ロンドンのとある街。ヤクの売人スペンサーは、地元のゴロツキたちとの些細な争いで、友人デニスを殺される。その犯人が捕まることもない街で夢も希望もなく、怠惰な日々を過ごしていた。そんな彼は、幼い頃からスヌーカーだけは得意で、地元の有力者レイが営むパブで、いつものように球を突いていた。ある日、見慣れない中国人ヴィンセントが、ゲームをしようと持ちかけてきた。服役中の父親テリーの友人でもあったヴィンセントは、ビリヤードのプール競技の元チャンピオンだった。テリーの依頼もあり、“スヌーカーのプロ選手になる”という幼い頃の息子の夢を叶えるため、力になってほしいと、テリーに頼まれていたのだが…。
2009年、過疎化がすすむ町・猿投(さなげ)に突如として現れた3人の戦国武将。彼らは400年前、分の城を完成できずに無念の死を遂げた侍の霊だった。殿様の「築城せよ!」という号令の下、町おこしを願う住民達を巻き込んで、壮大かつ無謀なプロジェクトが立ち上がる。素材は段ボール!残された時間はたったの3日。意味不明の号令と傍若無人な振る舞いに、住民たちの間で不協和音が流れる中、ひたむきに築城に打ち込む殿様の姿に、大学生・ナツキを中心にして、いつしか住民たちの心も一つにまとまっていく。しかし、もともと築城現場に工場を建てようとしていた町長一派は、段ボール城を撤去しようと、秘策を練っていた。そして完成まであと一歩と迫った夜、宴会で盛り上がる段ボール城を、町長が組織した一団が静かに包囲する。果たして、城は無事完成するのか。それとも、ひとたまりもなく壊れてしまうのか!!
「もぉーいぃかい?」夫婦でかくれんぼ。妻アリカが鬼。彼女は鼻がきく。夫コウキは匂いを辿られまいと頭を捻る。ある日、夫から嫌な匂いがする。アリカは変わっていく夫の匂いに苦しむ。そんな妻の姿を見て、コウキは妹カスミにある頼みごとをする。
囚人たちの為に演技のワークショップの講師として招かれたのは、決して順風満帆とは言えない人生を歩んできた役者のエチエンヌ。彼はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を演目と決め、訳あり、癖ありの囚人たちと向き合うこととなる。エチエンヌの情熱は次第に囚人たち、刑務所の管理者たちの心を動かすこととなり、難関だった刑務所の外での公演にこぎつける。しかし思いも寄らぬ行動を取る囚人たちとエチエンヌの関係は、微妙な緊張関係の中に成り立っており、いつ壊れてしまうかもしれない脆さを同時に孕んでいた。それは舞台上でもそのままに表出し、観客にもその緊張感がじわじわと伝染し始める。ところが彼らの芝居は観客やメディアから予想外の高評価を受け、再演に次ぐ再演を重ね、遂にはあの大劇場、パリ・オデオン座から最終公演のオファーが届く!果たして彼らの最終公演は観衆の歓喜の拍手の中で、感動のフィナーレを迎えることができるのだろうか?
中学を卒業してすぐに地元滋賀を離れ、ずっと東京に住むエイミは、母親が亡くなった後も一人で滋賀の田舎で暮らしている妹・ユウに、「東京で新しい人生を始めない?」と誘う。はじめは拒んでいたユウだがなぜか急に東京に来ることを受け入れ、一緒に暮らし始めるが、引っ越してきて早々、ユウは行方不明に。そんな折、エイミは同じく妹が行方不明になっているヒヨリと出会う。エイミに、地元の琵琶湖で若い女性の遺体が見つかったと警察から連絡がくるが、見つかった遺体はユウではなく、なぜかヒヨリの妹だった。再び巡り合ったエイミとヒヨリは、共に犯人を捜すことになるが思わぬ方向へ…。
ウェンディは愛犬ルーシーを連れ、車を走らせている。失業の憂き目にあった彼女は、仕事を求め、アラスカへ向かっているのだ。その途次、車が故障し、立ち往生を食らう。愛犬ルーシーは腹を空かせるが、エサは既に尽きた。金も無い。ウェンディはドッグフードの万引きを試みるも、あえなく警察の御用となった。その間、ルーシーは行方不明となり……。
コージーは母としての生活に不満を抱いている。誰かが自分の子供たちを引き取っていくこと、そうすれば彼女自身が新しい人生を始められるということを、延々夢想している。彼女の父は、地元の刑事。昼間から酒を浴び、たびたび銃を失くしてしまう。最近またどこかに置き忘れ、停職を食らってしまった。彼の銃を、リーという放蕩青年が拾う。ある日バーで出会ったコージーとリーは銃を手に、代わり映えの無い日々からの脱却を目論む。ひょんなことで殺人を犯してしまったと勘違いした彼らは、逃避行を開始。だがそれは、映画のような夢物語とは、かけ離れていて。
1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民した家族の物語。平壌で幸せに暮らすパク一家は、父の失踪後、家族全員が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い、他人を欺く一方、母と妹は人間性を失わずに生きようとする。そんなある日、愛する家族を失うことがきっかけとなり、ヨハンは絶望の淵で「生きる」意味を考え始める。やがてヨハンの戦いは他の者を巻き込み、収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。
トビリシの旧市街の片隅。作家のエレネは生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らしている。今日は彼女の79歳の誕生日だが、家族の誰もが忘れていた。娘は、姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始めたので、この家に引っ越しさせるという。ミランダはソヴィエト時代、政府の高官だった。そこへかつての恋人アルチルから数十年ぶりに電話がかかってくる。やがて彼らの過去が明らかになり、ミランダは姿を消す……。
シングルファザーのソクジンは、過去に音楽の夢を諦めてはいたが、生活苦からついに大切にしていたサックスを売ろうと決意する。一方、ソクジンの永遠の第一号ファンである息子ハヌルは「パパのサックスを吹く姿が一番かっこいい」とサックスを習い始める。息子の言葉に背中を押され、ソクジンは仲間とともに自分たちが”主人公”となる舞台を作り上げていく。
ペルシャ絨毯を通じて生まれた心の交流を描いた日本・イラン初の合作映画。飛騨高山とイランのイスファハンを舞台に、子供同士のほのかな恋を織り交ぜながら、2つの国の文化の壁や国民性の違いを乗り越えてゆく人々の姿を詩情豊かに丁寧に描いており、心温まる人間ドラマが感動を誘う。
身寄りのない子供たちが暮らす家で育った18歳の花(小川未祐)は、そこで暮らせる最後の夏を迎えていた。そこに8歳の少女・晴海(花田琉愛)が入所してくる。かつての自分を重ねた花は、晴海と過ごすうちに今までに無かった感情が芽生えてゆく。
生まれてからずっと虐待の日々が続く少女・鞠(小南希良梨)。食べる物もなく、電気もガスも止められている家に置き去りにされた鞠のもとへ、犯罪を重ねる破綻者の男・金田(上西雄大)が空巣に入る。幼い頃に虐待を受けていた金田は、鞠の姿に自分を重ね、社会からは外れた方法で彼女を救おうと動き出す。そして、鞠の母である凜(古川藍)の恋人から鞠が虐待を受けていることを知る。虐待されつつも母親を愛する鞠。鞠が虐待されていると確信した担任教師は、児童相談所職員を連れてやって来るが、鞠は母の元を離れようとせず、保護することができずにいた。金田は鞠を救うため虐待をする凜の恋人を殺してしまう。凜に力ずくで、母親にさせようとする金田。しかし、凜もまた、虐待の過去を持ち、子供の愛し方が分からないでいた。そんな3人が不器用ながらも共に暮らし、「家族」の暖かさを感じ本物の「家族」へと近づいていく・・・。
第1幕【新しい夫婦生活】(二宮ひかり)(【オープン・マリッジ 新しい夫婦生活】より)安奈(二宮ひかり)は社内結婚で専業主婦になったばかりの若妻。夫の慎吾は万年課長で冴えない中年男。ある日、慎吾は若い安奈を性的に満足させてあげられないのではないかと部下の武司に相談してしまった。他の男に愛する安奈を抱かせるなんて絶対に無理だと渋る慎吾に、武司はある熟女を紹介する・・・。第2幕【ある夫婦のカタチ】(市川まさみ)【オープン・マリッジ ある夫婦のカタチ】より)綾香(市川まさみ)は専業主婦。夫の慎吾は出版社勤務で忙しく、セックスレスな夫婦生活を送っていた。ある時、女性誌で新しい結婚のスタイルである”オープン・マリッジ”を特集することになった。自由に他の異性と関係が持てるというものだった。体験レポートを要求された慎吾と綾香は、パートナーを見つけた。嫉妬から生まれた興奮で、セックスレスを解消してお互いの身体を激しく求めあうようになっていくが・・・。第3幕【ある夫婦の体験記】(架乃ゆら)(【オープン・マリッジ ある夫婦の体験記】より)ACCR-2032 2021年11月 柚季(架乃ゆら)は初恋の男性、幸太郎と新婚生活を始めていた。初めての男性経験が夫だった経験から、夜の生活がシンプルなものになっていた。ある日、同窓会の誘いを受け、好意をもっていた旧友と再会する。夫の幸太郎は上司に夜の性活の悩みを話すと、夫婦で相談に乗ってもらう事に。2人が導き出した、新しい愛し合う解決方法とは!?(3話オムニバス総集編)
最愛の妻を亡くしたばかりのトム・ハーパー(ティモシー・スポ―ル)はローカルバスのフリーパスを利用してイギリス縦断の壮大な旅に出ることを決意する。目指すは愛する妻と出会い、二人の人生が始まった場所―。行く先々で様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、妻と交わしたある“約束”を胸に時間・年齢・運命に抗い旅を続けるトムは、まさに勇敢なヒーローだ。愛妻との思い出と自身の“過去”ばかりを見つめていたトムが、旅を通して見つけたものとは・・・?
韓国・ソウルに暮らす三姉妹。長女ヒスク(キム・ソニョン)は別れた夫の借金を返しながら、しがない花屋を営んでいる。一人娘のボミは冴えないパンクバンドに入れあげ、反抗期真っ盛り。元夫からお金をせびられ、娘に疎まれても、“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごす。そんな彼女の体には異変が起きていた…。次女ミヨン(ムン・ソリ)は熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。大学教授である夫(チョ・ハンチョル)と一男一女に恵まれ、高級マンションにも最近引っ越したばかり。新居祝いのパーティーを開き、“完璧なフリ”をして生活しているが、夫の裏切りによってそんな日常もほころびを見せ始める。三女ミオク(チャン・ユンジュ)は劇作家として絶賛スランプ中。食品卸業の夫(ヒョン・ボンシク)の後妻となり、夫の連れ子である中学生の息子と3人で暮らしているが、自暴自棄となって昼夜問わず酒浸り。たまにミヨンにも泥酔状態で電話をかけている。人の良い夫は必死に彼女をサポートしようとするが、ミオクは“酔っていないフリ”をして息子の保護者面談に乗り込んでしまう。普段はそれぞれの生活で精一杯で、ほとんど顔を合わせない三姉妹だが、ミオクがミヨンの教会を突然訪ねてきた。ミヨンは、スナック菓子を片手に牧師様に話しかけるミオクに一瞥もくれず足早に教会の外に出ていく。そんな姉を追いかけるミオクは、「会いたくて来たのに、私が恥ずかしい?」と話しかける。二人が話すのは、長姉ヒスクや実家に残してきた末弟ジンソプのこと。ある時は、三姉妹の母親からミヨンに電話があり、どうやらヒスクがお金を無心してきたという。居ても立っても居られなくなったミヨンはヒスクの花屋を初めて訪れ、久しぶりに二人で食事を共にすることに。ミヨンはヒスクに「わたしたちは他人?姉妹は支え合うものよ」と諭すのであった。そんな折、父親の誕生日を祝うために三姉妹は久しぶりに帰省し一堂に会することに。牧師様も同席し、誕生日会の祈りが捧げられる時、思いもよらぬ出来事が起きる。三人はそれまで蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことになる―。
女手ひとつ、三十年も続く惣菜店と二人の子供を懸命に守ってきた母・エラン。ここの惣菜は「薬のような料理」と近所でも有名で、ガン患者やアトピー患者もわざわざ買いに出掛けてくるほどだ。「この頃わたしも忘れっぽくなっちゃって」と言いながらも、テキパキと店を仕切る姿が頼もしい。しかし息子のギュヒョンはというと、万年非常勤講師で生活能力もなく、二人の子供を持ちながらも妻に頼りきりの生活だ。この日も大学仲間と酒を酌み交わし、教授の席の斡旋話しを聞いてご機嫌に。母の絶品トンチミククスを振る舞うと、深夜に仲間を連れ突然実家に転がり込んでしまう。他人の為なら苦労は厭わない母は、嫌な顔ひとつせず料理を振る舞うも、妻子の待つ家にも帰らず実家で眠りこけてしまうダメ息子の顔を見ては「何をしているんだか…」と呆れてものが言えない。亡くなった自分勝手な旦那の影を息子に見て、つい小言ばかり言ってしまう毎日。翌朝、やっと家に帰ったギュヒョンは二日酔いで伏せたまま。仕事で家を出なくてはならない妻は、子供の面倒を夫に任せることが出来ず、仕方なくお義母さんの惣菜店に子供を連れて出て行った。とはいえ、エランも店での仕事があるのだが…。「全ては生活能力のないギュヒョンのせい」と捨て台詞を吐いて出ていってしまう義理の娘。かたやギュヒョンは「教授の座に就くには五千万ウォンが必要」と大学側から告げられ、世間知らず故にあっけにとられてしまう。五千万ウォン、そんなお金がどこに…。仕事をしながら孫の面倒を見ていたエランはというと、家の中で躓いて足を痛めてしまった。「どうしても週末にチュンチョンに行きたいから車を出してほしい」。ギュヒョンに頼む母だが、一体なぜチュンチョンに行くのか、それに怪我をしている今なぜ?問うても答えぬ母の頑なな態度がどうにもわからない。母には秘密があるのだ。そんな中、調味料の分量を忘れたり、仕入れ業者と支払いについて揉めたり、靴の万引きで警察に突き出されたりと、エランに予想もしなかった認知症の症状が現れはじめ、子供たちの荷物にだけはなりたくないと薄れていく記憶の端を掴もうとするのだが…。心配になったギュヒョンは、母を認知症検査に連れていくのだったが「あなたたちの荷物にはならないし、もし病気にでもなったら勝手に施設でも行くから、わたしには何も望まないでほしい」と激しい口論に。病院では「加齢によるただの物忘れ」と言ってもらった母だったが、実際は既に大きく進行している認知症なのだった…。その後も突然家を飛び出し、またも警察のお世話に。しかし、よくわからないのが「スンヒョン!水に近づいちゃダメ!」と見知らぬ子に抱き着き取り乱していたというのだ。家族の誰もが聞いたことのない名前だ。ついに自分が認知症であることを理解したエランは、自ら施設に入る決心をする。ギュヒョンは実家でもある店舗を売りに出し、その金で斡旋手数料の五千万ウォンの支払いや、母の施設入所金に充てる算段だったが…。家の片付けをしていると一冊のノートが。そこには息子や孫に宛てた自家製レシピと、家族への想いが切々と綴られているのだった…。
世界は悲しいけれど、幸福な1日はある。15歳のビリーと11歳のニコ、その家族の物語。普段は優しいが酒を飲むと人が変わる父アダム。家を出て行った母親イヴ。頼る大人がいないビリーとニコの姉弟。ある日出会った少年マリクとともに、彼らは逃走と冒険の旅に出る!世界はとても悲しい。でも、幸福な1日はある。その1日がずっと長く続きますように。すべての大人に子供時代のきらめきを思い起こさせ、ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門で最優秀作品賞を受賞した。
シンガーのクレオ。彼女はガンを患っているかもしれないという恐怖を抱えながらパリの街をあてもなく歩く。7時の医師との約束の時間までの5時からの2時間を、クレオは友人や知り合いに会っていく。しかし、心の不安は解消されない。そんな時、公園でこれから戦地へ復員する若い兵士と出会い、二人は不安な気持ちを共有する…。クレオの心象風景をリアルタイムで追いかけた、キュートで哲学的なガーリームービーの金字塔。
舞台はパリ郊外のフォントネ。平凡だが実直なフランソワは、美しく裁縫が得意な妻テレーズと2人のかわいい子どもたちと暮らす。日曜日には家族そろってピクニックに出かけるような陽の光に祝福された幸せな日々を過ごしていた。そんなフランソワはある日郵便局員のエミリーという女性と知り合い、いつしか二人は深く愛し合うようになる。フランソワは二人の女性を同時に愛すことに喜びを覚え、妻テレーズにも打ち明ける…。
東京で100年続く老舗和菓子屋「きしだ」は、五人兄弟の三男・岸田龍太郎が跡を継いでいた。コロナ禍で売上も落ちたが、龍太郎の発案である新商品の開発と広告宣伝が好調で何とか持ち直していた。そんな矢先、父・春彦が倒れ家族はパニックに。そして、せっかく就職し社会人デビューできた五男・剛だったが会社を勝手に退職し、ダンサーの夢を諦めきれず斎藤が主宰するスタジオに通い出す。剛の勝手な行動に激怒した母・優子は剛を勘当するのだが・・・。そんな中、龍太郎の同級生で大手百貨店に勤務する只野から「きしだ」を百貨店に出店しないかと持ち掛けられる。
若き消防士アレクセイは、元恋人オリガと10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩みたいと願っていた。ところが地元のチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、それまでの穏やかな日常が一変。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていることを知らされる。もしも溶け出した核燃料が真下の貯水タンクに達すれば、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまきちらされてしまう。愛する人のためタンクの排水弁を手動で開ける決死隊に志願したアレクセイだったが、行く手には想像を絶する地獄が待ち受けていた…。
「お名前は?」「覚えていません」――。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい自分”に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで女を誘う...―そして新たな経験をポラロイドに記録する。ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする・・・。記憶はどこにいったのか?新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。
ある家族の、愛と運命の物語 一人息子を亡くし、代々続く家系が途絶える危機に頭を痛めている辰也とその母ハル。息子を失い妻が出て行ってしまった辰也に対し望まぬ相手との結婚を迫るハル。そして娘の由子に婿養子をとり、跡を継いでほしいという思いを秘める辰也。名家の跡継ぎを巡り家族の中が緊迫し、繋がりが崩れだしていくが…。
終活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生・咲(岩本蓮加〈乃木坂46〉)は、一緒に働く老紳士・敬三(宝田明)と共に、様々な境遇の人々の「終活」の手助けをしていく。咲は危険と隣り合わせの職業で、万が一のために家族に遺書を残していこうとする者や余命わずかで思い出を残そうとする者たちに寄り添って「終活」のお手伝いをする日々を送っていた。そんな最中、咲の担任でかつて国語教師であった南雲(土居志央梨)は生徒からのイジメに遭い、教師をやめ自暴自棄の生活をしていた。咲はひきこもりの彼女の様子を見に度々家を訪れ、様子をうかがっていた。一方で、イジメの張本人の女子生徒を待ち伏せして自分の気持ちをぶつけたりもするが、彼女の中のやるせない気持ちは消えることはなかった。自身も不登校で行き場を求めている咲に、敬三は病気で老い先短い妻(吉行和子)とかつて見た桜の下での思い出を語る。咲は敬三たち夫婦を励まそうと、敬三がかつて見たという桜の木を探しに出かけるのだが・・・。
「サムライゾンビフラジャイル」深夜、ゾンビたちの襲撃を受けて気絶していたが、侍の格好をしたゾンビに助けられた赤井葵。しばらくして葵が見たことのない部屋で目を覚ますと、侍ゾンビの同居人で名探偵を自称する老人が現れ、葵がゾンビに襲われた原因を究明しようと言う。葵、侍ゾンビの上下左右衛門之介、老人探偵・横井昭吉は、葵がゾンビに襲われた謎を探るが……。「マンダンケ」漫画家を夢見てドイツから日本にやってきたエレナ。有名漫画家の新人アシスタントとして奮闘するも毎日が空回り。ある日、同じアシスタントの美由紀と漫画対決をすることになるのだが…。「じぞう」古びた一軒家を掃除するお爺さん。山道の向こう側で、田舎の風景を平然と見守る地蔵の像。ある日、女の子が急に現れる。地蔵のお供え物を食べる女の子を止めようするお爺さんは、とんでもない真実を知る。「犬が伝えたかったこと」亡き妻がかつて歩いた道をイヌと歩きながら妻の思いにふれる男を描くヒューマンドラマ
福岡で急成長しているベンチャー企業、アイセンス。だが、ある日、社長の北村創次の強引なやり方についていけなくなった社員たちが一同に退職。競合となるGIファクトリーを設立する。1年後、GIファクトリーにより案件をいくつも奪われ、アイセンスは危機的状況に。北村は社運を賭け、会社初となる新卒採用に乗り出す。そのプロジェクト・リーダーに大抜擢されたのは、大学時代に学んだ社会心理学を活かし、高い営業成績をあげている若手社員の川島美沙だった。会社の立て直しを目指し、新米採用リーダー・川島と社長・北村の挑戦が始まる。
天才的な技能を駆使し、古い家電からロボットまで修理を請け負う工房で働く16歳の倫太郎。ある日、ひとり暮らしの老婦人からAIBOの修正依頼が舞い込む。時を同じくして、倫太郎は発声障害のある14歳の少女すずめと出会う。すぐに仲良くなったふたりは、依頼品のAIBOと共に20年ぶりに復活した榛名湖のダイダラ祭りへと向かう。湖には「甦りの伝説」があり、願いが叶うと亡くなった人が甦るという。その帰り道、AIBOがとある録画映像を映し出したことで、倫太郎も知らなかった過去が明らかとなっていく―――。
2011年。東日本大震災で未曽有の被害を受けたたくさんの人たち。その中で、被災した宮城県から栃木県鹿沼市に引っ越して来た母娘がいた。鹿沼でほうき職人として伝統を守ってきた男は、家業だけでは生活が出来ないため副業として塾を経営している。男は宮城から鹿沼にやって来たその母子家庭の娘を支えてやろうと月謝を取らずに塾に通わせていた。高校受験を控えたその娘はしかし、心に負った震災の傷が癒えずに塾を休みがちになる。どうにかしてやりたいと思うが不器用な男は何もできない。さらに自分には実の娘がいて、娘としては他人の娘にばかり優しくする父が面白くない。見かねた妻がたしなめるが男はわかっていない。やりきれない心と心がすれ違い交わりそうで交わらない。息苦しい暮らしの中で娘たちは何かを見つけるのか――
順調とは言えない毎日、幼い頃から抱く父への不満、心に燻る微かな想い…生まれ育った町に帰り、未来に向かって走りだした先でみつけた“大切なもの”とは―。大学進学を機に上京し役者を目指す大河(森崎ウィン)は、ある日突然、地元で暮らす幼馴染の美帆(深川麻衣)から父(西村まさ彦)の急死を知らされる。父はラリーで数々の栄誉に輝いたメカニックで、今は豊田市の外れで「北村ワークス」を営んでいた。しかし、大河は幼い頃死別した母を想い、家庭を顧みなかった父を今も許せておらず、釈然としない思いのまま久しぶりに故郷へ帰る…。実家ではエリート銀行員の兄(佐藤隆太)が、優秀なメカニックの父なしに経営存続は難しいと考え、「北村ワークス」を畳む決断をする。一方、大河は実家で兄と遺品整理する中で父の知らなかった過去に初めて触れる。さらにシングルマザーとして奮闘する美帆や、父が若き日にともにラリーをめざした親友・宮本武蔵(竹内力)、路頭に迷う従業員(田中俊介、小林きな子、有福正志)たちと向き合ううちに、父の残した本当の思いに気づき、自分自身と仲間たちの再起をかけてラリーにチャレンジしようと決意する。しかし、素人の大河、頼りない仲間たちとの挑戦には、予想もしていなかった困難が待ち受けていた――。
22歳の大学生・晃は、好意を寄せる先輩・吉岡を連れ、尾道の実家にやって来る。晃は吉岡を退屈させないよう女の子を誘って遊びに出ることにし、幼なじみの文江や彼女の友人みーこと4人で過ごすように。やがて吉岡はみーこのことが気になりはじめ、晃を悩ませるが……。
1996年、関東の郊外、埼玉県岩槻市。暴力団「青葉会」が支配する大宮周辺では巨大暴走族が蔓延り、日々若者の抗争が絶えなかった。そこで一躍名を上げていたのが、県下一の勢力を誇る暴走族「桜神會」(おうじんかい)の吉田正樹(奥野壮)だ。しかし、その活躍を面白く思わない青葉会と、その傘下に入った暴走族「魅死巌」(みしがん)の企みにより正樹は少年刑務所に送られてしまう。少年刑務所での酷い仕打ちに抵抗する正樹だったが、娑婆に残った桜神會のメンバーが次々と青葉会に買収され、妻や娘も不当なゆすりに遭っていることを知る。正樹は青葉会や魅死巌への復讐を誓い、一刻も早く、この灰色の壁を出るべく、まずは模範囚になることから始めるのだった。いま、ある男の人生を賭けたリベンジが静かに始まった―。
かつてシンガーソングライターとして活躍していたジェシカ。今は音楽を諦め、心臓病を抱える父親の金物店を手助けしていた。久しぶりにLAの音楽業界で働く親友ボニーのもとに遊びに行く予定だったジェシカだったが、自分の代わりに店を見てくれるはずの弟にドタキャンされ、結局は残るハメに。そんな彼女が父親の昔馴じみのチェンバース牧師に依頼され、教会の聖歌隊を指導することに。聖歌隊は教会の再起をかけた100周年記念式典で歌を披露するはずだったが、指導者が本番の3週間前に逃走。そもそも彼らにはきちんとした指導もされていなかった。聖歌隊は古臭い定番曲すら歌えず、執事はジェシカの失敗を願うなど、さんざんな初日となるのだが…。
ある日、川島いづみは大金の入った財布を拾う。中に入っていた学生証をたよりに、その財布の持ち主に返すはずが…。いづみ、友達の蓮実と薫、そして財布の持ち主・佐藤。財布の中に入っていたはずのお金を介して、彼らのいつもの日常に小さな変化が訪れた――。
池田徹(TAKAHIRO)は、島で一二を争う凄腕の漁師だったが、12年前に漁をしている最中に嵐と遭遇して、妻を亡くした過去があった。その時、自身も頭を強打し、目覚めた時には全て記憶を失っていた。事故後、徹は一切漁に出ることなく、失った記憶に怯えながら日々を生きていた。過去を振り返ることも、未来へ動き出すこともできないまま葛藤していたのだ。そんな息子の姿を見て、母親の信子(松坂慶子)も苦しい思いを抱えている。一方、島のフェリー乗り場には木村めぐみ(山口まゆ)、福間雄一(板垣瑞生)、横山愛美(柴田杏花)、の高1の留学生が到着する。県立隠岐島前(どうぜん)高校では「島留学」と称し、都会から越境入学で生徒を受け入れているのだ。「島留学」では、単身やってくる生徒に島で親代わりになってくれる世話役を島内から募集して、生徒ごとに「島親」としてあてがい、島で生徒たちが快活に生活できるようサポートしている。池田家もこの取り組みに賛同し、雄一の「島親」になった。徹は漁協の休みに釣りに出かけ、距離を縮めていく。高校では生粋の島生まれの生徒と島留学できた都会育ちの生徒が悩みや葛藤をもちながらも、それぞれ将来への夢や希望に向かい、絆を深めていく。そんな高校生たちとは対照的に、徹は依然、未来への一歩を踏み出せずにいた。船着き場に佇む徹を見つけた信子は心配そうに声をかけるが、徹は「大事なことを忘れてしまっている。いや、その大事なことすら何か分からない……」と苦しい胸の内を吐き出す。ある日、信子は徹の記憶を取り戻そうと、ある計画を実行する。果たして徹の失った時間は戻るのか、また、止まった時間は再び動き出していくのか?
交通事故で両親を失い、いきなり一家の主となったヨンジュ(キム・ヒャンギ)は自らの学業を放棄しても弟ヨンイン(タン・ジュンサン)の面倒だけはみようと決意する。しかし、ヨンインはそんな姉の思いをよそに、非行に走り問題を起こしてしまう。示談金を用意しなければヨンインが少年院送りになるという状況に直面したヨンジュは、両親の事故の加害者であるサンムン(ユン・ジェミョン)を訪ねるが…。
和彦は母親が病気になったことをきっかけに仕事を辞めて実家へと戻ってきた。老人ホームで働き始めた和彦を待っていたのは、慣れない老人たちの介護と家では母親の愚痴を聞くという過酷な毎日だった。施設の方針に疑問を持ちながらも、和彦は入居者が楽しく笑顔でいられる理想を思い描きながら、日々の業務をなんとか真面目にこなしていた。そんな後藤に入居者のアイコだけが反抗的な態度をとっていた。自己主張するアイコに感化された和彦は、ホームでの仕事に生きがいを見つけようとするが……。
小夜は東京で生活していた。ある日、田舎で暮らす姉のあすみから連絡があった。それは今度結婚するという内容の電話。「おめでとう。何て人?」あすみは言いにくそうに名前を言った。「布施野さん……」その名前を聞いて小夜は愕然とした。その男は8年前にある事件を起こしていた。
30歳を目前にした功一は、東京での仕事を捨て、函館の空き家になった実家で暮らし始める。何も告げず東京に残してきた愛人に電話をすると、女は一人の若い女性との出会いを予言する。ある一夜、功一は場末の裏通りで亡き父に似た流しのアコーディオン弾きとすれ違い、昔馴染みのバーで働き始めたユミコを知る。そして二人は互いの過去や孤独を語りあい、次第に思いを深め合っていく。ユミコと一緒に暮し始めたある夜、静まりかえった部屋で功一は死んだ父と出会う。功一はユミコとの将来を伝えるが父は何も答えてくれない…。
御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく…と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る…
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ。母のマルティーヌは息子の好きだった料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌは慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ、彼の妻のカトリーヌはルイとは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れるかのように、ひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していく兄の激しい言葉が頂点に達した時、それぞれが隠していた思わぬ感情がほとばしる――――。
内モンゴルのフルンボイル草原に暮らす一組の夫婦。夫のチョクトは都会での生活を望んでいるが、妻のサロールは今の暮らしに満足している。どこまでも続く大地、空を流れる白い雲。羊は群れをなし、馬が草原を駆けぬける。しかし、自由なはずの草原の暮らしにも変化が訪れ、徐々に二人の気持ちがすれ違いはじめる。そして、ある冬の夜、二人は大きな喪失を経験する。その日を境に、サロールと草原で生きる覚悟を決めたチョクトだったが…。
神奈川の山間の町・下村。ひょうきんな父と、優しく聡明な母の愛情を一身にうけ育ってきた大塚あやめは、高校卒業後は東京の専門学校に進学することを決めている。そんなある日、18年前から絶縁状態だった姉・すみれが帰ってくる。あやめと同い年の娘・茉祐子をつれて。自分の知らない家族の姿に戸惑い、受け入れられないあやめ。しかしすみれの過去の想いを知り、本当の「家族」の意味に気づいていく…。故郷からの旅立ちを前に葛藤し、時に真正面からぶつかっていく少女の成長、そして家族や故郷の人々の深い愛情が胸に迫る。
ベトナムで日本語教師として働く日本人女性・小松みゆき氏が認知症の母との暮らしをつづった「越後のBaちゃんベトナムへ行く」を、フィクションを交えながら松坂慶子主演で映画化した人間ドラマ。日本で離婚した後に憧れの地ベトナムへ移住し、日本語教師として働いているみさおは、認知症が進行しはじめた母を義兄が施設に預けようとしていることを知り、母をベトナムに連れて来ることを決意する。母は慣れない土地での生活に戸惑いながらも、ベトナムの人々の温かさに触れるうちに少しずつ笑顔を取り戻していく。
夏の終わり、父のルイジと母のマリアと三人で休暇を過ごしたダフネ。しかし、楽しいバカンスが一転、帰り支度の最中に突然マリアが倒れてしまう。すぐに病院に運ばれるが治療の甲斐なく、帰らぬ人に……。あまりに唐突すぎる母の死に、ダフネは泣き叫び、感情を露にする。ルイジはそんな彼女を心配し、必死に落ち着かせようとするが、ダフネは辛く当たってしまう。マリアの葬儀が終わり、普段の生活へと戻る二人。ダフネは、元来の明るさと、勤務先のスーパーマーケットの同僚や友人の支えによって、少しずつ日常を取り戻していく。一方、気丈にふるまっているようにみえたルイジは、喪失感と不安で押し潰されそうになっていた。一家の精神的支柱であったマリアがいなくなってしまった今、ダフネと二人だけで、どう生活していけばいいのか。そんな父の異変に気付いたダフネはある提案をする。それは、母の故郷コルニオーロへ歩いて向かう、ことだった……。
たった一度の失敗で人生は終わらない。何度だって、どん底からだって、“リスタート”できる。北海道下川町で育った未央は、シンガーソングライターを夢見て上京。しかし、不本意ながら売れない地下アイドルとして活動していた。ある日、意図せず起きた有名アーティストとのスキャンダルによって、世間からのバッシングを受けることに。思い描いていた夢に破れ傷つき、故郷に帰ってきた未央だったが、家族や友人にも上手く接することが出来ずにいた。そんな中、同級生の大輝は、未央を思い出の場所へと連れ出す。自然豊かな景色とその優しさに癒され、未央はゆっくりと前を向き始める―。
軍事法廷では、全米が注目する裁判が開かれていた。アメリカ政府の建物を爆破し、多くの死傷者を出した罪を問われている被告人の名女・ジャンヌ。神の声を聞いて行動したと主張したことで、キリスト教信者から“オクラホマの乙女”と呼ばれる女だった。マスコミは遺族のつらい心情を書き立て、極刑を望む論調を繰り返し報道するもものの、ある者は彼女を聖女だと言い敬い、ある者はテロリストだと言い憎みを募らせる。ジャンヌの扱いに苦慮した軍の上層部は、カウンセラーによる懐柔や処女検査などで精神と肉体に揺さぶりをかけるが、彼女の意見が覆ることはなかった。そして遂に業を煮やした軍上層部は、復活祭の日もって判決を下すことを決める。
1995年、神戸。伊智子と太助は、阪神・淡路大震災により一人娘のれいこを亡くす。その後、離婚した二人はそれぞれの生活を始め、淡々とした日常の中、徐々にれいこの死を受け入れていく。2018年、久しぶりに再会した二人は、れいことの思い出の水族園へ行き、イルカショーを見るが…。
ピアニストのサムと作家のタスカーは、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。ところが、タスカーが抱えた病が、かけがえのないふたりの思い出と、添い遂げるはずの未来を消し去ろうとしていた。大切な愛のために、それぞれが決めた覚悟とは──。
葬儀屋を営みながらそこを自宅としても使っているベルナルドと妻のエステラ、そしてベルナルドの連れ子であるイリーナ。表向き、うまくいっているように見えるこの家族は、それぞれお互いがお互いに不満を抱えていた。そしてもうひとつ、この家族には悩みがあった。それは葬儀場で起こる不可解な恐怖現象の数々。ある日、娘イリーナはついに我慢することができず祖母の家に逃げ込んでしまう。そしてその日を境に、不可解な現象はさらに頻度を増していく。その原因を探るため、霊能力者を自宅に呼ぶ妻エステラ。そこで彼女は驚くべき事実を知ることとなる。なぜこの家族が狙われるのか…。家族に迫る恐怖の正体とは…。そして訪れる激しくも悲しい結末とは…。そこには、ある人物が企てた残酷な計画が関係していた。単なるホラーの枠には収まらない人間ドラマ、美しいカメラワーク、そして強烈な音楽。新進気鋭の監督が撮る「葬儀屋の秘密」が、ホラーの新しい扉を開いていく。
大学に入学した柴原は、伊藤、橘、永井という3人の男子生徒と体育館で出会い、友人になる。学校では一緒にいる4人だが、それ以外の関わりはなく、普段何をしているかはお互いに知らない。生活のため続けるバイト、怪しげな先輩を介した怪しげな仕事、誰にも言えない心の悩み。知ろうとする度に、深まっていく溝。学生生活の終わりに、彼らを待ち受けているものとはー。
飼い主とともにプラハへ行く予定だった犬パルマは、検査の手違いからモスクワの空港に置き去りにされてしまう。空港に住み着いたパルマは毎日滑走路で飛行機を見上げ、飼い主の帰りを待ち続ける。時を同じくして、母親を亡くした9歳の少年コーリャが、パイロットである父親に預けられ空港にやって来る。コーリャとパルマは孤独なもの同士、すぐに仲良くなる。ある日、日本人に連れられた秋田犬が空港に現れる。その姿を見るパルマの目にこの上ない寂しさが宿っていることに気づいたコーリャは、パルマを飼い主の元へ戻すべく立ち上がるが……。
主人公の美咲は、母の介護をしながら地域の学童保育所で働いている。東京の大学を卒業したものの、就職氷河期世代で希望する仕事に就くことができず、恋愛も結婚も、なにもかもがうまくいかず、40歳を目前にした独身女性である。娘を否定しつづける毒母、そんな母に反発しながらも自分を認めてもらいたいと心の奥底で願う娘。そこに「介護」という現実がのしかかってくる。お互いに逃げ出したくても逃げ出せない。あるとき、美咲が唯一心のよりどころとしている親友・香織が突然命を絶ち、いなくなってしまう。美咲にとって、養蜂家として自立する香織は憧れだった。美咲の心もポキリと折れ、崩壊へと向かっていく。
ある日、誠(安楽涼)の兄が犯罪を犯した。それを苦にした父は自殺し、誠は母親に助けを求めたが、母は助けてはくれなかった。誠は家を飛び出し、自分を傷つけてくれるものを探した。そして、一t人の浮浪者に出会う。彼との出会いをきっかけに、誠の生と向き合う音が静かに響き始める。
考古学者の父を亡くした6歳のサリー。南米マヤ・インディオの言い伝え、“人は死ぬと月へ行き、選ばれた特別な子と話をする”という伝説を信じ、月からのメッセージを待つために、サリーは口を噤み神秘的な沈黙の世界に閉じこもってしまう。次第におかしな行動を繰り返すサリーを心配した母親ルースは、精神科医ビアランダーに診せるも治療は功を奏さず、ルースとも意見が対立する。そんなある日、ルースはサリーが建てた不思議な“カードの塔”を発見する。
柚季(架乃ゆら)は初恋の男性、幸太郎と恋愛結婚。念願のマイホームを購入し希望に満ちた新婚生活を始めていた。しかし柚季は初めての男性経験が夫だった経験の浅さから、夜の生活がギクシャクとしたものになっていた。ある日、柚季は大学時代からの友人、佳子から同窓会の誘いを受け、そこで柚季に好意をもっていた隼人と再会する。その頃、幸太郎は上司の高宮に夫婦の性の悩みを話すと、高宮の妻、雫も交えて相談に乗ってもらうことに・・。愛し合う2人が導き出した、夫婦の悩みの解決方法とは!?
北海道から修学旅行で岡山に来ていた相馬春奈(福本莉子)は、入院中の祖母のために、ぶどうの高級品と言われる“マスカット・オブ・アレキサンドリア”をお土産にしようとしたが財布を落としてしまう。あまりの値段の高さに諦めに境地だったが、そんな時に見つけたのが、アレキサンドリアをそのまま和菓子にした「陸乃宝珠」だった。手元に残っていたお金でそれを買った春奈は、祖母が食べて喜んでくれたことに感動し、「お菓子は人を幸せにする!」と、その和菓子を発売していた岡山の老舗和菓子メーカーに就職をした。笑顔で元気な春奈だったが、研修中は何をやらせても失敗ばかりで、困った人事部は、昨年の新入社員が半年足らずで辞めてしまったという、偏屈で名高い、ぶどう農家・秋吉伸介(竹中直人)のところに配属させたのだった。拒否されながらもなんとか紳介にくらいつく春奈。なかなか心が通いあえなくても負けずに頑張るその姿に、次第に紳介との距離を縮めていく。そんな時、岡山県に未だかつて経験したことのないという、大雨、大洪水が襲った…。
シングルマザーの春子(西田尚美)と、その息子リク(寄川歌太)、春子の飲み友達めいこ(久保陽香)と、その彼氏で小説家のソラオ(忍成修吾)という一風変わった4人で共同生活をしている青葉家。夏のある日、春子の旧友の娘・優子(栗林藍希)が美術予備校の夏期講習に通うため、青葉家へ居候しにやって来た。そんな優子の母・知世(市川実和子)は、ちょっとした“有名人”。知世とは20年来の友人であるはずの春子だが、どうしようもなく気まずい過去があり…。
日本と中国、両方の国籍を持つ大学生・美鈴(メイリン)には、日本人の恋人・翔がいる。冬休みを翔と楽しく過ごす美鈴だが、彼女は22歳の誕生日までにどちらかの国籍を選ばなければいけなかった。
金ナシ職ナシやる気ナシ。東京で暮らす23歳の真也は飲み屋の店主の薦めから福島の農家で働くが、さむい・きつい・朝がはやい農作業に初日から嫌気がさす。しかもそもそも野菜は大きらい!ただ、そんな彼にも優しく厳しく向き合う農家の先輩たち。初めは地元の保育士里紗への下心で居残った真也だが、やがて手塩にかけた農作物の収穫や、彼のボス正雄の農業への誇りに触れるうち、福島の日々を好きになる。そんな中、ある日真也は初めて売り子をした県外の直売所で、福島県産の野菜を毛嫌いする客にキレて殴りかかる。真也は諫められるが、どうしても納得がいかず……。