世子・蕭顕にお忍びの先で見初められ、姿絵まで描いて捜されるほど想われた農家の少女・林紅児。だが彼女と瓜二つの豪商の娘が、世子妃の座を奪おうと画策する。娘は県令・何来進らと共謀して紅児の両親を惨殺し、彼女を牢に監禁・拷問。信じた幼なじみの孫琦さえ裏切り者だった中で、紅児は蕭顕との大切な記憶までも奪われる。顔を傷つけられ山に捨てられた紅児は、謎の名医の手で見違えるほど美しく生まれ変わり「洪琳琅」と改名。一度死んだ身を背負い、家族の仇を討つため琴師に扮し瑞王府へ潜入する――。
瑞王の逝去後、洪琳琅は偽王妃の紫宜に取り入り、その信頼を勝ち取る。復讐に動く琳琅は紫宜の名を騙り、かつて自分を陥れた孫琦を都へおびき寄せた。迷神香による幻覚で錯乱した孫琦は紫宜に襲いかかり、逆上した紫宜の手で命を落とす。琳琅が仕組んだその現場へ、瑞王府の県主らが不審な馬車を取り囲んで乗り込む。追い詰められたはずの紫宜は、馬車に潜む一人の男を盾にこの窮地を切り抜けようとするが――。闇からじっと様子をうかがう琳琅は、まだ誰も知らないその男の正体に気づいていた。
孫琦を葬った琳琅だが、次の標的・徐紫宜への一手はまだ途上にある。一方、瑞王の遺品から女物の肌着が見つかり、それが琳琅の物だと露見。亡き瑞王と琴師・琳琅の「過ぎた関係」を疑った側室の竇夫人は、王府を取り仕切る県主に琳琅を告発する。夜、県主は琳琅を呼びつけ、二人だけの「証拠」を突きつけて罰しようとするが、そこへ現れた蕭顕が彼女を庇って一歩も引かない。追い詰められ、拷問の手が迫るその時――琳琅は誰も予想しなかった一言を県主に向かって放つ。
医師を抱き込んだ琳琅は、亡き瑞王の子を宿したと県主に信じ込ませ、王位継承の行方すら揺るがす一手を打つ。だが偽りの懐妊を知った紫宜は怒りを抑え、孫主簿の妹を侍女「月牙」として琳琅のそばへ送り込み、その正体を探らせる。さらに紫宜は得た手がかりを一石二鳥に使い、もう一人の邪魔者・側室の竇夫人を狙う。琳琅の名義で王府の財宝を持ち出すよう竇夫人をそそのかし、横領の罠へと誘い込むのだ。県主とともに窃盗の現場を押さえた紫宜。追い詰められた竇夫人の懐から、思いがけない「布」がこぼれ落ちた時――。
側室・竇夫人の暴露によって、琳琅がひた隠しにしてきた秘密が王府じゅうの前に晒される。県主が居並ぶ中、絶体絶命の琳琅がとった起死回生の一手とは――。一方、復讐の駒を着実に進める琳琅は、侍女や世子・蕭顕の動きまでも巧みに利用し、宿敵・紫宜を追い込んでいく。やがて紫宜の身辺が大きく揺らぎ始めたその時、蕭顕は琳琅のある仕草に、忘れえぬ面影を見出してしまう。偽りと復讐が絡み合う王府で、琳琅の次なる狙いはどこに――。
王府へ迎え入れられた叔父一家は、かつて紅児を陥れた過去をちらつかせ、紫宜に法外な口止め料を突きつける。さらに叔父の娘・青青までもが蕭顕に近づこうとし、紫宜の怒りは頂点に達する。窮地の紫宜は、瀕死を装って蕭顕の同情を勝ち取る一方、徐家が遣わした「医師」に救いを求めるが――その正体を知る由もない。陰で糸を引く琳琅は、青青の耳元に紫宜への不信を吹き込み、身内同士の亀裂をさらに広げていく。叔父一家、紫宜、そして琳琅。三者の思惑が交差する王府で、次に「その番」を迎えるのは誰か――。
脅迫を続ける叔父一家を厄介払いするため、紫宜は青青を病に侵された老翁のもとへ嫁がせる縁談を、県主の口添えまで使って仕組む。からくりを知った青青は逆上し、王府は大騒ぎに。琳琅にそそのかされた叔父一家は慌てて逃げ出すが、その行く手には、徐家の使者を装って先回りした謎の医師の影が迫っていた。やがて恐怖に駆られた青青は役所へ走り、「世子妃は偽物――蕭顕が捜し続けたあの人ではない」という王府を揺るがす真相を、いままさに口にしようとする。だがその刹那、青青の様子が一変し――。
琳琅と申屠羽の親密さを目にした蕭顕は、抑えきれぬ動揺を募らせる。その夜、紫宜は秘密を知る叔父一家の口を封じようと襲撃を仕掛け、救出に動いた琳琅は深手を負ってしまう。傷を検められれば正体が露見する――追い詰められた琳琅は、とっさに蕭顕へ救いを求め、その部屋に身を隠して窮地をしのぐ。だが紫宜は、琳琅こそ林紅児に通じる者だと確信し始めていた。やがて、ある墓地に仕掛けた罠から、紫宜は信じがたい事実を掴む。そして婚礼の報告という口実のもと、紫宜は琳琅を生まれ故郷・莱県へと誘い出す――その胸に、誰にも明かせぬ狙いを秘めて。
莱県へ戻った琳琅は、紅児に瓜二つの紫宜を群衆の前に立たせ、「親殺しの林紅児」として捕らえさせる。やがて公堂では、買収されていたはずの洛家の証言を皮切りに、徐知礼・何来進ら一味の罪が次々と暴かれていく。追い詰められた徐知礼が口にしたのは、保身のための非情な一言だった。冤罪は晴れ、両親の無念はようやく報われる――だが勝利の裏で、紫宜は正気を失ったように振る舞い始める。それは罰から逃れるための芝居なのか、それとも本物の狂気か。琳琅の胸には、晴れぬ疑念が残った。
肌に残る無数の傷痕から、紫宜はついに琳琅の正体を見抜く。同じく真実を知った蕭顕は、琳琅を連れて王府を離れる決意を固める。だが二人がたどり着いた屋敷には、紫宜の周到な罠がすでに仕掛けられていた――。一連の悪事が白日の下に晒され、すべてが終わるかに思われたその時、追い詰められたはずの紫宜が、牢の中から県主へある「秘密」を囁く。瑞王の血筋と王位の行方をめぐり、暗く沈黙していた県主が動き出す。やがて県主が琳琅に突きつけたのは、運命をさらに歪ませる非情な取引だった。復讐の果てに、琳琅が選ぶ道とは――。
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