第二次世界大戦末期。敗戦の影に覆われ始めたドイツ軍は、最終兵器V1ロケットを装備したUボートで、米ニューヨークを攻撃する作戦を企てる。招集されたのは戦功者に贈られる鉄十字章を授与されたUボートのエース、ケスラー・ハインリッヒ上級司令官。先の両大戦で活躍した彼が、海軍の若手を率い、司令塔として最後の戦い“シーウルフ作戦”に挑むー。
沖縄戦末期、本土より派遣された2人の内務官僚がいた。1人は学生野球の名プレーヤーとしてならし、戦中最後の沖縄県知事として沖縄に赴任した島田叡。島田は、度重なる軍の要請を受け内務官僚としての職務を全うしようとする。しかし、戦禍が激しくなるにつれ、島田は県政のトップとして軍の論理を優先し、住民保護とは相反する戦意高揚へと向かわせていることに苦悩する。そして、多くの住民の犠牲を目の当たりにした島田は「県民の命を守ることこそが自らの使命である」と決意する。もう1人は、警察部長の荒井退造。島田と行動を共にし、職務を超え県民の命を守ろうと努力する。また、島田の世話役を務める県職員・比嘉凛も、島田とともに戦火を生き抜いていく。実は、沖縄戦で島田と荒井はそれぞれ重い十字架を背負っていた。荒井は、子供など県民の疎開を必死に推し進めていた。その矢先、本土に向かっていた学童疎開船「対馬丸」が米軍の攻撃に遭い、数多くの子供たちが犠牲となった。また、島田は知事として、軍の命令で鉄血勤皇隊やひめゆり部隊などに多くの青少年を戦場へと向かわせていた。2人はそれぞれ十字架を背負いながらも、戦禍が激しくなるのに伴い、必死に県民の疎開に尽力し多くの沖縄県民を救っていった。一億総玉砕が叫ばれる中、島田は叫んだ。「生きぬけ!」と。
旧友フラーの訃報の手紙を受け取った老人ドン。これで「自分の隊のメンバーは全員死んでしまった」と妻に嘆く彼は、戦場へ赴いた若かれし頃の忘れがたい思い出にふけっていた―。第二次世界大戦中の1943年。まもなく19歳になるドンは、恋するドリーヌに自分も思いを告げられぬまま、徴兵されヨーロッパの戦場へとやって来た。現地で合流したのは、農夫のフラー、問題児のベネデト、妊娠中の妻を抱えるスタークス伍長だった。しかしある日、ドイツ軍の奇襲を受けたスタークス伍長が命を落としてしまう。悲劇を目の当たりしたドンだったが、そんな彼に新たなる命令が下る。それは、自分が部隊を率いて国境付近の第376連隊を援護し、共に国境を破りドイツへ入ることだった。
1944年6月。ノルマンディ上陸作戦の前夜、とある極秘任務が決行されようとしていた。それは、508連隊のウィーバー中尉から発表された作戦だった。何千名もの連合軍の空挺部隊を誘導するため、ドイツ軍第91歩兵師団が支配する領土に、パラシュート降下を178回も経験するリビングストンや、ボクサーのヘンリーなど、命知らずの若者らを投下させ、電波装置を設置するというものだった。失敗すれば翌日のノルマンディ上陸も失敗し、連合軍の大敗に繋がる恐れもある。それほど無謀な作戦であることは一目瞭然だった。そして遂に、決行の時が訪れる。
1944年8月。ノルマンディー上陸作戦から2カ月後、連合軍は南フランス奪還のため、ドラグーン作戦を決行。アメリカ軍第517空挺師団がドイツ占領地域に落下傘降下した。だがドイツ軍の攻撃により、ロッシ、カーティス伍長、ジョーンズ軍曹の3人の兵士が本隊からはぐれてしまう。彼らは合流地点のレ・ザルクを目指す道中、抜群の銃さばきを見せる現地レジスタンスのエミリーに出会う。本隊の場所を知る彼女は、道案内をする交換条件として、ドイツ軍に捕まった同士の解放を手伝ってほしいと持ちかける。事態の危険性を察知しつつも、その条件を受けることにした3人は、彼女とともに任務遂行に向かうのだが…。
第二次世界大戦末期の1944年12月。アルデンヌ戦線における地上及び航空戦で、アメリカ軍がドイツ軍を撃破。劣勢に立つ戦局を打破するため、ドイツ軍の反撃が開始された。それはドイツ機甲師団が、多くのアメリカ兵捕虜を機銃掃射によって撃ち殺すという異常な事態だった。そんな中、眼前で繰り広げられる惨劇から必死に逃げ出したひと握りのアメリカ兵士たちがいた。武器も食料もない彼らには、さらに過酷な試練が待ち受けていて…。
ロシアとウクライナ戦争を理解するためのドンバス13のレッスン。ドンバス地方で起きた実話を元に構成された衝撃のエピソード。クライシスアクターと呼ばれる俳優たちを起用して作るフェイクニュースから始まり、支援物資を横領する医師と怪しげな仕掛人、湿気の充満した地下シェルターでフェイクニュースを見る人々、新政府への協力という口実で民間人から資産を巻き上げる警察組織、そして国境での砲撃の応酬……。無法地帯“ノヴォロシア(※)”の日常を描く13のエピソードは、ロシアとウクライナの戦争をすでに予見していた。ここでは一体何が起きているのだ――※ノヴォロシア 起源は18世紀末にロシア帝国が征服した黒海北岸部地域を差す地域名であり「新しいロシア」を意味する。親ロシア派は、実効支配するドンバス地域に樹立した自称国家「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」からノヴォロシア連邦をつくろうとした。プーチン大統領はこの2つの自称国家の独立を承認し、平和維持を目的とする「特別軍事作戦」と称し、この度の侵略戦争を開始した。
1944年秋。ドイツとイタリアの同盟軍は、北イタリアの防衛線ゴシックラインを敷き、連合軍への抵抗を続けていた。一方、山岳地帯ではパルチザンが連合軍の到着を待ち構え、戦場周辺に住む村民は両陣営の狭間で分裂を余儀なくされていた。そんな中、最前線で戦う米ワッツ中尉の部隊へ弾薬と新型の無線機を補給するため、本来は戦闘に加わらないマローン軍曹率いる需品科が現地へ赴くことに。しかし途中で車両が故障し、徒歩で荷を運ばざるを得なくなってしまう。一同は近隣の村で1泊するが、村人の中にドイツ軍スパイが潜入しており、彼らの動きは筒抜けになっていた。
1941年、日本が真珠湾を攻撃した翌年、ハワイに住む日系人の約1400人が第100歩兵大隊として活動を開始。その後、ルーズベルト大統領が約12万人の日系人を10ヵ所の強制収容所へ送る大統領令に署名し、1943年にはハワイと強制収容所から1万人を超える日系人がアメリカ陸軍の第442連隊戦闘団に志願した。そんなある日、軍曹ジミーにもとに、友軍のテキサス大隊がドイツ軍に包囲されたと情報が入る。すぐさま救出命令が下るものの、ドイツ軍の戦力は倍以上で、救出は絶望的な状況だった…。
1944年9月。大統領令により、スマトラ島の近くで撃ち落とされた戦闘機C-47パイロットの救出任務を受けた米潜水艦シーヴァイパーの艦長カルペッパー。上陸部隊により難なくパイロットの救出に成功するが、彼らが撃ち落とされる直前、空から衝撃的な光景を目にしていた。それは、日本軍の支配地域であるこの海域に、いるはずのないドイツ軍らしき潜水艦を発見したことだった。不穏に感じた艦長カルペッパーは、仲間を艦に戻し、自ら島を偵察することに。一方、艦に戻ったキーナンは、艦長不在の中、ライバルであるカッターと意見の食い違いから指揮権でもめる事態に。日本軍の駆逐艦が巡回する危険海域で、2人の激突がクルー全員の危機へとつながっていってしまう。
ベトナム戦争中期、アメリカ軍第60連隊のアレンは、数日前に戦死した仲間を偲んでいた。しかし酒で酔いが回ってきたアレンは、黒人兵士が先兵の役目を負わされ、ハエのように死んでいくことへ不満をぶちまける。後日、第60連隊はベンチェで行われる索敵撃滅作戦に参加。その時、地図にない村と一人のベトナム人女性を発見する。部隊を率いるサッター少尉は、新兵を使い無抵抗な女性を凌辱しようとするが、アレンの諫言を受け渋々ながら引き下がる。その後、突然の襲撃に遭った部隊は二分され、全滅を恐れたサッター少尉は撤退を指示するが、アレンたち4人は取り残され孤立してしまう。
1944年秋。第二次世界大戦下のヨーロッパ戦線フランス・アルデンヌに近い森の中、ノルマンディー上陸を果たした連合軍は、ドイツ軍の頑強な抵抗の中、前進を続けていた。ある日、第82空挺師団パルンボ軍曹が率いる小隊に特別指令が下る。“最前線の奥地に潜入し、敵情を偵察せよ”というものだ。遭遇した敵部隊との猛烈な射撃戦の中、無能な大尉の指揮により、次々と命を落としていく兵士たち。その後、たった4人になったパルンボ軍曹らはある村にたどり着くのだが…。
第二次大戦下、ソ連の新米士官イヴシュキンは初めて出撃した前線で戦いに敗れ、ナチス・ドイツ軍の捕虜となってしまう。収容所で行われるナチスの戦車戦演習のため、ソ連の最強戦車T-34を操縦することを命令されたイヴシュキンは、同じく捕虜になった仲間たちと隊を組み、あまりにも無謀な脱出計画をたてる。実弾を装備することは許されず、ひたすらナチスの戦車軍から逃げ惑うことしかできない、必ず死が待っているはずの演習。しかし、男は仲間のため、そして収容所で出会った愛する人のため、ナチスの軍勢に立ち向かう―!
世間から隔離された高地で暮らす8人の兵士たち。ゲリラ組織の一員である彼らのコードネームは“モノス<猿>”。「組織」の指示のもと、人質である博士と呼ばれるアメリカ人女性(ジュリアンヌ・ニコルソン)の監視と世話を担っている。ある日、「組織」から預かった大切な乳牛を仲間の一人が誤って撃ち殺してしまったことから不穏な空気が彼らの間で漂い始める。ほどなくして「敵」からの激しい襲撃を受けた彼らはジャングル奥地に身を隠すことに。仲間の死、裏切り、人質の逃走・・・。極限の状況下、“モノス”の狂気が暴走し始める。
1997年3月、1台の車がアフガニスタンの国境へ向かっていた。車の中には3人の男が乗車。そのうちの1人は、湾岸戦争では西側の記者として唯一バグダッドに残り、現地から生中継したことで知られる有名なCNN記者ピーター・アーネットだった。危険を顧みず世界に真実を伝えてきた男はまた1つ、危険を冒して真実に近づこうとしていた。彼の目的はアメリカに宣戦布告した男、テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンへのインタビュー。アフガニスタン東部の都市ジャララバードでアルカイダ側の連絡を待っていたアーネットたちだったが、直前にビンラディンの暗殺未遂事件があったことから、厳しい取材制限を受けるハメになるのだが…。
ハイスクールを卒業して1週間、軍への入隊を志願する予定だったクリスは、未だ自らの進路を決められず、怠惰な日々を過ごしていた。そんなクリスの様子を見かねた父リチャードは生活を改めるよう苦言を呈するが、クリスは煩い小言として聞き流す。恋人のジェシカから、「入隊を悩むのなら元軍人に話を聞いたら?」とアドバイスを受けたクリスは、ジェシカの言う元軍人の老人を訪ねるも不在。帰ろうとしたクリスは、その老人が二人組の強盗に襲われる場面に遭遇するが、彼はいとも簡単に強盗を退けてしまうのだった。“ホークアイ”と呼ばれたその老人は、クリスが家の手伝いをすることと引き換えに、当時のことを語り出すのだった。
1988年。アフガニスタンに侵攻したソ連軍は、果てしない泥沼の戦闘を続けていた。リュタエフ等若き志願兵たちは、キャンプでの過酷な訓練を経て、第9中隊所属の新兵として地獄の戦場に踏み込んでゆく。圧倒的な物量と近代兵器を装備したソ連軍だが、死を恐れないイスラム武装勢力との戦闘に彼らの常識は通用しない。自らの理解を超えた〈敵〉との戦いは、兵士たちの神経を侵し、狂わせてゆく。第9中隊は最前線に位置する3234高地の守備を命じられるが、敵はこの拠点に兵力を集中、総攻撃を開始した。絶望的な状況の中、リュタエフたちは決死の闘いを続けるが・・・・・。
そこは戦場という名の地獄1960年、内戦真っ只中のフランス領アルジェリア。前線を退いたはずのブライトナー大佐に突如として極秘の任務が舞い込んでくる。それは、フランス軍がナパーム弾で当地を焼き払うまでのわずかな時間に、行方不明となったドリニエール大佐の形見を捜索するというものであった。決死の任務に挑むことになったブライトナーは、英雄に憧れる無法者のマルティヤ2等兵や、上官殺害の罪に問われるサンゴ―ル軍曹等、くせ者を集めた特殊部隊を結成する。そして任務当日、いざ降り立った憎しみの大地で目の当たりにしたのは、政治的混乱によって無差別に繰り広げられる殺戮、戦争の狂気であった…。果たして彼らは次々と襲い来る脅威を乗り越え、無事に任務を完遂することができるのか!?
一本の川を挟んで「朝9時から夕方5時まで」規則正しく戦争をしている二つの町。津平町に暮らす露木は、真面目な兵隊だ。朝から川岸に出勤し、お昼は気まぐれなおばさんの定食屋。夕方になれば、物知りなおじさんの煮物を買って帰って、眠るだけ。川の向こうの太原町をよく知るひとはいない。だけど、とてもコワイらしい。ある日突然、露木が言い渡されたのは、音楽隊への人事異動?!家で埃を被ったトランペットを引っ張り出したはいいものの、明日からどこへ出勤すればいいのやら…。そんな中、ひょんなことから出会ったのは向こう岸から聞こえる音楽だった。その音色に少しずつ心を惹かれていく一方、町では「新部隊と新兵器がやってくる」噂が広がっていて―――。
ISが突然、イラク西部の少数派ヤジディ教徒の村を襲った。ザラは父親を殺され、弟と生き別れ、自身は奴隷としてISのメンバーに売られてしまう。様々な国の女性だけで構成される特殊部隊「蛇の旅団」に救われたザラは、ISのメンバーの元から逃げ出し、部隊に加わる。厳しい訓練を終え、コードネームを「レッド・スネイク」としたザラは、“姉妹たち”と共に前線へと赴く。
米軍の補給経路を維持するための重要拠点とされていたキーティング前哨基地だが、基地として致命的な欠陥が存在していた。四方を険しい山に囲まれた谷底に位置しており、敵に包囲されれば格好の的となる。いつタリバン兵の銃弾が撃ち込まれてもおかしくはない。そして、ついに恐れていたタリバン兵の総攻撃が開始された。それは後に「カムデシュの戦い」と呼ばれる、アフガニスタン紛争で最も過酷な激戦の幕開けだった。
正義感と愛国心に燃えアフガニスタンに渡ったアンドリュー(ナット・ウルフ)。現地では地元住民を取り調べるばかりの退屈な日常が続いていた。だがある日、上官が地雷を踏んで爆死するのを目の当たりにして、自分のいる場所が常に死と隣り合わせであることを思い知る。代わりに上官として赴任してきたのは、歴戦の猛者として名高いディークス軍曹(アレクサンダー・スカルスガルド)だった。誇り高き軍人、力が支配する男たちの世界を体現するような彼に出会い、アンドリューの士気は高まっていく。しかし尊敬すべき軍人であるはずのディークスは、治安を守るためと称して証拠もなく民間人を殺害し続けていた。その事実を知ってしまったアンドリューは、それでもなお捨てきれない軍人ディークスへの畏敬の念と良心の呵責に苛まれてゆく。一方、異変に気づいたディークスはアンドリューの忠誠心を疑い始める。事態が刻一刻と悪化していく中、アンドリューは最後の決断を迫られる。
とある戦争の英雄と、一匹の犬の真実の物語1919年、夏の盛り―――。終戦後の平和が訪れたばかりのフランスの片田舎。第一次世界大戦の英雄で武勲をあげたはずのジャック・モルラックがひとけのない留置所に収監され、頑なに黙秘を続けている。この男を軍法会議にかけるか否かを決めるため、パリからやって来た軍判事のランティエ少佐は、留置所の外で吠え続ける一匹の犬に関心を寄せる。そして、モルラックを調べるうちに、農婦にしてはあまりにも学識豊かな恋人ヴァランティーヌの存在が浮かびあがり…。名もない犬が留置所から決して離れようとしないのは、忠誠心からなのか?判事の登場は真実を解き明かし、傷ついた人々の心を溶かすのか?
東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける―。
1944年、独裁政権下のスペイン。内戦に敗れ、フランスに亡命した兵士達は、スペイン奪還を目指して大規模な作戦を計画していた。アンセルモをリーダーとした奇襲部隊は国境を越え、奪還の要となる敵陣近くの橋脚の爆破を試みるが失敗し、部隊の大半は命を失ってしまう。アンセルモと部隊の一員で同郷の友人でもあるビセンテは生き残ったが、アンセルモは聴覚を失い、ビセンテは巨大な岩に挟まれ身動きが取れずにいた。
兵庫県神戸市兵庫区荒田町。色褪せたジャンパーを着た中年男が、シャッターを上げていた。看板には“キケン”なメッセージがびっしり、大書されている。バッテリー・中古車修理店店長にして“天皇にパチンコ玉を撃った男”奥崎謙三の登場である。 兵庫県養父町。太田垣家の婚礼、媒酌人を務める奥崎が、居並ぶ親類縁者・長老達の前で祝辞を述べる。「花婿ならびに媒酌人、共に反体制活動をした前科者であるがゆえに実現した、類稀なる結婚式でございます」天皇誕生日当日。「神軍平等兵奥崎謙三」「田中角栄を殺すために記す」「ヤマザキ、天皇を撃て!」「捨身即救身」……奥崎の物騒な宣伝車は公安によって行く手を阻まれる。車に立てこもって演説をぶつ奥崎。「自宅屋上に独居房を作ろう」。そう思い付いた奥崎は、その実寸を測るため、神戸拘置所に向かう。静止する職員を罵倒する奥崎。「ロボットみたいな顔しやがって!」「人間ならば腹立ててみよ!」 喪服の黒いスーツ姿に正装した奥崎は、ニューギニアで亡くなった元独立工第36連隊の戦友達の慰霊に出発する。“神軍”の旗をなびかせて疾駆する街宣車。広島・江田島町。同年兵・島本一等兵の墓前で、島本の母・イセコをニューギニアにお連れすると約束する奥崎。兵庫県浜坂町に、ジャングルで餓死した山崎上等兵、次いで南淡町に、毒矢で狂死した田中軍曹、と奥崎の慰霊行脚は続く。 終戦から23日後、36連隊ウェワク残留隊内で隊長・古清水による2名の部下銃殺事件が起こった。その真相究明のため奥崎は、かつての上官たちの家を次々、アポなしで襲撃してゆく。その追求の果てに“究極の禁忌(タブー)”が日々の営みの一部となっていた戦場の狂気が、生々しく証言されることになる――。
第一次大戦下、ドイツの侵攻に怯えながらも家族と農業を営み穏やかに暮らす少年アルトゥルスの幸せな日常は、母の非業の死で一変する。復讐を誓い父・兄と共に身を投じたのは、国民の約半数にあたる120万人もの死者を出したラトビア戦線だった。敵は二つの大国。圧倒的な武器と兵力で迫るドイツと、そのドイツから自らを守る楯にせんと国と民を蹂躙するロシア。戦争に翻弄された北欧の小国ラトビアの知られざる死闘が今、鮮烈な映像で蘇る。
2014年9月、ウクライナ東部のドネツク州。政府軍と親ロシアの分離派勢力による衝突が激化するヴェセレ村で、乗り合いバスが何者かに襲撃され多くの住民が死亡した。世間ではこの襲撃は政府軍の仕業と見る中、首謀者は村近くに駐屯する政府軍部隊に潜入しているとされるロシア人活動家ホドックと断定した軍上層部は、同村出身のアントン率いる特殊部隊を現場へ派遣した。ホドックの目的は、次の休戦会議を混乱に陥れること。そんな状況下で、空挺隊員がナイフで心臓を刺され死亡しているのが見つかり、ホドックが行動を開始したと確信したアントンたち。しかし追い打ちをかけるように情勢は悪化の一途を辿り、更なる危機が住民に迫っていた…。
ある日、上院議員のレイが差出人不明の手紙を受け取った。そこには、ベトナム従軍時代のレイの秘密が記されていた。サイゴンに飛んだレイだったが、敵の捕虜となり消息を絶った元海兵隊員の男・ドクに監禁されてしまう。2人の脳裏に蘇る30年前の光景。当時、海兵隊仕官のレイと兵卒のドクは、果てしなく続く地獄の日々を送っていた。そんなある日、ゲリラとの市街戦の最中、彼らの運命を分ける出来事が起きてしまう…。
1914年。第一次世界大戦が始まるや、感奮興起したオランダ国籍のアーサー・クナップは、両親の反対を押し切りフランス軍外国人部隊の志願兵として、第3軍の第3部隊に配属された。誰もがクリスマスまでに終戦を迎えると思いきや、激化するドイツ軍の奇襲攻撃であっけなく死に逝く仲間たちの姿に、戦争という過酷な現実を突きつけられるアーサー。さらに追い打ちをかけるように尊敬する父が病死してしまう。そんな中、塹壕戦の緊張感が一気に高まる事態が起きる。それは、ドイツ軍が大規模な毒ガス散布を決行するというものだった…。
広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。 そして、昭和20年の夏がやってくる――。
北朝鮮からの敗走を続けていた韓国軍は、戦況を打開するためマッカーサー将軍の指揮下で大規模な上陸作戦を計画。「長沙里(チャンサリ)に上陸せよ」と命じられたイ・ミョンジュン大尉(キム・ミョンミン)らが率いるのは、訓練期間わずか2週間、平均年齢17歳の772人の学生兵。僅かな弾薬と最小限の食料だけを支給された彼らはまさに「捨て駒」だった。それでも祖国と愛する者たちを守る為、降り注ぐ銃弾を受けながら部隊は決死の上陸を試みる。
ナチス・ドイツの捕虜となったソ連士官イヴシュキンは、演習の「敵役」に選ばれてしまい、ソ連最強戦車T-34の指揮を命じられる。捕虜仲間を集めて準備を進めるが、実弾は与えられず、死の出撃を待つだけ。そんな運命を逆手に取った彼らは、極秘の脱出計画を実行に移す──!!
第二次世界大戦後期、ドイツ・ベルギーの国境にあるヒュルトゲンの森。ファルコン、マイケルの2人は他の仲間とともにナチス・ドイツの捕虜として囚われの身となっていた。彼らは強制的に墓穴を掘らされるがナチスの一瞬の隙を見て、反撃に出る。広大な森林に銃声と叫びが響く中、命からがら逃げ出したファルコンとマイケルは負傷した仲間を抱えながら米軍の救護所に身を寄せるが…
第一次世界大戦末期。敵陣にてアメリカ軍部隊を率いるウィリアム・リバーズ大尉は、行方不明となっていた黒人部隊“バッファロー・ソルジャース”の居所を突き止める。仲間である彼らを救い出すためには、人種の壁を越え兵士たちを団結させ、熾烈な塹壕戦を戦い抜かなければならなかった。終戦まであとわずか数時間。果たしてこの激戦を生き延びることが出来るのか!?
長年自分の船を持ちたいと思っていたデヴィッドは、妻のサラと2人の娘とのより良い生活を夢見ていた。ある日、オークションで見かけた70年前の船“メアリー号”に魅せられた彼は、これこそが家族の希望だと妻を説得し船を購入する。しかし初めての船出の日、家族に不可解な現象が次々と襲いかかる。写真に映り込む謎の顔、豹変する幼い娘、開かない扉…。沖へ進むにしたがって、一家は次第に恐怖の淵へと追い詰められていく。実はこのメアリー号には悲しい歴史があり、古くから怨念と悪霊が住み着く“死霊船”として、乗り込む者を呪い続けていたのだ!見渡す限りの海。逃げ場のない究極の密室で、デヴィッドは愛する家族を救うことができるのか!?
1918年。ロシア帝国崩壊とともに独立したウクライナ人民共和国にムラヴィヨフ率いるソビエト軍の侵攻がはじまった。大学生の青年・アンドリーは学徒部隊として志願する仲間達を見送りながら、自らを平和主義者だと主張し出征を拒否していた。しかし、軍人である父と兄を持つアンドリーはある晩、ソビエト軍侵攻の記録フィルムを観せられ、学徒志願を決意する。数日間の短い軍事訓練を受け、戦地へと送られる若き新兵たち。その行先には首都・キエフ侵攻を狙うムラヴィエフ大佐の軍勢が待ち受けていた。4000人のソビエト軍と、僅か400人のウクライナの兵士たち。祖国の運命を賭けた激戦がはじまった。
何ひとつ 望み通りにならなくても、希望は生き続ける―――。88歳を迎えてなお、世界の最先端でエネルギッシュに創作活動 に取り組むジャン=リュック・ゴダールが新たに撮り下ろした子どもたちや美しい海辺などの映像に、様々な<絵画>、<映画> 、<文章>、<音楽>を巧みにコラージュし、この世界が向かおうとする未来を指し示す 5 章からなる物語。
清の皇帝・乾隆帝に嫁ぎ、類まれな美貌をもつ皇后ウラナラ。しかし夫からの寵愛を受けられないウラナラは孤独感を募らせていた。そんなとき、彼女の前にフランス人修道士のアティレが現れる。宮廷画家として名を上げていた彼は、ウラナラの肖像画を描くことになる。夫と見つめあうことも叶わなかったウラナラは、毎日美しく着飾ってアティレの前に立ち、見つめられることで美しさを増していく。やがて二人の間に芽生えてはならない感情が生まれる......。
国政は荒れ、民衆が国への不満を募らせていた時代。作家フンブは、高貴な家の出身でありながら、貧しい民のために尽力するヒョクに出会い、その姿に尊敬の念を抱く。だがヒョクの兄で王朝高官のハンニは、権力をふりかざし、敵対勢力をつぶそうと企てる野心家だった。対照的な二人に着想を得たフンブは、悪政の世を風刺する小説「フンブ伝」を書き上げたことにより、国の未来を左右する謀反の渦に巻き込まれていく。
2018年、駆け出しTVディレクターの桜子(阿部純子)は、ロシア兵墓地の取材を皮切りにロシアに行くことが決定していたが、興味を持てずにいた。しかし祖母(山本陽子)から自身のルーツがロシアにあることを知り、さらにロシア兵と日本人看護師の、二人の日記を紐解いていくうちに衝撃の事実を知ることに・・・。
中世のヨーロッパ。モンゴルとドイツが勢力を拡大させていた12世紀、新たに誕生したハールィチ・ヴォルイニ大公国。この国を大国を統治したロマン公は栄華を極めた頃に戦死、国家は分裂し国土は荒廃、またも時代は混乱の渦に。ロマン公の後を継いだ長男ダヌィーロは成長し、その類まれなる戦闘能力とカリスマ性で領土を広げていく。彼の統治でようやく平穏が戻り始めた頃、モンゴル軍が国境に迫ってくる。国全体を結束させ戦いに挑もうとするダヌィーロは弟ヴァルシコを偵察に送るが、ダヌィーロに反発する貴族階級の罠によりヴァルシコは囚われの身となり、弟と引き換えに土地を引き渡すことに。国内外で様々な陰謀が渦巻くなかでモンゴル軍との戦いが勃発。背水の陣となったダヌィーロは、ある大きな賭けにでる――。
1949年、国民党と共産党の対立が激化すると、内戦状態に陥った中国から脱出しようと、台湾へ向かう大型客船「太平輪」に定員を遥かに超える1,000人もの乗客が殺到。チェン、ザークン、ターチンはそれぞれ違う目的で乗船し、それまで互いを知ることの無かった3組の男女の運命が交差する――
1945年、日中戦争で英雄となった国民党の将校レイ・イーファンは、上海の舞踏会で令嬢ユンフェンと結ばれるが、中国の内戦が勃発し結婚生活に危機が迫る。日本統治下の台湾で医学を学ぶザークンは軍医として召集され、初恋相手の雅子と引き離されてしまう。上海で消息不明の恋人を探していた看護師ユイは、食糧配給を得るため兵士ターチンと夫婦を装う。だが、死と隣り合わせの戦場に向うターチンは彼女を本気で好きになっていく…。
17歳のシャオピンはダンスの才能を認められ、軍の文工団に入団。文工団は、歌や踊りを披露し兵士たちを時に慰め時に鼓舞する役割を担う歌舞団で、美しく才能あふれる若者たちが日々歌やダンスの練習を重ね芸術を競っていた。母と再婚相手の実家に居場所がなかったシャオピンは、新しい人生が始まる希望に胸をふくらませ入団したものの、周囲となじめなかったが、そんな彼女の唯一の支えは模範兵のリウ・フォン(ホアン・シュエン)だった。しかし時代が大きく変化する中、ある事件をきっかけに、リウ・フォンは文工団から戦争最前線の部隊へ送られ、二人の運命は非情な岐路を迎えるー。何十年にもわたるシャオピンとリウ・フォンの関係を軸に、文工団の若者たちの初恋と交錯する想いが、心に沁みる美しい音楽と踊りに彩られ、描かれる。
1989年。ソ連・アフガン戦争は、ソ連軍の撤退により幕を下ろそうとしていた。そんな中、第108自動車化狙撃師団に、ある極秘指令が下される。戦闘機が撃墜され、将軍の息子であるパイロットがイスラム組織ムジャヒディンの捕虜になってしまったのだ。兵士たちは人質救出のため、敵地に潜入し激戦を繰り広げる。一方、KGBのドミトリッチ大佐は、ムジャヒディンとの人質交換取引を模索していた。ゲリラが支配するサラン峠は、撤退ルートとして避けては通れない。だが捕虜が脱走を図ったことから、事態は予想外の方向へ展開してゆく……。
昭和30年代。戦後最大の引揚港でもあった福岡は戦争の傷跡を残したまま、復興を遂げようとしていた。主人公・海野俊之は焼け跡となっていた中洲の一角に小さな食料品店「ふくのや」を立上げ、妻の千代子と営んでいた。博多の祭り<博多祇園山笠>に情熱を燃やし盛り上げてきた「山のぼせ」でもあった。一方で俊之には山笠と並んで熱中しているものがあった。それは「めんたいこ」作り。戦前、日本の統治下でもあった韓国の釜山で生まれ育った俊之は、当時の思い出の味「明卵漬 → ミョンランジョ」をヒントに明太子を作り出し、日々味の改良を重ねていたが、なかなか納得できる味に近づかず苦悩の毎日だった。そんな時、俊之は息子・健一の同級生、英子の存在を知る。両親をなくし、親戚に引き取られていた彼女は遠足に行く為の新しい靴やリュックサックも買えないというのだ… 「映画 めんたいぴりり」では、ドラマと同様に、戦後の混乱期を乗り越え、経済は復興から成長へとシフトしていく「昭和」という時代の光と影を描きます。
ヒトラー、ヒムラーに次ぐ、“ナチス第三の男”ラインハルト・ハイドリヒ。その冷徹極まりない手腕から、ナチス党内でもとりわけ忌まわしい人物として“金髪の野獣”と渾名され、ヒトラーさえもが恐れた男。ハイドリヒはナチス政権の高官として華々しい出世を遂げるが、第二次世界大戦に至るまでの年月とその戦時下において、ヨーロッパの人々に残忍で容赦ない恐怖をもたらした。貴族階級の妻リナによってナチスのイデオロギーを吹き込まれたハイドリヒは、<ユダヤ人大量虐殺>の首謀者として、誰も止めることのできない絶大な権力を手にしていく。だが、英国政府から訓練を受け、チェコスロバキア亡命政府によって送り込まれたチェコのレジスタンスグループが、この抑止不能な男を止めようとしていた。大胆にもパラシュートで潜入したヤン・クビシュとヨゼフ・ガブチーク率いる暗殺部隊が、綿密な計画の過程を経て、プラハの街を移動するハイドリヒの一行を襲撃し、致命傷を負わせる。これにより、ハイドリヒは第二次世界大戦中に殺害された唯一のナチス最高幹部となった。ナチス政権に揺さぶりをかけた歴史的瞬間は、それぞれの信念を貫いた、両極に位置する人々によって生み出された。史上唯一成功した、ナチス高官の暗殺計画の真実が今、明かされる――
1939年の華やかなニューヨーク。作家を志す20歳のサリンジャーは編集者バーネットと出会い短編を書き始め、その一方で劇作家ユージン・オニールの娘ウーナと恋に落ちる。だが太平洋戦争が勃発し、サリンジャーは戦争の最前線での地獄を経験することになる。数年後、苦しみながら完成させた初長編小説「ライ麦畑でつかまえて」は発売と同時にベストセラーとなり、サリンジャーは天才作家ちしてスターダムに押し上げられた。だが、彼は次第に世間の狂騒に背を向けるようになる…。
最強傭兵部隊 VS 殺人機械兵団 報酬次第でどんな仕事も引き受ける元海兵隊員のヴィンセント・レイカーが率いる、荒くれ者揃いの傭兵部隊。彼らはロシア・モスクワを訪問中のアルカサル共和国次期統治者を生け捕りにするという依頼を見事なチームワークをもって難なくこなす。その後、武器商人カールとCIAからの依頼を受け、アルカサル共和国の反政府軍に銃器を提供するという極秘任務を請け負い、彼らを監視するCIAの精鋭らとともに銃器があるとされる旧チェルノブイリ原子力発電所へと向かう。ところが、そこで待ち受けていたのは、降り注ぐ銃弾の雨と、次々と襲い来る機械兵たちだった。いくらダメージを与えても動きを止めない殺人マシーンの容赦ない攻撃をかいくぐり、果たして彼らは無事に任務を遂行できるのか!?
1592年に壬辰倭乱が勃発し、王である宣祖は若き後継者 光海にその責務を押し付け明へと避難する。残された光海は義兵を集めて戦うため遠方の江界へ向かうことに。彼の護衛をすることになったのは、生活のために他人の軍役を代わりに担う「代立軍」と呼ばれる農民たち。敵からの攻撃は激烈を極め、命の危険を感じた仲間たちからの反対の声が高まるなか、代立軍のリーダーであるトウは最後まで光海を守り抜くことを決断する。
1923年、第一次世界大戦後のフランス。40万人もの行方不明者を出したアルゴンヌ戦で戦い、それぞれ心に傷を負った兄と弟。兄のジョルジュは戦友のディオフォと共に西アフリカのオートボルタへ旅に出ていたが、ある不慮の事故に遭い、失意のまま母国フランスへ向かう。しかし、弟のマルセルは戦争の後遺症で言葉を失い、心を閉ざしていた。マルセルの恋人を見つけようと奔走するジョルジュだったが、マルセルの手話の先生に惹かれていき…。
1941年の春、アムステルダムに住む両親の元を離れ、佐賀県唐津に暮らす叔母(常盤貴子)の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)の新学期は、アポロ神のように雄々しい鵜飼(満島真之介)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)ら学友を得て“勇気を試す冒険”に興じる日々。肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)に恋心を抱きながらも、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と“不良”なる青春を謳歌している。しかし、我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。「殺されないぞ、戦争なんかに!」…俊彦はひとり、仲間たちの間を浮き草のように漂いながら、自らの魂に火をつけようとするが…。
江戸から明治への転換期。信州・上田藩の下級武士の家に育った山本勝三郎は、東京の町医者・山極吉哉の養子となる。東京帝国大学の医科に入学し、妻・かね子の後押しで町医者を継ぐのではなく病理学の道へ進む。32歳で東京大学教授となった勝三郎は、結核を患いながらも助手の市川厚一と共に、うさぎの耳に刺激を与え続けることで人工的に癌を発生させるという「癌刺激説」の証明実験を行う。果たして世界初の実験は成功するのか?
1945年、終戦間近の東京。19歳の里子(二階堂ふみ)は母親(工藤夕貴)と杉並区の住宅地に暮らしている。度重なる空襲に怯え、雨が降ると雨水が流れ込んでくる防空壕、日に日に物価は高くなり、まともな食べ物も口には出来ないが、健気に生活している。妻子を疎開させた銀行支店長の市毛(長谷川博己)が隣に住んでいる。里子の周りでは日に日に戦況が悪化していく。田舎へ疎開していく者、東京に残ろうとする者...。戦争が終わると囁かれはするものの、すでに婚期を迎えた里子には、この状況下では結婚などは望めそうもない。自分は男性と結ばれることなく、死んでいくのだろうか。その不安を抱えながら、市毛の身の回りの世話をすることがだんだんと喜びとなり、そしていつしか里子の中の「女」が目覚めていくのだが──。
男一人、酒浸りになりながらバーを営むサル(ブライアン・クランストン)と、破天荒だったミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)の元に、30年間音信不通だった旧友のドク(スティーヴ・カレル)が突然現れる。2人にドクは、1年前に妻に先立たれたこと、そして2日前に遠い地で息子が戦死したことを2人に打ち明け、亡くなった息子を故郷に連れ帰る旅への同行を依頼する。バージニア州ノーフォークから出発した彼らの旅は、時にテロリストに間違われるなどのトラブルに見舞われながら、故郷のポーツマスへと向かう――。30年前に起きた悲しい出来事をきっかけに出た再会の旅。語り合い、笑い合って悩みを打ち明ける旅路で、3人の人生が再び輝き出す。
トルコとの国境に近いシリア北部のクルド人街コバニは、2014年9月から過激派組織「イスラム国」(IS)の占領下となるも、クルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃と連合軍の空爆支援により、2015年1月に解放された。人々はコバニに戻って来たが、数カ月にわたる戦闘で街の大半が瓦礫と化してしまった。そんな中、20歳の大学生ディロバンは、友人とラジオ局を立ち上げ、ラジオ番組「おはよう コバニ」の放送をはじめる。生き残った人々や、戦士、詩人などの声を届ける彼女の番組は、街を再建して未来を築こうとする人々に希望と連帯感をもたらす。
後史上最悪の人道危機と言われるシリア内戦。2014年6月、その内戦において過激思想と武力で勢力を拡大する「イスラム国」(IS)がシリア北部の街ラッカを制圧した。かつて「ユーフラテス川の花嫁」と呼ばれるほど美しかった街はISの首都とされ一変する。爆撃で廃墟と化した街では残忍な公開処刑が繰り返され、市民は常に死の恐怖と隣り合わせの生活を強いられていた。 海外メディアも報じることができない惨状を国際社会に伝えるため、市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)が秘密裡に結成された。彼らはスマホを武器に「街の真実」を次々とSNSに投稿、そのショッキングな映像に世界が騒然となるも、RBSSの発信力に脅威を感じたISは直ぐにメンバーの暗殺計画に乗り出す――。
裏社会の男の背中を追いかけた元キックボクシング世界チャンピオンの男とその妻のすれ違いを切なく描き出す「夢幻」。大東亜戦争末期、帰ることのない特攻隊員たちに無償の愛をかたむけた“特攻の母”鳥濱トメとその娘・礼子、そして彼女らの遺志を継いだ孫・潤の三世代にわたる実話を描いた「さつまおごじょ」。時は遡り江戸時代、切腹を申し付けられた武士とその家族の最期の一夜を描いた「陽は落ちる」。全3話、時代を巡り生と死が交錯するオムニバス長編映画。