母・柳茯苓は太后を救いながらも、女の医術を禁じる因習により罪人として命を落とす。父・栄承徳は保身のために母を見捨て、その技術を奪い、幼い栄澤蘭を冷遇した。味覚を奪われる執拗な嫌がらせを受けながらも、栄澤蘭は母の無念を晴らすため、十年間の沈黙を経て太医院の選抜試験に挑む。味覚を失った絶望的な状況下で、彼女は栄家の後継者とされる妹・栄澤嫣との一騎打ちに臨む。母から受け継いだ知識だけを武器に、彼女の逆転劇が幕を開ける。
味覚を失ったと思われていた栄澤蘭は、知識と観察眼で選抜試験を制し、母を陥れた張月瑶への復讐を果たす。太医院への入局を果たした彼女は、権力を振りかざす副院判の姪・馮茵の嫌がらせを退けるが、それにより新たな火種を生んでしまう。母の事件の真相が記された脈案室へ潜入するため、禁じられた男装をして奥へと進む栄澤蘭。しかし、辿り着いた先は男たちの浴場だった。正体を見破った謎の男に拘束され、絶体絶命の窮地に立たされた彼女は、宮中という魔宮の洗礼を受ける。
男湯で遭遇した謎の男は、皇帝の密命を受けた世子・宋凌霄であった。互いの正体に不信感を抱きながらも、栄澤蘭は昇進を賭けて御薬房で馮茵と競うことになる。馮茵の陰謀により、麗妃の治療に不可欠な希少薬材が雨に濡れ、太医院は存亡の危機に立たされる。栄澤蘭はこれを機に二等医侍への昇進を条件に解決を申し出る。知略を尽くして薬材を蘇らせた彼女に対し、追い詰められた馮茵は栄澤蘭が薬を毒に変えたとさらなる濡れ衣を着せようと毒の混入を主張する。
二等医侍に昇進したのも束の間、栄澤蘭は馮茵の罠により、異食癖の小公主を治療するという難題を押し付けられる。独自の「食療」を施し、蝋燭や紙を模した食材で公主の心を開いた栄澤蘭だったが、馮茵の告発により宮規違反として皇帝の怒りに触れてしまう。絶体絶命の危機を宋凌霄の助言により脱したものの、彼女に下されたのは、死体を取り扱う不毛の地・吉安所への左遷であった。栄澤蘭は太医院の権力争いから離れ、冷遇の極地で新たな戦いに身を投じる。
死体置き場・吉安所に送られた栄澤蘭は、周囲の嘲笑をよそに、偏屈な瘍医・老鍾頭に弟子入りを請う。過酷な試練を乗り越えようとした矢先、何者かによって棺桶に閉じ込められ重傷を負うが、彼女の医術への情熱は衰えない。民を救うための安価な破傷風薬を開発しようとする老鍾頭を助けるため、栄澤蘭は自らの傷口で禁断の試薬を敢行する。命を賭して医学の深淵に挑む彼女だったが、その体は破傷風の毒に侵され、意識を失ってしまう。
試薬のために死を選んだかに見えた栄澤蘭だったが、それは悪を炙り出すための老鍾頭の策であった。太医院創設者という老鍾頭の威光を背に、栄澤蘭は二等医侍として華麗に復活を遂げる。失脚した馮茵は、去り際に蘇葉へ呪いの瓶を託す。太医院に蔓延し始めた謎の発疹。それがかつて国を揺るがした恐るべき感染症・痘疫であることを察知した栄澤蘭は、自らも感染の危機に晒されながらも、見えない敵との新たな戦いに身を投じていく。
太医院に痘疫の激震が走る。蘇葉を救うため、栄澤蘭は自らの感染リスクを承知で秘密の隔離治療に踏み切った。冷酷な宮規を盾に二人を死に追いやろうとする馮明遠に対し、栄澤蘭は皇帝の御前で十日間で病を完治させるという生死を懸けた軍令状を叩きつける。門の外では宋凌霄が馮明遠の追手を阻み、門の中では栄澤蘭が死神との孤独な決戦に挑んでいた。命の恩を仇で返されかねない状況下で、運命の刻限が今、静かに迫る。
痘疫を制した栄澤蘭は一等医侍に昇進し、ついに母を死に追いやった診察記録の真実を突き止める。しかし、その喜びも束の間、唯一の親友である蘇葉を理不尽な権力の暴力によって失ってしまう。悲しみに暮れる暇もなく、太后の危篤という国家の危機に直面する栄澤蘭。柳茯苓の娘として激しく拒絶されながらも、彼女は太后の体に漂う異臭から隠された病の正体に気づく。宋凌霄の助けを得て、因習に縛られた宮中で太后の命を救うための最後にして最大の賭けに出る。
太后の秘められた病を突き止めた栄澤蘭は、女官として太后の専属治療を許される。治療を通じ、事件の黒幕へと繋がる糸口を見つけた彼女だったが、太后の病を嘲笑う不穏な噂が宮中に広まり、太后は再び昏睡状態に陥る。責任を負わされた栄澤蘭に下されたのは、翌日午後の斬首刑という残酷な宣告だった。死刑執行まで残された僅かな時間、栄澤蘭は宋凌霄の協力で死の淵から太后を呼び戻す。しかし、目覚めた太后が放った言葉は、すべての者を遠ざけるという冷徹な命令だった。
太后の心を癒やし復職を果たした栄澤蘭は、柔妃から母の死にまつわる衝撃的な事実を知らされる。全ての黒幕は、宮中で絶大な権勢を誇る寧貴妃であった。目的を同じくする宋凌霄と手を組み、復讐への道を歩み始めた栄澤蘭。しかし、次なる標的は皇太子妃。馮明遠の暗躍により皇太子妃は死亡宣告され、栄澤蘭は窮地に立たされる。冷たい檻の中で彼女は、馮明遠と寧貴妃の薄ら笑いの裏にある仮死の罠を見抜く。死の淵にある皇太子妃と皇子を救うため、彼女は再び禁断の針を手に取る。
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