1930年代、アメリカの禁酒法時代。酒の密輸や不法移民の密航が盛んに行われていたキューバ・ハバナ。シモンは自前のオンボロ船で密航を繰り返し、米軍のパトロール船に追撃されるが、若き船乗りアンドレスに命を救われる。恩義を感じたシモンはアンドレスを弟分にし、行きつけの高級娼館に連れていく。そこでアンドレスは可憐な美少女マリーと出会い、恋に落ちる。二人は一緒にニューヨークへ逃亡することを誓うが、突然マリーを連れ去ったのは、密かに彼女を愛していたシモンだった…。
チェルノブイリ原発事故の後、ハバナ大学ロシア文学教授のマリンは、治療のためにソ連から送られてきた子供たちとキューバの医療スタッフとの間の通訳を任される。抽象的な文学の世界から現実的な医療の世界に放り込まれた彼は葛藤するが、ある子供との対話を通じて子供たちとつながりを感じ、新たな使命をもって通訳に臨んでいく。おりしもベルリンの壁が崩壊し、キューバは未曾有の経済危機に直面する。だが、チェルノブイリの子供たちに深く関わるようになったマリンは自己の家族を顧みず、二人目の子を身籠もる妻イソナをひどく傷つけてしまう…実話に基づくヒューマンドラマ。
ニューヨークの歴史あるクラブで特別ゲストとして招かれるほど、キューバ系アメリカ人歌手として名声を得ているニコ。3年前、彼はキューバのハバナにいた。親友のセルソを癌で亡くしたニコは喪失感から立ち直れず、歌を作ることもできなくなっていた。そんなある時、彼の歌を聴いたボブと名乗る自称音楽プロデューサーの男に、“才能があるからニューヨークに来ないか”と誘われる。ニコは父親を探したいと言っていた亡きセルソの夢を叶えるため、ニューヨークへと向かうことに。だが、当てにしていたボブは口先だけで、会うことすら叶わず、公園で野宿をするハメに。翌朝、目が覚めると、セルソの遺灰が入ったリョックは盗まれ、盗人のホームレスを探して街中を彷徨うことになる。