながら、絶体絶命の雰囲気を盛り立てようと、実況アナウンスなどの台詞が危機感を煽る煽る!その脚本の妙技にも耳を傾けて下さい。
いよいよ決勝リーグ。監督は竜巻落しを対ソ連用秘密兵器にしようと考えているはず、とスポーツ記者は勝手な憶測をこずえに伝える。そのせいでこずえは監督の思惑と違ったちぐはぐなプレーをしてしまう……という失敗話だが、無責任な記者の言葉を真に受けるこずえの素直さが印象に残る。試合に出場しないソ連のシェレーニナの存在が作品に不気味な緊張感をもたらしている。
ルーマニア戦で竜巻落しを次々に決めるこずえ!選手、観客、すべてがその威力に愕然とし、世界中のマスコミもこずえを新しい魔女の誕生と讃えるが、「私ならレシーブできる」と観客席で-人微笑むシェレーニナ。ここで彼女の秘密特訓が明らかになるが、その舞台はまさに魔球と曲芸は紙一重と思ってしまう特別な場所!どんな技を開発したのかといやが上にも期待は盛り上がる。
チェコ戦、こずえの竜巻落しは不発の連続。それは自分の技が敗られることへの恐怖感、チェコのチエシカ選手とシェレーニナの二重の圧迫に苦しんでのことだ。ソ連戦前に現れる伏兵チェシカの魔球は、一回限りなのが何とも残念なほどビジュアル約にも印象深い技だ。ベンチにもどったこずえへの八木沢の進言も厳しくも心のこもったものであり、絵的にも心情的にも強く引きつけられる回となっている。
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